お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
巨匠マイケル・パウエル監督による、後に評価された全てのサイコサスペンス作品の元祖!!
作品紹介
1961年7月14日公開
今回ご紹介するのは、巨匠マイケル・パウエル監督が時代を先取りして描いたサイコスリラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
映画監督を目指し、撮影所でカメラマンとして勤務しているマーク(カール・ベーム)は、幼き日に生物学者の父の心理実験によって心に闇を抱えていた。
女性に対する殺人衝動が抑えられず、毎夜行きずりの女性たちを誘い、殺害、その死の瞬間をカメラで撮影する、という異常な性癖を持っていた。
そんな時、純真無垢な女性ヘレン(アンナ・マッセイ)と出会い、恋に落ちる。
しかし、抑えきれない殺人衝動に苦悩するマークだったが、ヘレンの母親により自身の内面を見抜かれ、破滅への道を進んでいくのだった、、。
(赤い靴)などの巨匠マイケル・パウエルの監督作品で、サイコホラーの元祖といわれているアルフレッド・ヒッチコックの(サイコ)の2か月前に公開された正真正銘サイコホラーの原点作品です。
しかし、その当時では、本作のような異常性癖を持っている主人公に感情移入させてしまうような描き方をされた物語は世相的に受け入れられず、
批評家にも世間的にも無かった事にされ、マイケル・パウエル監督は事実上それ以降に映画製作できなくなる、という黒歴史的な扱いを受けた作品となっています。
今現在鑑賞してみると、それほどきわどい内容でもないように感じますが、当時としては、これでも大問題だったという事自体が時代の移り変わりを示しているようで興味深いですね。
内容的には、殺人衝動のある異常者が恋に落ちてしまって、苦悩する、という大筋となっていますが、殺人シーンでは、今現在流行りのPOV撮影も登場したりして、本作の時代を数十歩先を行っている表現方法に唸らされます。
殺人に使われる刃物もカメラの三脚のうちの一脚の先端が尖っていて、それで、ゆっくり迫っていって、その恐怖の表情を撮影しながら刺す、
というちょとユニークな方法で、本来ならすぐに逃げてしまえそうですが、その刃物を比喩として他の物を連想させるように表現しているみたいなので、
そういったリアル感を重視するよりも、主人公の内面の異常性を寄り深く表現しているような演出方法がとられています。
本作は他の多くの作品に影響を与えているようで、映画だけに留まらず、漫画や小説、アニメなど似たような異常性を持った複雑なキャラクターの原点を辿れば、だいたい本作に行き着いたりするのではないでしょうか。
というように、本作は多くのサイコサスペンス、サイコホラーの原点と言っても良いような映画史的に意味のある作品となっています。
古い作品ですが、今鑑賞しても十分色あせない魅力的な作品となっていますので、サスペンス作品好きの方はご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
きっと(サイコ)並みのハラハラドキドキ感は味わえると思いますよ。
作品情報
1960年製作 イギリス製作 サイコサスペンス
監督・製作 マイケル・パウエル
出演 カール・ベーム、アンナ・マッセイ、モイラ・シアラー、エズモンド・ナイト、マキシン・オードリー
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またまたお邪魔します。
「血を吸うカメラ」というタイトルが気になったので覗いてみました。
監督の黒歴史になるほど、メッセージ性はとても残酷で反社会的なものだったんですね。
でも、作品自体はとても面白そうです。POV撮影も気になりますねぇ。
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映画マンさん、こんにちは、お立ち寄り頂きありがとうございます。(血を吸うカメラ)は良く、サスペンスホラーの原点と言われたりする作品ですが、殺人を犯す犯人側を主人公にしている点が特に当時の世論的には問題になったようですね。確かに今現在では、そういった内容の作品も結構ありますが、当時ではかなり珍しくて、外に誰もやろうともしなかった、というところが、後になってから評価された理由のようですね。後になって、時代が内容に追いついた、と言った感じでしょうか。そういう作品に慣れてしまった今となっては、内容的にはちょっと新鮮味は薄いですが、当時リアルタイムで本作を鑑賞していたら、相当ショッキングだったのではないかと思います。あと、殺人に使う武器が手作り感満載で、こちらも時代を感じさせてくれてちょっとした見どころ(笑)ですので、是非ご鑑賞くださいね。