お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
フランス映画初の潜水艦アクションは、実直な軍人ゆえに逆に平和の脅威となってしまう展開が、胸を締め付ける男泣き作品!!お薦めです!
作品紹介
2020年9月25日公開
今回ご紹介するのは、フランス映画で初の本格的な潜水艦アクションとなった作品です。
それでは、まずはあらすじから、
フランス海軍で並外れた聴力を生かしてソナー要員として勤務するシャンテレッド(フランソワ・シヴィル)は、聴力を活かして敵の動向を探る(黄金の耳)の主要メンバーだった。
そんなある日の任務で、輸送任務中のシリアで正体不明の機影の音を聞き、(黄金の耳)がこの音の解明を急ぎ、この正体を動物によるものと判断した。
しかし、その音を確認した直後、シリア軍のヘリコプターから攻撃を受けてしまい、撃沈の危機に陥ったが、艦長グランシャン(レダ・カデブ)の機転により、これを撃退する。
この一件で謹慎処分となったシャンテレッドは正体不明の敵の発する音の正体を解明するため、独自の捜査を開始する。
果たして音の正体とは!?
(ウルフズコール)というホラー映画みたいなタイトルは謎の敵艦が発する音が狼の鳴き声のように聞こえる事から来ています。
フランス映画界初の潜水艦アクション、という事ですが、突然の公開でしたので、予備知識もほとんどない状態で鑑賞しました。
結果的には、そんな宣伝活動もままならないような状態での急ぎ足公開が勿体ないぐらいの男泣き展開が熱すぎる作品となっていてびっくりしました。
というか、期待していなかっただけに、なんか得した感が強かったです。
熱い、といえば熱いのですが、どちらかと言うとやるせない、というか鑑賞後の感じとして近いのは、ジェリー・ブラッカイマーが一番熱かった(ザ・ロック)や(クリムゾンタイド)あたりでしょうか。
男と男の激突を描いているけれども、悪人対善人という単純な構図ではなく、お互いそれぞれに信じているものに誠実に従っているがための対立、とそこから生まれる避けようがない戦い、という感じです。
アニメでいえば(機動戦士ガンダム)などもそういった世界観の中に入るのではないでしょうか。
なので、熱くもあるのですが、どこか切なく、やるせない物語となっています。
ただ、この展開は後半にそういった流れになりますが、前半は正直単調で人並み外れた聴力を持つ主人公が異常なまでに敵が発する謎の音にこだわり、
陸上で出会った女性と会話しているときもBGM的にその音がなっていたりして(たえず主人公には頭の中で聞こえているという表現ではありますが)
異常な人の日常生活だけを描くシーンが多いので、前半ははっきり言ってあまり見どころのない作品という感じでの鑑賞でした。
しかし、後半に謎の敵艦の正体とその目的が明らかになるぐらいから、怒涛の展開になりそれまでのまったり感が嘘のように男泣きの連続になります。
もう、ここからは緊迫感のあるシーンの連続で、まさかそうくるとは思っていなかったような展開になっていきます。
たしかに、そういう状態になると戦いは避けられない、といった状態で、だからこそ結末はやるせなさがMAXとなります。
イメージ的に潜水艦アクションものは、その限定された空間と状況下での物語なので同じような内容のイメージが強いですが、
本作はその中に埋もれてしまうのは非常にもったいない傑作となっていますので、是非ご鑑賞いただきたいと思います。
※以下には後半の熱い展開を記載していますので、真っ新な状態で鑑賞したい、という方は以下は読まないように注意してください。
シャンテレッドの活躍により、ウルフズコールを発している正体はロシア製の旧式の原子力潜水艦、ティムールⅢ型と判明する。
しかも、このティムールⅢ型より弾道ミサイルが発射される。
フランス軍はこの弾道ミサイル迎撃のため自軍もミサイルを発射するが迎撃に失敗する。
このロシア軍のミサイル発射に対してフランス軍上層部は大統領命令により、報復の核ミサイル発射を直ちに決定する。
この決定により迅速に2隻のフランス軍潜水艦が出撃する。
そのうちの1隻ににはグランシャンが艦長として任命された。
しかし、シャンテレッドは敵が発射したミサイルの軌道などを計算し、ミサイル自体に核弾頭が搭載されていない事を見抜く。
何故、ロシア軍は核弾頭非搭載のミサイルを発射してきたのか?
上層部も色々な意見が出る中、シャンテレッドはこのミサイルを発射したのは実はロシア軍ではなく、
ロシア軍が非公式に手放した旧式の潜水艦を使用し、ミサイルを発射して、ロシア軍が攻撃したように偽装し、
それによるフランス軍の報復攻撃によって両国を戦争状態に陥れようとする中東テロリスト集団の仕掛けた罠だったことを突き止める。
意見が割れるフランス上層部だったが、シャンテレッドの意見を採用し、ついに攻撃の中止が決定される。
しかし、グランシャンは大統領命令の元にすでに出撃し、報復攻撃態勢に入っている。
フランス軍では一度決定された大統領命令は絶対で、それを止めようとする者はたとえ何者であっても敵対勢力に組する存在である、と認識しなければならないぐらいに絶対的なものとなっている
しかし、もし、このままグランシャンの潜水艦がロシアに対して報復のミサイルを発射してしまったら、それをきっかけに両国は戦争状態に突入してしまう。
フランス軍基地からも攻撃中止の要請を試みるが、グランシャンの艦は規定通りに通信を遮断。
1時間以内にミサイルを発射するべく、攻撃態勢に入る。
それまで、忠実にフランスのために命がけで従軍していた真面目な軍人グランシャンを乗せた潜水艦は、今となってはフランスの平和を脅かす脅威の存在となってしまった。
通信を閉ざされたフランス軍基地は、残された唯一の手段として同時に出撃していたもう一隻の潜水艦から攻撃中止の通信をするために上官とシャンテレッドを乗せたヘリコプターを飛ばす。
そしてフランスの海域内で、敵の存在しない仲間同士の両潜水艦は、ついにお互いにミサイルを向け合う事になるだった、、。
作品情報
2019年製作 フランス製作 潜水艦アクション
監督 アントナン・ポードリー
出演 フランソワ・シヴィル、オマール・シー、マシュー・カソヴィッツ、レダ・カデブ
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