カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
カーター・ワン、シュー・フォン、チャン・イー、フィリップ・コーと豪華カンフースターが結集した武侠カンフーアクション!!
作品紹介
別題 激烈!少林武侠秘拳
今回ご紹介する作品は、カーター・ワンとシュー・フォンが共演した武侠カンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝新政府の追手から明朝皇太子を守る親衛隊の隊長フェイファンは、追手をかく乱するために、本体から離れて行動していたが、
その際に皇太子は囚われの身となってしまう。
そして、少林寺の在家弟子である兄サウチャンと合流したフェイファンは、皇太子を救出するために、数々の仕掛けが施されている牢獄部屋を進むのだった!?
カーター・ワンとシュー・フォンが兄妹を演じ、チャン・イーと激突する武侠カンフーアクション作品です。
カーター・ワンは(少林寺への道)と同時期の作品ですので、絶好調という感じで、途中少林寺の隠し部屋に繋がる寺院のからくり房の数々は、
一瞬(少林寺への道)シリーズか?と錯覚してしまうぐらいに、からくり房=カーター・ワンのイメージが強かった時期の作品となっています。
対して妹役のシュー・フォンは、1971年製作の(侠女)や、1975年製作の(迎春阁之风波)と(中烈図)、
本作以降の1979年には(空山霊雨)と(山中伝奇)と巨匠キン・フー監督作品の常連俳優で、1977年にはジャッキー・チェン主演の(成龍拳)にも出演する程の人気でした。
その後1980年代に入ってからは、製作者へと転身し、オールスター映画(女帝軍団アマゾネスウォリアーズ)(詳しくはこちら)や、
日本でも大ヒットした(カンフーキッド)(詳しくはこちら)、などの娯楽系の台湾作品を製作し、
1990年代にはレスリー・チャンの大ヒット作(さらばわが愛 覇王別姫)、(花の影)等の芸術系の作品も製作するなど手腕を発揮しています。
そんな人気絶頂期の二人を相手にバトルを繰り広げるのは、(少林寺炎上)(詳しくはこちら)や(カンフー十八羅漢陣)(詳しくはこちら)等で、
カーター・ワンとの共演の多いチャン・イーで、本作でも見栄えのする武器を使う宿敵を不敵な笑みを浮かべながら演じています。
そのチャン・イーが仕える権力者で、少林寺撲滅を目論むラスボス役を、1950年代から活躍し、(少林寺への道)の1,3.4や、
ジャッキー・チェンの(新ドラゴン怒りの鉄拳)、(蛇鶴八拳)等多くの作品で活躍しているルー・ピンが演じ、
刀剣もはじき返す無敵のボディで、主人公一派を追い詰めていきます。
因みに、(カンフー十八羅漢陣)にはシュー・フォンも出番は少な目ですが出演し、ラスボス役のルー・ピンも出演していますので、本作で4人の再共演が実現した形になっています。
その他にも、前半の少しのみの活躍ですが、主演二人の兄役(吹き替えでは兄となっていますが、弟であるはずのカーター・ワンが初めて会ったようなリアクションをしていますので、
恐らく誤訳で、本来はシュー・フォンが所属する組織の兄貴分で、兄ではないと思われます)で、(少林寺木人拳)や(蛇鶴八拳)のラスボス役や、
(セイントスティック怒りの聖拳!)(詳しくはこちら)、(醉拳女刀手)(詳しくはこちら)等の主人公のサポート役でお馴染みのカム・コンが登場し、
出演シーンの緊迫感を盛り上げていきます。
さらに、少林寺の裏切り者役で、前半はほとんど登場しないものの、後半はかなりの重要人物としてアクションを披露する役柄で、
(刑事ディック キプロスの虎)(詳しくはこちら)や(紅い愛の伝説)(詳しくはこちら)等のフィリップ・コーが登場し、
相変わらずのキレの良い高速カンフーで主人公一派を追い詰めていきます。
そのフィリップ・コーの師匠でもあり、カーター・ワンにカンフー奥義を授ける直接の指導者としても登場するのは、
(少林寺疾風黄金拳)(詳しくはこちら)等、長年カンフーアクション作品で出演者、監督として活躍しているチャン・シウパンで、
本作では武術指導も担当し、作品世界を盛り上げています。
さらに、長い爪をキョンシーのように武器として使うルー・ピンの部下役で(ドラゴン修行房)(詳しくはこちら)や、(女少林寺)(詳しくはこちら)等の悪役で知られるルン・フェイが、
主人公に襲い掛かり、華々しく退場していきます。
監督は(猫拳カンフー無宿)(詳しくはこちら)等のシャー・リンリンと(少林寺への道)のティエン・ポン共演の武侠作品(水月十三刀)や、
ウーマやラム・ウェイ、アラン・ツイが出演している少林寺小坊主アクション(小小少林)等を監督しているチャン・ペンイーですので、
武侠剣劇アクションと少林寺カンフーアクションの名手がその両方の要素を組み合わせた作品となっています。
そんな豪華スタッフ・キャストが結集した本作の内容は、清朝新政府を打倒するために、蜂起を計る明の皇太子と、
その皇太子を守ろうとする明の元兵士たちと、新政府の戦いを描いた物語で、色んなカンフー作品で題材となっている王道の内容となっています。
カーター・ワンとシュー・フォン兄妹は明復興の志を父親から引き継いでいて、ルー・ピン演じる清の将軍ベラ・パウロとその部下であるルン・フェイ、チャン・イー達と激闘を繰り広げていきます。
ただ、本作はそのカンフー映画の一つの王道とも言える清朝と明朝の戦いに、少林寺要素を加える事で、独自のオリジナリティを追求していきます。
良くありがちなのは、追われた兵士が、敵兵から逃れるために少林寺に助けを求めて、少林寺僧となって実力を付けて戦う、
という、これも少林寺ものの王道の展開がありますが、そこを本作は、兵士が逃げ込む、という展開ではなく、
カーター・ワンが少林寺で在家弟子として修行を積んでいて、必殺技である奥義(仏陀の奥義十八番)のほとんどを既に体得している、という状況から物語が始まります。
で、シュー・フォンの方は明朝皇太子の側近として仕えている、という身分で、清朝の残党狩りにあって、
皇太子を他の部下に任せ、自身もなんとか逃げ延びて少林寺の兄、カーター・ワンに会いに行くものの、
長年信頼を寄せていた仲間の裏切りに合い、皇太子が清朝に捕らえられ、牢獄に入れられてしまう、という所からメインの展開に入っていきます。
皇太子は捕らえられはしたものの、身分はバレていないので、すぐには処刑されていない、という設定がなかなかに上手く、
身分がバレる前に、一刻も早く皇太子を助け出さなければならない、という緊迫感が煽られていきます。
で、兄妹二人も、なんとか命がけで救出作戦を決行しますが、屈強な警備のために失敗してしまい、逆に清朝側に、
現在牢屋に捕らえている囚人の中に、重要人物がいるのでは?と身構えるきっかけを与えてしまいます。
そこで、暴君ルー・ピンは、それならば、捕らえている囚人を全員処刑してしまえ、という事で、
数日後に処刑するために北京に囚人たちを護送している所を、カーター・ワン、シュー・フォンたちによって救出作戦が決行され、
皇太子を奪われはしたものの、どの囚人なのか、が把握できた上に裏切り者も判明したため、そのまま匿われている少林寺に攻め込む、
という感じで、清朝と明朝の戦いをベースに、少林寺ものを上手く取り入れたしっかりとしたストーリー性のある作品となっています。
ただ、本作全体的なストーリー展開などは違和感もなく、凄く良いのですが、少林寺側の要素で、それほど物語の大筋には関係のない奥義書を巡る戦いが加えられていますので、
いざ、少林寺内でのラストバトル近辺になってくると、ラスボスとして重要な役割担っていたルー・ピンが急激に小物っぽくなり、
割とあっさり目に倒されてしまった挙句に、最終的に清朝と明朝の戦いは、どうでも良くなってしまって、
どうしても奥義書が欲しいチャン・イーVSカーター・ワン、シュー・フォン兄妹と師匠チャン・シウパンの少林寺関係者だけの戦いになってしまう、
という色々と要素を盛り込み過ぎたために、散々描かれてきた物語とは、無関係の因縁話でクライマックスを迎えてしまうという少し残念な部分もある作品となっています。
ただ、それでも豪華なスタッフとキャスト、そしてストーリー展開やカンフーアクションも、終始を着る事なく鑑賞できる作品となっていますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1976年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 チャン・ペンイー 武術指導 チャン・シウパン
出演 カーター・ワン、シュー・フォン、チャン・イー、フィリップ・コー、ルン・フェイ、カム・コン、チャン・シウパン、ルー・ピン
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