修行度 🔥🔥🔥●●●●●●●
何をやっているのか分からない!登場人物たちの立場が変わり過ぎて、誰が味方で誰が敵かも分からなくなる、セガール作品中随一のややこしさを誇るスパイアクション(多分)!!
作品紹介
2003年5月24日公開
今回ご紹介する作品は、スティーヴン・セガール主演のいつものアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
元CIAエージェント、ジョナサン・コールドは、アメリカ大使館の元上司から、ある荷物を受け取って届けるだけ、という簡単な任務を受ける。
しかし、その荷物はある事件に関する重要な証拠で、その荷物を受け取って以来、執拗に暗殺者の襲撃を受ける事になるのだった!?
何をやっているのか分かりません。
セガール作品、その多くが単純なストーリーといつも無敵なセガールの省エネアクションで、通常のアクション作品では絶対にありえない、
ブレ無さ過ぎる安定感と安心感
が、どのセガール作品にも共通した見所となっていますが、
本作は、その絶対的なルールを崩そうと思ったのか、はたまた同年に同スタッフによって製作されたもう一つのセガール作品(沈黙の標的)をメインで撮影した合間に本作を撮影したためか、
はっきりとは分かりませんが、セガール作品のお約束を破ったために、あの絶対的な安心感と安定感が無くなり、
期待しているいつものセガールとは違った展開になる作品(悪い意味で)となっています。
まず第一に本作のセガール自身は、いつもと全く同じ表現で、いつもと同じように無敵風態度で、他人や悪党にも接する(要するにいつも通りのセガール)のですが、
いざアクションとなるといつものような完全無敵、というわけではなく、
背後からの不意打ちで簡単に捕らえられてしまって、ちょっとした拷問を受けて、『ぬぐぐっ、、、』と苦悶の表情まで浮かべる、
というまさかの人間っぽさが出るシーンが存在します。
拷問と言っても、
椅子に拘束されて首を強めに閉められるだけですが、、。
しかも、悪漢に『一定期間首の血管を圧迫すると脳に酸素がいかなくなって脳死するんだぜっ!』という攻撃に対する講釈までたれられてしまう、
という、通常、セガールが悪党に対して得意の表情でやっていた事を逆にやられてしまいます。
勿論最終的には逆襲しますが、本作では、そのセガールがピンチに苦悩する、という他の作品では描かれなかったシーンが存在します。
で、そんなある意味挑戦的なシーンの存在する作品ですので、その新たな試みに対する新たなストーリー展開はというと、、、
ここが、本作の最大のポイントであり、いつものセガール作品と大きく違う二つ目の理由で、それが理由で修行覚悟のいる作品となっているのですが、
とにかく、、、、、
話が分からない!!
大筋では、いつものように凄腕の実力を買われたセガールが、ある出来事の重要な証拠となる小包を、
A地点で受け取って、B地点の富豪に届ける、
という、いたってシンプルなストーリーのはずですが、その簡単任務の依頼人と、受取人、さらに受取人の奥さんと娘、そしてその任務のために始めてコンビを組むことになる依頼人側のエージェント、
が、とにかく、裏切ったり、急に仲間に戻ったり、実は、、、みたいな感じで
数分おきに立場がコロコロ変わる
ので、結局誰が何をしたいのかも段々と分からなくなってしまって、中盤以降は、
もう、どうでも良くなってしまう、
という、ストーリーや、セガールの設定を異色に捻ろうとし過ぎて、結局何がなんだか分からない、という難解な作品となっています。
難解と言っても、1000ピースのパズルで、30ピースぐらい無くしてしまったようなストーリーですので、
難解(おっと)、、、何回観返しても答えが出る事はないと思われます。
さらにアクションシーンが非常に特徴的で、おそらくジョン・ウー作品の影響だと思われますが、アクションシーンになる度に
やたらとスローと激しいカット割りの繰り返しが延々と続きますので、
目くるめく登場人物の立場が入れ替わるややこしいストーリー展開の合間に挿入される、本来見所となるはずのアクションシーンの度に、流れが完全に止まってしまう、という
負の連鎖も止まりません。
アクションシーン自体が少な目なので、それを誤魔化す、という意図もあると思われますが、とにかく
セガールが敵をちょっと手で押して後ろにこけさせる、
というアクションシーンとは呼べないような動きでも、
カット割りを多用しながら、、、
スローでこけます。
それがあまりに繰り返されますので、中盤以降は、繰り返しのギャグのようにさえ見えてしまいます。
誰かが、こける度にスローになります。
そんな流れでも、どうしてもセガールは悪者に追われる女性を守る展開を入れたかったのか、後半エージェントアクション作品の中に強引に、
受取人の妻と娘を、悪者である夫から守りつつ戦う、というお約束の展開に強引に持っていきます。
さっきまではセガールを騙すような役柄だったのに、急にヒロインに昇格です。
で、その美女を守るために戦う、という展開も思いつきで急遽挿入したためか、クライマックスで
急に書置きを残して姿を消してしまう、
という、まるでキャスティングで何か問題があったかのような展開で、終幕となってしまいます。
後半、ヒロインを守るために繰り広げていたエージェントとのバトルも、なんとなく終わっているような感じですので、
それぞれの出来事が唐突に描かれて、最終的に
セガールが、勝てそうな相手に首を絞められて歯を食いしばっているシーンしか印象に残らない、
という、ある意味セガール作品の中でも目立って異質な作品となっています。
逆に言うと、本来のセガール作品、鑑賞後に何も印象に残らない、というのが常なのですが、、、。
という事で、セガール作品中でも異色の作品となっていますので、セガールファンの方や、B級アクション好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに本作、好評だったとは思えませんが、同じセガール主演で、同じ役柄ジョナサン・コールドが登場するシリーズ第二弾(撃鉄2 クリティカルリミット)が存在します、、、。
作品情報
2002年製作 アメリカ製作 アクション
監督 マイケル・オブロウィッツ 製作 スティーヴン・セガール、アンドリュー・スティーヴンス
出演 スティーヴン・セガール、マックス・ライアン、アンナ・ルィーズ・ブロウマン、シャーマン・オーガスタス
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まぁくさん、こんにちは。「あなたの知らないワゴンセール」のS原です。
今回はすごい!観たい! でも観たくない!(笑)
いやー、この映画はすごいです。すごすぎます。全員が何をしているか分からないカオスな映画・・・・・・「観たい・観たくない」という、このアンビバレントな感情に悶えています~!しかも、「キャノンボール3 新しき挑戦者たち」の後の紹介って!まぁくさん、完全に狙っていますよね?
セガールの映画、「刑事ニコ」とかはじめは良かったんですよねえ。当時、レンタルビデオ店でアルバイトしていて、よく回転(貸出)していたのを覚えています。それが、いつの頃から薄味のアクション映画ばかり出るようになったのか。。。沈黙シリーズも何本か観ましたが、内容を覚えていないですからね、、、(確か「沈黙の断崖」だったはず)
今回の映画は、「セガール百烈拳」ではなく「修行映画」で取り上げているところに、まぁくさんの静かな怒りを感じます(笑)
というわけで、今回も楽しい記事をありがとうございました。これからも(ぼくのために)、映画の紹介をよろしくお願いいたします~!
S原さん、いつもありがとうございます!この(撃鉄)の破壊力はかなりの凄まじさです!いつも通りの出だしなので、いつも通りゆったりと鑑賞していると、あっという間に誰が敵で、何をするために、何をしているのか?全てが何も分からなくなる、というセガール作品の中でも屈指の難解作品です!巻き戻して観直しても、やっぱり良く分からいので、最終的に巻き戻す気も起きなくなる、というザ・修行、という感じの迷作となっています!しかも、この作品、個人的な初見は、映画館まで公開初日に鑑賞しに出かけましたので、映画館の座席で悶絶したのを覚えています、、、。内容も全く記憶に無かったので、DVDで観返してみても、やっぱり見た記憶がない、というなかなかの作品になっています。アカデミー賞で、【内容を記憶できない賞】があれば、恐らく本作で、初のセガールオスカー受賞も実現できそうなほどに、内容が全く入ってこない、セガールだからこそ商業作品としてリリースできた、ある意味奇蹟のような作品です!これからも、色んな意味で楽しめる作品をご紹介させて頂きますので、引き続き宜しくお願い致します!