おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
人気絶頂期のアニタ・ユンとチョン・マンが共演し、ジャッキー・チェン作品で有名なクリス・リーが監督した無国籍風SFアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、当時絶大な人気を誇っていたアニタ・ユンとチョン・マンが共演した無国籍怪盗アクションです。
それでは、まずはあらすじから、
数々の盗みを成功させてきた怪盗コウキは、次のターゲットに悪徳企業、東鉄グループが所有する秦王朝の仏像に的を絞る。
しかし、当日順調に建物に侵入していたコウキに、謎の女フンが忍び寄り、仏像を奪い去ろうとするのだった。
なんとか、逃げ延びるコウキだったが、そこへフンと、東鉄グループの刺客、そして警察の厳しい捜査が待ち受けるのだった!?
(ポリスストーリー)や(プロジェクトA)、(プロジェクトA2)等のジャッキー作品から、チョウ・ユンファ主演の(フルコンタクト)等、多くの人気の香港作品に出演し、
またアクション監督としても、リンゴ・ラム監督の(聖戦)や、ジョン・ローン主演の(上海1920)、日本・香港合作の(妖獣都市~香港魔界篇)、
(レジェンド・オブ・フォース激闘飛龍)(詳しくはこちら)等の多くの作品で活躍しているクリス・リーの監督作品です。
出演者は、主役の天才的な泥棒テクニックを誇る怪盗役で、本作の前年1993年に製作された(つきせぬ想い)(月夜の願い)に出演し、
翌年の1994年には(君さえいれば/金枝玉葉)と、二年連続で香港アカデミー賞を受賞し、大ブレイクしていく時期のアニタ・ユンで、他のドラマ系の作品では見せないような、
実に香港映画らしい元気いっぱいの明るいキャラクターを好演しています。
で、その陽性のキャラクターに対比するように登場する、影のある謎の女戦士役で、チョウ・ユンファ、アンディ・ラウの(ゴッドギャンブラー)シリーズや、
チャウ・シンチー主演の(ファイト・バック・トゥ・スクール)シリーズ、(ロイヤルトランプ)シリーズ等で、
既に大人気だったチョン・マンが登場し、華麗なアクションシーンを担当しています。
その二人の間に割って入るように刑事役で登場するのは、レオン・カーファイと共演した(黒豹天下ブラックパンサー)(詳しくはこちら)や、
ラウ・カーリョン監督の(酔拳3)(詳しくはこちら)に出演していた時期のブレイク中のサイモン・ヤムで、
渋い男臭さで、敏腕捜査官ぶりを発揮しています。
で、そんな善人側に対して、悪の(多分)東鉄グループのボス役で、(新ポリスストーリー)や、(野獣特捜隊)、
そしてハリウッドでブレイク前のマーク・ウォルバーグ主演で製作した(ビッグヒット)と監督としての活躍の場を広げていた時期のカーク・ウォンが分かりやすい悪人役を好演し、
その悪党組織の部下として、本作の監督クリス・リーも登場し、結構なアクションシーンで活躍していきます。
そんな当時ブレイク中のキャストが結集した本作の内容は、無国籍風の世界観になっていて、年代も不明、場所も不明、という感じで、あえて細かい設定は説明せずに、
警察と窃盗団、そして闇組織と、片腕が物凄いパワーを持った機械の謎の女性、の主要メンバーを中心としたSFっぽいアクションをメインに描いています。
ディスコ的な場所も登場しますが、極力生活感が出ないような場所に絞っているようで、アクションの舞台となるのはどこかの工場だったり、
近未来風(ともとれる)建物だったりしますので、恐らく、現実の中国(香港)とは少し違う中国(香港)のイメージなのかと思われます。
そこで展開する怪盗アクションですが、基本的には悪の企業(東鉄グループ)のボスであるカーク・ウォンに、
父を殺され、形見である仏像を奪われた恨みを抱くチョン・マンが、仏像を取り返すために(東鉄グループ)の建物に潜入したところ、
怪盗であるアニタ・ユンと遭遇し、仏像の奪い合いになる、という感じで、この3者が仏像を巡って争奪戦を展開していく、というのがメインの流れになっています。
そこにチョン・マンを以前から追っていた刑事、サイモン・ヤムが絡んでいく、という感じで警察と悪徳企業、そして怪盗と謎の女が戦いを繰り広げていきます。
ただ、本作、キャストも豪華で、ストーリーもそれなりに、しっかりはしているのですが、調度ノワールアクションも落ち着き、
カンフーアクションも落ち着きだした、という時期だったためか、それなりのストーリーと、それなりのアクション、キャストも、それぞれが持ち味通りに活躍しているにもかかわらず、
何故か全体的に物足りない、薄味な作品になっています。
世界観も、意図的に無国籍風、近未来風を強めていますので、逆に現実味も薄めで、なんとなくの暗い閉塞感が全体を包んでいます。
あまり明るいイメージではない夢をずっと見続けている、という感じでしょうか。
そういう現実味の無さすぎる世界で、アニタ・ユンは、持ち味だった、元気で明るく、ちょっと上から目線な女子的なキャラクターで登場しますが、
そのいつもの庶民的な香港女子キャラクターが、現実味の無い無国籍な世界観からは浮いてしまっていて、
チョン・マン演じる寡黙過ぎて会話も成り立ちにくいダークなキャラクターや、サイモン・ヤム演じる過去に何かがあって(多分ですが)、
四六時中、ヘビースモーカー並みに酒を煽るワケアリ(多分)刑事等のシリアスでダークなキャラクターと、
浮かれる盗賊チーム、という感じで主人公周りだけが浮いた存在となっています。
さらに、アクションに関してはチョン・マンとサイモン・ヤム頼みなので、アニタ・ユンは終始騒いでるだけ、という感じで、
一番目立って、画面に映るシーンも一番多いのに、何故か活躍している印象はそんなに無い、というちょっと残念な描かれ方となっています。
ただ、アニタ・ユンの異質な存在が、逆に言うと、ダークな世界観を、それでも明るくしている要因にもなってはいますので、
そういう効果を狙ってアニタ・ユンを際立たせるためのキャラクター設定だったのかもしれません。
どちらにしても、当時のアニタ・ユンの人気ぶりを伺えるような一風変わった作品となっていますので、
香港映画好きの方や、アクション映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、本作クリス・リー監督が、アクション監督を担当し、バリー・ウォンが製作を担当してリメイクが近年製作されたようですので、そちらにも期待が高まりますね。
作品情報
1994年製作 香港製作 アクション
監督・製作 クリス・リー
出演 アニタ・ユン、チョン・マン、サイモン・ヤム、クリス・リー、カーク・ウォン、ラウ・カーユン
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