おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
キョンシーの世界には隠された訓練所があり、そこでは人間と同じように友情を育みながら厳しい訓練に励む見習いキョンシー達がいた!?というキョンシー目線のファミリーキョンシー作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、キョンシーの訓練所を舞台にしたキョンシー友情物語です。
それでは、まずはあらすじから、
人里離れた山奥にキョンシーを訓練する学校が存在した。そこでは人間の道士と教官によってキョンシーが訓練され、
卒業と共に各地に旅に出るのだった。
そんなキョンシー訓練学校のキョンシーを操り、悪事を働こうとするチッポケ道士が、実力者の兄弟子を率いて挑戦してくるのだった!?
日本の大映と香港・台湾が合作で製作したキョンシー作品です。
製作が(キョンシーグーニーズ呪われた秘宝)(詳しくはこちら)や(セイントスティック怒りの聖拳!)(詳しくはこちら)等の台湾系のカンフー作品で有名な
リー・ツォーナンですので、実際はほとんど台湾側で製作された作品ではないかと思われます。
監督も(キョンシーグーニーズ)の張建佶で、出演も同じく(キョンシーグーニーズ)や(ドランクマスター酒仙拳)(詳しくはこちら)等のカンフースター、ジャック・ロンとなっています。
さらに同じような体制で製作された(ラストキョンシー)(詳しくはこちら)と本作も同じカンフースター、アレクサンダー・ルーが武術指導を担当し、
製作総指揮も(龍の忍者)で有名な日本が誇るカンフー映画製作者、染野行雄が担当していますので、この3本(特にラストキョンシーと本作、新キョンシーズ)は関連性のある製作体制で製作された作品だと思われます。
当時の状況は、カンフーとホラー、そしてキョンシーの要素を上手く融合した(霊幻道士)の大ヒットによってキョンシーブームが巻き起こり、
その人気を受けて大映ビデオから(妖怪道士)から始まるぷっつんホラーシリーズが人気を博し、その後(魔界天書)、(キョンシーズ)、(妖怪道士2)、(カンフーゾンビ)と
キョンシーブームに乗って次々とファンタスティック系の香港映画がビデオ化されていっていた時期でした。
その中でも(幽幻道士)とタイトルを変更してテレビ放映された(キョンシーズ)が特に大ヒットし、その後の(来々!キョンシーズ)等のスピンオフテレビシリーズ等も製作された事をきっかけに、
さらにブームは加速し、(キョンシー大魔王)(詳しくはこちら)や、(ドラゴンキョンシー)(詳しくはこちら)等もテレビ放映されて大ヒットと完全に需要と供給が追いついていないような状況で、
満を持してリリースされたのが本作(新キョンシーズ)でした。
個人的に当時鑑賞したときの感想を記憶していますが、『明らかに(キョンシーズ)を意識して製作されているけれども、ちょっと雰囲気が違う、、、』
というのが正直な感想でした。
そのちょっと違う内容ですが、本作の世界観はまずは他のキョンシー作品とは違い、キョンシー自体を人間を襲う恐怖の対象や、
死体、モンスターという捉え方ではなく、人間以外の別の種族としてあくまでファンタジックな生き物として描かれています。
一応、悪道士に操られて襲い掛かる、という描写はありますが、それは一時的な事で、呪術が解ければ元に戻る、という描かれ方をしています。
ですので、基本的には人間を襲いませんし、息を止める、止めないのルールもなく、もち米や子供の尿、等キョンシーの弱点として決められていた重要な要素も完全に排除されています。
という事で、製作者などが同じ(ラストキョンシー)(詳しくはこちら)に近い世界観の作品となっています。
ほとんど同じ、と言っても良いかもしれません。
そちらは、子供キョンシーとその周りの大人キョンシーから成るキョンシーコミュニティがあって、子供キョンシーの家出をきっかけに、人間の子供との友情物語をキョンシー目線で描いていく、
という通常の子供キョンシーが登場する作品を(別方向へ)一歩押し進めたような内容でしたが、
本作は、さらに描き方を変えて、人間側のキャラクターは、前と悪の道士関係の数名しか登場しない、という、さらに思い切った設定となっています。
その設定がまた特異で、映画で登場するようなキョンシー達は、実は既に訓練されたキョンシーで、訓練されていないと遠い距離の場所にぴょんぴょんと飛んで移動することもできない、
という奇抜な設定を採用し、しかもその訓練を専門に行うキョンシー訓練所を作品の舞台とする、という大胆な設定となっています。
ただ、訓練所ではありますが、実際に描かれる事は、ユニホームに着替えて皆でランニングをしたり、アスレチックのような障害を乗り越えたり、
木登りをしたり、という感じで集団生活をしながらの体力づくり的な(ボーイスカウトのような)訓練がメインで、
簡単に言うと、もの凄く軽めの(フルメタルジャケット)や(トップガン)といった感じの友情物語が描かれていきます。
ですので、はっきり言ってキョンシー要素は少ないです。
ほとんどキョンシーしか登場しない作品ですが、、、。
ただ、メンバーの一人の誕生日を祝う(死人が誕生日を祝うというシュールさ)際に、出されたケーキが線香を固めた物(どう見てもチョコレートケーキにしか見えませんが)であったり、
皆で食べる食事が、茶碗に刺さった線香の煙だったり(おいしそうにクンクン嗅ぎます)と、
一応はキョンシーである、という事は、時々思い出せるようにはなっています。
そんな楽しい訓練の日々がとめどなく描かれていくのですが合間で悪の道士(字幕での名前は、まさかのチッポケ道士)によって、キョンシーを操るちょっとしたピンチ等もあり、
このチッポケ道士(途中、字幕の文字数の関係で、道士をカットしてチッポケとだけ表記されるのは少し面白いです)が、後半になって急に兄弟子を呼び出し、
その兄弟子(演じるのは武術指導も兼ねるアラン・リー)が、一応急遽ラスボスとなってキョンシー訓練所に襲いかかります。
で、それに対するのが、カンフースターであるジャック・ロンですので、ラストバトルは、全然メインではなかった人間二人のカンフー対決となっていきます。
勿論、しっかりと動ける二人の対決なので見ごたえはありますが、ずっとキョンシーメインの物語でしたので、
もう少しキョンシーがらみでも良かったかと思われるのですが、どうでしょうか。
このメインではない二人のラストバトル中、一応、キョンシー達も近くで頑張っているので、最終的な必殺技をキメるという重要な役柄は、
しっかりとキョンシーメンバーの一人が演じていますので、最終的にはなんとか主役たちが争いを治める展開になっていきます。
ただ、このメンバーも実はキョンシーではなく、仮死状態の悪者一味の親方、という微妙な立ち位置なので、よく考えたら活躍するのは全員人間、という事になるのですが、、、。
という事で、改めて鑑賞し直してみると、確かにそれまでのキョンシー映画にあるような設定は結構無視している世界観なので、
異色ではあるけれども、キョンシーブームが、とうの昔に終了してしまった現在からすると、意外とオリジナリティがあって、しかも娯楽要素は満載ではあるので、
結構楽しめる作品だという感想に変わりました。
ただ、訓練所内だけの物語で終まってしまっていますので、これが、各地に旅をしながら訓練の成果を発揮するような展開になっていれば、もっと話題になる作品になっていたのではないでしょうか。
訓練をする物語は、その後の本番で活躍するという目的があるから訓練シーンが活きてくるのであって、
その後が描かれないのは、ジャンプ漫画の打ち切り最終回のような、『さぁ、いくぜ!、、、、、完』的な終幕に、やはり尻切れトンボ感は否めません。
という事で、ちょっと変わった内容のファミリーキョンシー作品となっていますので、通常のキョンシー作品にちょっと飽きてしまった、という方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、(キョンシーズ)のテンテンちゃんを意識したようなちびっ子も登場しますが、ほとんど活躍しないのが残念です。
作品情報
1988年製製作 香港・日本・台湾製作 キョンシーアクション
監督 張建佶 製作総指揮 染野行雄 製作 リー・ツォーナン 武術指導 アレクサンダー・ルー、アランリー
出演 ジャック・ロン、コ・ミンチョン、ティン・テンヤン、アラン・リー
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