おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
巨匠キン・フー監督が、ジョイ・ウォン主演、サモ・ハンキンポー共演で、有名な原作(画皮)を映画化した怪談風味漂う美麗な武侠アクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
東京国際映画祭上映題名 ペインテッドスキン
今回ご紹介するのは、巨匠キン・フー監督がジョイ・ウォン主演で有名原作(画皮)を映画化した武侠ファンタジー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
科挙の試験に不合格となったワン(アダム・チェン)は、酒に酔った帰り道、ある人物から逃げてきた美しい女性ヨウと出会う。
怯えるヨウと自宅に招き、そのまま寝室へと誘うワンだったが、その直前にヨウが人間の皮を被った幽霊である事に気付く。
ヨウは、死後この世とあの世の狭間で陰陽大王という邪悪な存在に捕まってしまい、そのまま先に進めずに転生する事もできないでいた。
そこで、ワンは、知り合いの道士に頼み、陰陽大王討伐のために絶大な法力を持つ仙人の下を訪ねるのだった!?
巨匠、キン・フー監督の遺作の武侠アクション作品です。
主演は女幽霊役に、(チャイニーズゴーストストーリー)で大ブレイク中のジョイ・ウォン、
そしてその女幽霊と関係を共にする学生役にユン・ピョウ主演、本作のサモ・ハンキンポー共演、ツイ・ハーク監督の名作武侠アクション(蜀山奇傳天空の剣)のアダム・チェン、
そして、女幽霊と旅を共にする道士役で、(チャイニーズゴーストストーリー)のイン道士役でお馴染み名バイプレーヤー、ウー・マ、
後半のラストバトルで大活躍する仙人役で、お馴染みのサモ・ハンキンポー、
そしてゲスト出演ながらも、少ないアクションシーンでしっかりと印象を残していく、(霊幻道士)のラム・チェンイン、
という感じで人気実力共に兼ね備えた豪華なキャストが集結した作品となっています。
そのキャストが演じる物語は、(チャイニーズゴーストストーリー)の原作としても有名な短編集(聊斎志異)の中の一篇(画皮)の映像化という事で、
(チャイニーズゴーストストーリー)のような切ない雰囲気を持ちながらも、より怪談話要素を強調した物語となっています。
(画皮)といえば、日本ではドニー・イェンも出演し、アクションで活躍している切ない系武侠作品(画皮~あやかしの恋~)と、
ドニー・イェン以外の主要出演者据え置きで、新たな物語を描くシリーズ第二弾(妖魔伝レザレクション)が一番有名ではないでしょうか。
その他にも中国で製作されたテレビドラマシリーズ版や、
強烈な幽霊が印象的な怪談ホラー色の強い1966年度版など、古くから人気の題材となっています。
物語としては(聊斎志異)っぽい、つまり(チャイニーズゴーストストーリー)っぽい内容の怪談物語で、
科挙の試験に落ちた学生が、夜道で嘆く綺麗な女性に出会い、妻がいるのに下心満載で自宅に連れ帰り、
そのままベッドに誘うと、女性が『先に風呂に入りたい』と言い出したので、風呂に入れてやり、その様子を隣の部屋から覗いてみると、
顔の皮を剥がして正体を現す、というゴーストストーリーとなっています。
で、その幽霊は実は地獄へ行きたい(地獄行きは決定事項のようです)けれども、この世とあの世の間を支配している陰陽大王という悪者によって邪魔をされるので、
その先に進んで転生して生まれ変わる事もできずに困っている、
という事になり、街で出会った道士に相談し、道士とその師匠、女幽霊の3人パーティで、陰陽大王を倒すほどの法力を持っている仙人に助けをこうための旅にでる、
という大筋になっています。
他の(画皮)作品も大筋では似たような流れですが、そこに本作独自の陰陽大王という分かりやすい悪党設定を加える事で、
後半は冒険アドベンチャー的な展開も見せる法術バトルへと突入していきます。
ですので、前半は原作に近い怪談物語、後半はオリジナルな冒険アドベンチャーという感じで、一粒で二度美味しい作品となってます。
ただ、正直、後半は予算の都合などもあったのか、結構な駆け足感と、引っ張っておきながら割と淡白なラストバトルへといつの間にか突入していってしまいますので、
煽るだけ煽っておいて、意外とすんなり終わってしまう、というちょっとした消化不良感も残る終幕となっています。
バトルに関してもサモ・ハンキンポーや、アダム・チェン等数々のアクション作品で活躍してきたレジェンドが出演していますが、
超絶アクションという感じではなく、完全に巨匠キン・フー作品の一人の出演者として(侠女)や(山中伝奇)等のトランポリンを全開で使用していた時期の古風なアクションがメインとなっていますので、
キン・フー監督の作品世界を決して壊さないようなアクションとなっています。
ただ、中盤、友情出演で(霊幻道士)のラム・チェンインが登場しますが、その一瞬のアクションシーンだけ、やたらと90年代チックなアクションが決まるシーンとなっていましたので、
もしかすると、そこだけキン・フー以外のアクションのプロが演出を任されていたのかもしれませんね。
勝手な邪推ですが。
個人的にはオリジナルな後半の冒険パートよりも、原作に近い前半の怪談パートの美しくも、おどろおどろしい映像や音楽などの雰囲気が、
それまでのジョイ・ウォンの綺麗な部分だけが強調される女幽霊役に一つ別な魅力を見せたようで、非常に新たな輝きを放っているように感じました。
後半も、前半でずっこけ弱虫的な役柄を演じていたアダム・チェンが陰陽大王にとりつかれて、悪魔のような形相で戦いを挑んでくる姿は、
(蜀山奇傳天空の剣)の剣士役を思わせるようで、非常に魅力的ではあるのですが、なにせアクションが結構淡白なので、イマイチ乗り切れない、というのが正直なところです。
という事で、巨匠キン・フーが監督した最後の作品で、前半のおどろおどろしさや、後半のアクション展開など、
色んな魅力のある作品となっていますので、武侠作品好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしてもジョイ・ウォンの綺麗さはまさにこの世のものとは思えないレベルですね。
作品情報
1992年製作 香港製作 武侠ファンタジー
監督 キン・フー
出演 ジョイ・ウォン、サモ・ハンキンポー、アダム・チェン、ウー・マ
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