おすすめ度 ★★★★★★★★★☆
ある悲惨な出来事によって事件の当事者となった平凡な家族が、追い詰められながらも映画マニアの父親を中心に危機に立ち向かう、緊迫感満載の秀作サスペンスドラマ!!面白いです!!
作品紹介
今回ご紹介するのは、ある事件をきっかけに家族が困難に立ち向かうサスペンスドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
インターネット回線会社を経営するリーは、家族4人で幸せに暮らしていたが、ある日、不良高校生によって娘が暴行され、
その娘を助けるために立ち向かった母親が、逆に誤って相手の高校生を殺害してしまう事件が発生した事を知る。
それを聞いた父親は、大切な家族を守るためにある計画を実行に移すのだった!?
家族が犯した罪を、家族全員が一丸となって完全犯罪に持ち込む中国製のサスペンス作品で、
2013年に製作されたインド映画(DRISHYAM)のリメイク作になります。
本作は、本国大ヒットにより、同スタッフ・キャストによる続編(誤殺2)も製作されました。
で、本作ですが、大筋としては配給元の予告編やあらすじで説明されているように、不良高校生によって睡眠薬を飲まされて暴行され、その動画を基にゆすられている女子高生の娘を助けるために、
誤って少年を殺害してしまった母親と娘を守るために、本来穏やかで善人、そして映画マニアの父親を中心として、
家族が一丸となって完全犯罪を計画する、という非常にサスペンスフルな展開の物語となっています。
この父親が映画マニア、というところが本作のポイントで、年間数百本の映画を鑑賞するほどの映画好きが、
その豊富な映画の知識を使って、過去に鑑賞した犯罪映画などのトリックを参考に完全犯罪を目論んでいく事になっていきます。
冒頭から(ショーシャンクの空に)や、(セブン)等の犯罪サスペンスやドラマの引用が上手く、中でも本作の本編にも重要な要素として絡んでくる、
傑作韓国犯罪映画(悪魔は誰だ)が非常に効果的に使用されています。
本作を鑑賞するにあたって、特に引用元を鑑賞していなくても、必要な事は全て説明してくれますので全く問題なく鑑賞できますが、
鑑賞していれば、そういう作品群を日ごろから観て親しんでいる父親が計画した完全犯罪、というバックグラウンドは理解できますので、
より作品世界に浸れるのではないでしょうか。
そんな父親が活躍する本作の設定の面白いところは、まずは、完全犯罪を目論む話ではあっても、
その計画の首謀者である父親は実際には殺人を犯していない、というところです。
本来は他人の罪なので、完全犯罪を目論む必要もないのですが、これが将来のある自分の娘を救うためにやむなく冒してしまった母親(妻)の殺人、
という事で、追い込まれている母親と娘を守るために本来善人で周りの人たちにも好かれている存在の父親が、
先頭にたってその罪を隠蔽しようと工作する、というその完全犯罪を成立させようとしている家族全員が、
基本的には被害者であったはずの善良な人たち、という点が本作の需要なポイントとなっています。
逆に被害者である不良高校生は、どうしようもない悪人として描かれていますので、そこは完全にエンターテイメントとして
主人公家族に感情移入できるように配慮されています。
で、そんな家族が完全犯罪を遂行する上での越えなければならない壁として、
この不良少年の母親が登場します。
で、しかもこの母親は現地タイ警察の女性局長で、夫は議員という非常に富と権力の象徴のような存在で、
しかも、かなりの職権を乱用するタイプで現代の警察組織とは思えないぐらいに横暴な捜査も見境なくやる、
ぐらいの権力を持っています。
流石にちょっと誇張しすぎなような気がしますが、とにかく越えなければならない大きな壁として物語を盛り上げています。
ただ、そうはいっても自分の愛する息子が行方不明になって捜索している側でもありますので、なかなか複雑な立場なのですが、、。
という感じで、非常にドラマチックな設定が、本作の見どころの重要な要素となっていますが、その物語の面白さを十分に表現しているキャストも
作品を盛り上げる重要な要素となっています。
父親役を演じている(唐人街探偵NEW YORK MISSION)(詳しくはこちら)やジャッキー・チェン主演の(ドラゴンブレイド)等が人気のシャオ・ヤンは、まさに名演技で、
善人で優しい性格でありながらも、家族のためなら何をすることもいとわない、という父親としての力強さを感じさせるハマり役となっています。
母親役を演じている(チイファの手紙)や(薬の神じゃない!)等のタン・ジュオも、実際に娘のために殺人を犯してしまい、
だんだんと追い込まれていく不安定な母親役を、繊細な演技で好演しています。
両親二人に続く娘二人も名演技で、被害者であったはずが、不幸にも事件の当事者となってしまった女子高生の娘と、
幼いながらも必死で家族のために父親に言われた通りに取り繕おうとする次女の名演技には、思わずもらい泣きしてしまいそうになります。
そんな家族側の名演技もさることながら、その家族に立ちはだかる大きな壁として登場する警察局長を演じるのは、
(ラストエンペラー)や(パープルストーム)(詳しくはこちら)テレビシリーズ(ツインピークス)でお馴染みのジョアン・チェンです。
登場から犯罪を立件するためなら証拠を捏造しても全く問題ない、という独特の捜査方法が炸裂する強敵を貫禄たっぷりに演じています。
特に後半になるにつれて、その横暴ぶりがエスカレートしていき、家族を鬼気迫る演技で追い詰めていく鬼のような形相は、
観ているだけで恐怖を感じてしまうぐらいに緊迫感のある名シーンとなっています。
見方を変えれば、主人公家族は、行方不明になっている息子の事件の容疑者でもあるので、悪役でありながらも被害者家族でもある、
という難しい役どころに説得感を持たせています。
さらに、少年の父親であはあるけれども、その多忙ぶりのために家族の問題に責任を持ってこなかった議員役にアンディ・ラウ、ドニー・イェン主演の(追龍)(詳しくはこちら)等の香港映画で大活躍中のフィリップ・キョン。
主人公の友人であり、毎日食事に行く食堂の店主役で、(映画真・三國無双)(詳しくはこちら)等の香港レジェンド俳優チョン・プイ、
と主役から脇役まで演技派が揃ったキャスティングとなっています。
そんな演技派たちが、名演技を披露する緊迫感満載の傑作サスペンスとなっています。
物語展開について書いてしまうと、楽しみがなくなってしないますので、詳細は割愛させていただきますが、
心地良く二転三転するスリリングなストーリーを堪能している間にあっという間にエンディングを迎えている、
というまさに映画の醍醐味を味わえる作品となっています。
という事で、映画好きの方や、サスペンスミステリー好きの方等が、十分楽しめる作品となっていますので、
機会がありましたら是非ご鑑賞ください。
面白いですよ。
作品情報
2019年製作 中国製作 サスペンスドラマ
監督 サム・クアー
出演 シャオ・ヤン、タン・ジュオ、ジョアン・チェン、フィリップ・キョン、チョン・プイ、オードリー・ホイ、ビアン・ティエンヤン
その他の中国・香港製作サスペンス作品
パン兄弟監督による超自然的な深森スリラー作品(死の森)はこちら
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