おすすめ度 ★★★★★★★★★☆
売れない小説家の青年と娘を誘拐された父親の物語を、現実と虚構の世界入り混ぜて描く、傑作ファンタジーアクション!!興味を掻き立てるストーリー展開、テンポの良いアクション等、見所満載で必見です!!
作品紹介
2022年1月28日公開
今回ご紹介するのは、現実世界と小説の世界の物語を入り混ぜながら展開していくファンタジーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
娘を誘拐され6年間誘拐犯を追い続けている父親グァン・ニン(レイ・ジャーイン)は、やっとの事で誘拐犯の居所を突き止め犯人に迫るが、
寸前で取り逃がしてしまい、逆に警察に自身が誘拐犯だと誤解されて逮捕されてしまう。
そんな中、ある人物からの援助で、誘拐された娘の居所を突き止めたので、その情報と引き換えにある人物に接触する事を依頼される。
その人物は(神殺し)という小説を執筆中の売れない小説家だった!?
中国で168億円以上の大ヒットを記録した話題のファンタジーアクション作品です。
散々香港、中国作品を鑑賞しているのに、本作の存在は鑑賞する直前まで知りませんでした。
最近の中国作品事情を観ていると、正直、同じような内容の作品ばかりで、アクションやCG等も、本当にこれで中国の人は喜んで観ているのか?と思えるような作品も少なくない状況になっています。
そういう流れですので、本作も劇場まで足を運んで観る価値があるのかどうかも迷ってしまうぐらいの感覚で観てみました。
結果は、、、、
これぞ、まさに娯楽ファンタジー!!
といって良いぐらいに完成度の高い傑作となっていました。
ストーリー展開、登場人物たちの熱演、CGでの映像表現、鎧や衣装、セット等による唯一無二の世界観、壮大で場面を盛り上げるBGM、テンポの良いアクション、
という感じで、非常に魅力的な見所満載の娯楽ファンタジー作品となっています。
近年製作された中国作品の中では群を抜いて完成度の高い作品ではないでしょうか。
個人的には、とにかく観ている間中ずっと面白くて、飽きる瞬間がほとんどありませんでした。
この作品と他の気のない武侠作品が同じ国で製作されているとは思えないぐらいの秀作となっています。(ポスター等からだけの判断だと大差ないように見えてしまうのが、もどかしいのですが、、)
監督は(修羅 黒衣の刺客)や(ブレイドマスター)等のルー・ヤン監督。
出演は、娘を誘拐され、以来6年間誘拐犯を探し続ける父親グァン・ニン役に本作ルー・ヤン監督の(修羅 黒衣の刺客)にも出演しているレイ・ジャーインと、
売れない小説家ながらも書き続ける事に人生の意味を見出している青年コンウェンと小説世界の主人公の二役を演じる(ナミヤ雑貨店の奇蹟 再生)等のドン・ズージェン。
そして、現実世界でグァン・ニンに接触してくる女性役に(リセット 決死のカウントダウン)(詳しくはこちら)や二コラス・ツェー主演の(バレットヒート消えた銃弾)、
そしてルー・ヤン監督の(修羅 黒衣の刺客)にも出演しているヤン・ミー、
それと小説世界で主人公を助けるお姉さん役で、少しの出演ですが、大アクションシーンを披露しているツイ・ハーク監督の(タイガーマウンテン)等にも出演しているトン・リーヤー等、
話題性、実力共に兼ね備えた魅力的なキャスティングとなっています。
物語としては、娘を誘拐され、6年間犯人を捜し続けている父親と、インターネットサイトに小説を書き続けている売れない小説家の青年の物語がまずは並行して描かれます。
そして、さらにその青年が書いている小説の物語も同時進行で描かれていきながら、その小説の物語が、
何故か現実世界に影響を及ぼしていく、という展開になっていきます。
現実世界の流れとしてまずは、誘拐犯と誘拐された娘の父親である主人公との攻防が描かれていきます。
この展開だけでも非常にテンポが良く、サスペンスアクションとして非常にスリリングに描かれています。
そしてこの前半の誘拐犯との攻防で、本作の大事な要素の一つである登場人物それぞれのちょっとした特殊能力が描かれます。
主人公の特殊能力は中国版ポスターでも少し示唆されていますが、恐るべき精度で、投げたものを標的に当てることができる、
という能力を持っています。
一見地味な特殊能力ですが、ほぼ百発百中で当てられる、という事はそれなりの破壊力のある武器を所持しているのと同じぐらい(しかも腕力も常人の倍ぐらいありそうです)の
攻撃力があるのと変わりませんので、十分な攻撃力になります。
この特殊能力設定、前半こそそれほど活きてきませんが、クライマックス近辺では、他の特殊能力持った者との大バトルなどもありますので、
後半は大興奮の展開になっていきます。
ただ、少し残念なのは、何故そんな能力を持った者たちがいるのか?が詳しく説明されませんので、バトルに唐突感があり、
対処法等もはっきりしないのが難点と言えば難点となっています。
その辺の特殊能力の物語を掘り下げると世界観が物凄い事になりそうですが、是非とも続編などでその辺りの物語を描いてもらいたいところです。
で、そんな特殊能力をもった主人公が、ある権威を持った人物から、非常に危険な依頼を受けることになります。
本来、絶対断るべき内容ではありますが、相手は物凄く権力を持っていて、誘拐された娘の居所も突き止めているので、
その居場所を教える交換条件として、その危険な依頼をしてきた、というわけです。
で、その依頼というのが、しがない小説家の青年に関わることで、どうしてもこの小説家に接触しなくてはならなくなります。
で、その小説家と接触し、話を聞いていくうちに、小説の物語も同時進行で進んで行き、その小説の物語が現実と深く関わっていくようになっていきます。
この現実世界と小説世界の描き分けのバランスが非常によく、上手い具合に配分されていますので、それぞれの物語に飽きることなく、
自然と両方の世界の登場人物に感情移入できるようになっていきます。
現実世界の小説家と小説世界の主人公は同じドン・ズージェンが演じていますが、しっかりと演じ分けもされていますので、
同一人物と分かっていながらも、別な存在としてしっかりと描かれています。
ここは非常に大事なポイントで、後半両方の世界が上手く重なっていく、という秀逸な展開になっていきますので、
ドン・ズージェンは、売れない小説家と異世界で復讐に燃える優しい心根を持った青年とを同時に演じられる実力を持った絶妙なキャスティングとなっています。
アクションに関しては、武侠アクション的な要素はそれほど多くはありませんが、とにかくスピード感のあるシーンが多く、
まるで、香港映画のドニー・イェン作品を観ているような感覚にさえ陥るぐらいにアドレナリンMAXな名シーンの連続となっています。
CGの使い方も素晴らしく、アジア独特のオリエンタルな雰囲気を残しながらも、誰も観たことがないような唯一無二の世界観を構築しています。
さらにその世界観を作っている異世界の衣装が素晴らしく、独特の色合いやデザイン、そして身に着けている甲冑などのデザインが、
また独特で、その甲冑がそのままモンスター化して小説世界の主人公の相棒のようになっていく、という燃える展開の要素の一つになっていきます。
ルー・ヤン監督、正直他の武侠作品を鑑賞したときは、それほど感じませんでしたが、本作のように
アクションやファンタジー等の娯楽要素と芸術性のある作品との融合を絶妙なバランスで配合できる類まれなる存在ではないでしょうか。
これからの監督作に期待が高まります。
という事で、ちょっと世界観が壮大なので、一見すると物語がややこしくなりそうですが、実際鑑賞すると上手く説明されていますので、
気楽にアクション好き、ファンタジー好き、香港・中国作品好きの方など是非ご鑑賞ください。
面白いですよ。
作品情報
2021年製作 中国製作 ファンタジーアクション
監督 ルー・ヤン
出演 レイ・ジャーイン、ドン・ズージェン、ヤン・ミー、ユー・ホーウェイ、トン・リーヤー
その他の武侠ファンタジー作品
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