おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
(チャーリーとチョコレート工場)で有名なロアルド・ダール原作の劇場未公開なのが悔やまれる(魔女がいっぱい)の最初の秀作映画化作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、日本では劇場未公開ながらもVHSで人気を博し、近年配信で復活した秀作アドベンチャー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
幼いころに魔女に出会った祖母ヘルガと幸せに暮らす孫ルークは、イギリスの高級ホテルでの宿泊を楽しんでいたが、そこへ仲間を従えたある婦人が宿泊客として到着する。
その婦人の正体は実は魔女で、人間を支配するための決起集会を開くためにそのホテルを訪れているのだった。
集会場所に忍び込んだ事が魔女たちに知られてしまったルークは、魔法によってネズミの姿に変えられてしまう。
しかし、ルークは諦めず、魔女たちの野望を阻止するためにネズミの姿で奮闘する!?
(チャーリーとチョコレート工場)、(ビッグフレンドリージャイアント)、(ジャイアントピーチ)など映画化さている作品も多い、
ロアルド・ダール原作の(魔女がいっぱい)の最初の映画化作品です。
近年にもアン・ハサウェイ主演で再映画化され話題になりました。(詳しくはこちら)
そんな人気小説の最初の映画化である本作は、製作された1990年当時に日本ではどういうわけか劇場公開が見送られ、いきなりのVHSパッケージ化という、不遇な待遇で扱われた作品で、
その後DVD化も見送られてしまっていたので、作品の完成度に関わりなく、残念ながら日本では知名度の低い作品となっていしまっています。
それが、いつの間にか配信という形で復活していましたので、やはり配信は侮れません。
という事で、不遇な待遇を受け続けてきた本作ですが、これがその待遇のわりに、80年代の傑作アドベンチャー作品群を思い出させるような冒険心に溢れる傑作となっています。
原作のストーリーのワクワク感は勿論の事、やはり一番の魅力はジム・ヘンソンが手掛ける、特殊メイクに尽きるかと思われます。
当時はジェニファー・コネリー主演の(ラビリンス魔王の迷宮)や、香港のゴールデンハーベストと組んで製作した(ミュータントタートルズ)など、
独特の温かみのあるデザインで描かれる異形のファンタジックな世界の住民たちが織りなすドラマが、唯一無二の作品世界を生み出していました。
特に(ラビリンス魔王の迷宮)の世界観などはデヴィッド・ボウイの中性的な魅力と相まって、他の人では造り出せない異世界をまるまる創造していました。
そんな勢いに乗っている時期のジム・ヘンソンが携わった本作も、現実世界に魔女の世界観が切妙にブレンドされた原作の世界観を上手く映像化したジム・ヘンソンらしい傑作となっています。
監督は編集者出身で、(美しい冒険旅行)や(赤い影)等の名作を多く監督している映像派ニコラス・ローグ、で、本作では原作のファンタジックな世界観とジム・ヘンソン工房の特殊メイクを使って、
現実世界でありながらもファンタジックな世界観を融合させ、テンポの良い冒険アドベンチャーで味付けしていく、という離れ業を見事に映像に残しています。
主演は翌年(アダムスファミリー)で魔女の血を引くモーティシア夫人を演じることになるアンジェリカ・ヒューストンで、
魔女役を連続で演じる、というちょっと他の人ではあまりないような勢いを感じるハマり役となっています。
とにかく美しさ、というより睨まれると逃げられないような怖さが、魔女という役柄にぴったりとなっていて、主人公がネズミという極めて弱い存在になってしまう展開含めて、
非情に迫力のある怖い存在として作品世界を盛り上げています。
で、物語上それほど需要ではありませんが、ホテルの責任者として(ミスタービーン)で有名なローワン・アトキンソンが出演しています。
出番こそ多くありませんが、何をやっても仕草が(ミスタービーン)にしか見えず、嫌みな性格の役柄ですが、動きが完全にコメディアンで、
作品を笑いの面から盛り上げていました。
で、物語としては、まずは主人公であるルーク少年の祖母であるヘルガの少女時代の思い出話から始まり、友人の少女が魔女にさらわれて絵の中に捕らわれてしまったことや、
その騒動が原因で魔女についての知識があること等が説明されます。
で、ルーク少年の両親が不慮の事故で亡くなってしまい、生前両親が決めていた小学校へルークを入学させるために、そのホテルを訪れます。
そのタイミングで、舎弟を沢山引き連れたある怪しい雰囲気の婦人がホテルに到着します。
これがアンジェリカ・ヒューストンで、このホテルを訪れた理由は実は、アンジェリカ・ヒューストンは魔女を束ねる大魔女で、
魔女たちの決起集会を借り切ったホテルの催事場で行うためにこのホテルを訪れているという事が分かります。
そんなことも知らないルーク少年は飼っているネズミと遊ぶために催事場に忍び込んで隠れて遊んでいますが、やっぱり発見されてしまいますので、
魔女の黒魔術でネズミの姿に変えられてしまいます。
それでもなんとか逃げ延びるルークですが、魔女たちは黒魔術で人間支配を目論んでいることも分かってしまいますので
なんとか祖母の協力を得てその野望を打ち砕こうと大冒険を繰り広げる、というのが中盤までの流れとなっています。
終始温かみのある世界観が楽しく、何故この作品が劇場で公開されなかったのか?は謎ですが、新作の(魔女がいっぱい)と見比べてみると、
原作の再映画化という事ですが、アンジェリカ・ヒューストン演じる魔女のビジュアルや、演技、ホテルの外観や魔女たちの出で立ち、
そして製作会社も同じワーナーという事を考えると、原作の再映画化ではあるけれども、ほとんど1990年版の映画作品のリメイク、に近い状態ではないかと思われます。
それぐらいに両作品の共通点は多く見受けられます。
どうせなら、新作の(魔女がいっぱい)がソフト化されたときに一緒に本作もDVD化して欲しかったところですが、そこまでの価値は無いという判断なのでしょうか。
知らない人が多いだけで良作なので、一緒に宣伝すれば結構販売枚数上がると思うのですが、どうでしょうか。
という事で、埋もれたままなのはあまりに勿体ない良作アドベンチャー作品となっていますので、ファンタジー作品などがお好きな方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
古めの作品ですが、楽しいですよ。
作品情報
1990年製作 アメリカ製作 SFアドベンチャー
監督 ニコラス・ローグ 製作総指揮 ジム・ヘンソン
出演 アンジェリカ・ヒューストン、マイ・セッタリング、ローワン・アトキンソン、クリスティン・シュタインランド
その他のファンタジーアドベンチャー作品
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