おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
同じ場所で1913年、1955年、1976年、2008年に同じ条件で起きた事件の謎を解け!!友人が銃弾に倒れた銃撃事件の不可解な過去との符号の謎に迫る数学者を描いたSFミステリー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、同じ場所で同じ条件で別々の時代に起きた銃撃事件の謎を追うスペイン製のSFミステリー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
統合失調症の数学者ジョンは、ある夜友人ダビッドと共に24時間営業のガソリンスタンドに立ち寄る。
車内で友人を待つジョンだったが、その時突然の銃声とともにコンビニから逃げ去る人影を目撃する。
店内では瀕死の重傷を負ったダビッドが頭部から血を流して倒れていた。
ダビッドが意識不明の重体となる中、茫然自失とするジョンだったが、ふとしたことから、この現場で過去にも同じような事件が発生している事実に行き当たる。
その過去の事件との因果関係を調べるうちに、見過ごせない共通点を発見する!?
衝撃的な事件に出くわした主人公が、過去の事件との共通点を発見し、その謎を探っていく、SFマインドに溢れたスペイン製のスリラー作品です。
本作は基本的に数学者ジョンの物語と、学校でいじめに合っている10歳の少年ニコの物語が同時進行で交互に描かれていきます。
ニコの方の物語は、学校でいじめに合いながらも、たくましいシングルマザー母親と二人で懸命に生活している姿が細かく描かれていきます。
で、メインの主人公である数学者の方は統合失調症のようで医師から薬を処方されるぐらいの症状で、数字に捕らわれ、ちょっと思い込むタイプのようです。
数字に捕らわれている主人公という事で、なんでもかんでも23という数字に行き当たるという強迫観念に囚われた主人公をジム・キャリーが演じた(ナンバー23)を思い浮かべますが、
本作も同じように強迫観念的に数字の謎を解こうとする主人公の物語となっています。
で、そんな状況のジョンが、友人ダビッドと24時間営業の(コンビニ兼)ガソリンスタンドに立ち寄り、ダビッドが店内で買い物をしてる間、車内で待っていると銃声と共に、怪しい人影が走り去っていきます。
で、店内に入ってみると頭から血を流したダビッドが瀕死の重体で倒れていて、そのまま救急車で運ばれますが、その意識不明の重体になってしまいます。
で、その事件を目撃したのは全部で5人。
それぞれ53歳、42歳、32歳、21歳、10歳という年齢。
その後、ふとしたことから、この場所で1976年の4月12日にも同じような銃撃事件が発生していて、同じように銃弾の犠牲になった人が存在している事が分かります。
さらに調べてみると、その事件の目撃者も5人で、目撃者の年齢構成も同じ、という偶然では済ませられないような事実が判明します。
で、そらにもっと調べてみると1913年、1955年にも全く同じ場所で、同じ年齢構成の人物が関わっている事件が発生しているというトンデモない事実が判明します。
もう、ここまでくると恐らくその謎を解かずにスルーできる数学者はいない(多分)と思われますので、数字の謎を解こうと主人公ジョンは奔走します。
ここが本作の特徴的な部分で、普通の展開ですと、謎を解く事が事件の犯人逮捕に繋がっていたりするのですが、本作ではそうはならずに、
とにかく数字の謎を追います。
なぜ、同じ場所で、違う時代に、定期的に同じような事件が起こるのか?
数字の符号の謎は何なのか?
風呂敷だけが広がってしまいますが、主人公はひたすら数字の謎を追いかけます。
さらにこの謎解きを面白くしているのは、主人公が統合失調症で薬を飲まないといけない状況なのに、薬を飲むと頭がぼんやりとしてしまい、
判断能力が鈍ってしまうので、薬を飲むことを控えている、という点です。
この設定が加わっているので、物語の見方によっては、完全な主人公の妄想の物語にも見えてきたります。
ですので、当然こういうタイプの物語の常として、主人公がいくら数字の謎について周りの人に訴えても誰も信じてくれません。
数字の謎を追っていけば、何か重大な事実が判明しそうですが、やっぱり誰も信じてくれません。
で、どうしようもないので、主人公は単独で謎の解明を進めていきますが、今までの過去に遡って、同じ場所で、同じ条件がそろった時に同じような死亡事件が発生するなら、
今後も同じような犠牲者がでる事件が発生するのでは?
という考えに行き当たります。
ここで、数字を追いかける数学者ジョンといじめられっこニコの物語がなんとなくつながり始めます。
このままのサイクルを続けていくと10年後の同じ場所で、10歳の少年が命を落とす。
その事実に行き当たったジョンは、決死の行動に出ます。
で、二つの物語がつながるとき、予想外の事実が判明する、というのが後半の展開となっています。
割と突っ込みどころはありますが、クライマックスの【その時】を迎えるシーンはスローの多様やカット割りの妙で、
非常に盛り上がり、最終的に『そうくるか!』と思えるようなシーンとなっています。
その盛り上げ方は多視覚サスペンス(バンテージポイント)や、ジョニー・トー監督の(PTU)などのようにラストシーンで一挙にカタルシスが爆発するような仕掛けになています。
ただ、やはり犯人捜しのようなシンプルに感情移入できる大筋ではないのと、主人公がどう見ても数学者に見えないという2点がちょっと残念ですが、
それでもしっかりと考えられたミステリー心をくすぐる物語となっていますので、ミステリー好きの方など、ご鑑賞されてみてはいがかでしょうか。
ラストはパズルのピースがハマったようでなかなか爽快感ありますよ。ちょっと切ない系ですが、、。
作品情報
2018年製作 スペイン製作 SFミステリー
監督 ダニエル・カルパルソロ
出演 ラウール・アレバロ、アウラ・ガリード、ベレン・クエスタ、アントニオ・デチェント
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