修行度 🔥●●●●●●●●●
(THE EYE)のオキサイド&ダニー・パン兄弟による、香港の自殺者の多い森で起きる殺人事件の謎を描いたネイチャーホラーと思いきや、後半のトンデモ展開が独特過ぎる、他の監督では製作できないホラーミステリー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、タイで有名になった香港出身兄弟監督、パン兄弟のオリジナリティ溢れるホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
植物学者シューホイ(イーキン・チェン)は、植物にも感覚と思考がある、という学説を提唱し、日夜研究に励んでいた。
そんな時、自殺者が後を絶たない森で、強姦殺人事件が発生する。
事件を担当したハ刑事(スー・チー)は、容疑者を逮捕するが、容疑者は容疑を否認していた。
捜査に行き詰ったハ刑事は、シューホイに捜査協力を依頼する。
それは、目撃者のいない殺人事件に、森の木々自身に実験装置を設置し、森から証言を得ようとする前代未聞の捜査方法だった!?
香港出身でタイで有名になったオキサイド&ダニー・パン兄弟の監督作品です。
パン兄弟は、(THE EYE)シリーズや、(オーメン予兆)、(テッセラクト)(詳しくはこちら)などのアジア作品の監督として知られ、
さらにクリスティン・スチュワート主演、サム・ライミ製作の(ゴーストハウス)やニコラス・ケイジ主演の(バンコックデンジャラス)など、ハリウッドでも監督作を残しています。
基本的にはホラーやアクションなどの娯楽要素の強い作品が多いですが、その監督作品を通じて、通常の香港映画のテイストとは少し違う、
香港映画にタイ映画のエッセンスを加えたような作風が特徴となっています。
また、その独特の雰囲気に、奇抜な発想の物語展開の作品が多く、ほとんどの作品を二人の兄弟のどちらかが演出し、
そこへ時々、もう一人の兄弟であるカラン・パンが加わる事で、この兄弟が作り出す独自の世界観を守っています。
そんな独特の作品の多いパン兄弟作品ですが、本作も例に漏れず、かなり独特の展開のホラー作品となっています。
まず、日本の樹海に相当するような香港で自殺者の多い森で、強姦殺人事件が起こり、容疑者は逮捕されるものの、容疑を否認し、
目撃者が存在しないので、迷宮入りか?という状況になります。
そこで、事件を担当しているスー・チー刑事は、何故か植物学者のイーキン・チェンに捜査協力要請の連絡を入れます。
イーキン・チェンは植物にも感覚や思考がある、という独特過ぎる学説を提唱していて、植物にも恐怖や喜びの感覚がある、と考えていて日々実験を繰り返しています。
例えると、イーキン・チェンが癇癪を起して物を投げて、勢いで植物の茎を折ろうとすると、植物が恐怖に怯えて反応する、というトンデモシーンが登場したりします。
深い森で起きた殺人事件で、目撃者もいないため、スー・チーは、まさかの最終手段で、イーキン・チェンの実験装置を殺人現場の森に設置し、
森自身から目撃証言を聞き出そうという、物凄く独創的な捜査方法を選択したのでした。
森から目撃証言を得るという事は、恐怖の感情だけならまだしも、なんとなく説明も無しに、そこから数段進んだ、森が広東語を理解している事が前提の実験になっていますが、
そんな細かい事は気にせずに、実験準備は着々と進められ、さらにこの奇抜な捜査はメディアで話題となり、多くの記者がその実況見分に立ち会う事になります。
そこで、記者たちは驚愕の再現現場を目撃する事になります。
と、ここまでが中盤ですが、前半はJホラー的な不気味な恐怖がなかなか鳥肌展開でしたが、このトンデモ捜査を開始する辺りからは、
急激に非現実的なファンタジックな展開になっていきます。
森に何かがいるかもしれない、という正体不明の恐怖から、急に霧が大量に出てきたり、まさかの大木がス~っと動いて道の形を変えたり(歩いている人が道に迷って出てこれなくなるのは、木自体が動いているため、というトンデモ)、
と急に恐怖とは程遠い展開へと突入していきます。
一人で入ると迷うのに、大勢で入ると全く迷わない理由の説明もありませんが、この悲しい森には、この場所で、自殺者を思いとどまらせようとして、
森の中にある小屋で暮らしている元刑事のおじさんがいます。
で、このおじさんが意外に重要人物で、割と物語上、重要なヒントとなるような台詞を連発します。
『森は、命を捨てようとしている者には厳しいが、生きようとしている者には優しい』
『森で自殺してしまった娘の霊が居るこの場所を離れる事はできない』
『彼らには自ら命を絶とうとしている人間の事が理解できない。だから自殺しようとしている人以外の命を奪う事は無い』
など、物語上かなり重要な台詞が連発されます。
で、そんな中、イーキン・チェンの恋人(今回スー・チーは普通の刑事役なのでロマンス的な側面は他のキャストが担当しています。刑事には全く見えませんが、、)が、
森の中で行方不明になります。
何故か他の警察官は捜査に参加せず、スー・チーとイーキン・チェンの二人だけで、深夜の深い森に踏み入って、捜索を開始しますが、
どこを探しても見つかりません。
それでも、小屋のおじさんは本人が死のうとしていない限りは、大丈夫と言っています。
行方不明になっている理由も知らないのに、、(実際イーキンとスー・チーの浮気を勘違いした恋人が自暴自棄になって森に入って行っているので、危ない状況なんですが、、)
という事で、果たして恋人は見つかるのか?森にいる何かに殺されてしまうのか?という展開になっていきます。
ここまでも相当なトンデモぶりですが、パン兄弟作品は、ここで、終わりません。
ラストに唖然とするほどのトンデモ落ちが待っています。
普通、それは絶対に避けるであろう驚愕の展開です。
下手すると、今まで積み上げてきた物語展開を全てぶち壊してしまいかねないほどのトンデモぶりです。
詳細まで書いてしまうと、もう本作の楽しみどころが無くなってしまいますので、詳しくは割愛しますが、一応、最後の最後に、
そのトンデモシーン(ズバリではないですが)のヒントとなる場面画像のみ、ご紹介させていただきます。
もし、ノーヒントで作品をじっくり味わいたい、という方はそこは見ないようにお願いします。
という事で、全体的にトンデモすぎるパン兄弟の俺ジナルホラー作品となっていますので、ご興味のある方は、ご鑑賞ください。
ネタ的に見た、という満足感はそれなりに得られますよ。
そういえば、ラム・シューも出てます。
作品情報
2007年製作 香港製作 ホラー
監督・製作・脚本 ダニー・パン 制作 オキサイド・パン 編集 カラン・パン
出演 スー・チー、イーキン・チェン、ラウ・シウミン、レイン・リー、ラム・シュー
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