お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
音を立てたら、超即死!!前作で描かれた世界の発端と、前作のその後の物語を、子供の成長物語としても映画く、全編サスペンスフルな展開が秀逸なモンスターホラー!!
作品紹介
2021年6月18日公開
今回ご紹介するのは、エミリー・ブラント主演による大ヒットモンスターホラー作品の続編です。
それでは、まずはあらすじから、
音を立てると襲ってくる外敵によって、夫と幼い息子、住む家を奪われたエブリン(エミリー・ブラント)と二人の子供たちは、生まれたばかりの赤子を連れ、
安全な土地を求めて住み慣れた土地を後にしていた。
そんな旅の途中、外敵に襲われたところを、ある人物によって救われる。
外の世界を完全に遮断して生き延びていた、その人物は、エブリンの良く知る人物だった、、!?
大ヒットモンスターホラー(クワイエットプレイス)の同スタッフ・キャストによる待望の続編です。
本作は、物語の展開自体を楽しむ作品ですので、あまり書いてしまうと、作品を楽しめなくなってしまいますので、大筋のアバウトな展開のみで、ご紹介させていただきます。
前作は、音を立てる者に例外なく襲い掛かるモンスター、と人間の戦いを、あくまで一家族目線で描き切る、低予算を逆手に取った演出が秀逸な傑作モンスターホラー作品となっていました。
少ない予算でも、優れた脚本と、演出力、キャストの演技力で、十分ハリウッド大作とも同格の面白い作品が製作できる事を証明するかのような作品となっていました。
その大ヒット作品の待ちに待った続編は、前作で描かれたようなモンスターに人類がほぼ絶滅レベルに追い込まれるようになった出来事の発端から描かれていきます。
そこで、何もない平和な日常から、モンスターの襲来までを、結構な長回しのエブリンの家族目線の主観映像で描かれています。
しかも何かが飛来して、人々が逃げ始めて、襲われていくまでの数分の出来事が、間髪入れずに丁寧に描かれていますので、
エブリンのモンスターとの実際のファーストコンタクトは、車の運転中なので、いきなりモンスターとの変則的なカーチェイスシーンに突入する、
という物凄く緊迫感の伝わる状況で、日常が壊されていく様子が表現されています。
前作の大ヒットで、続編である本作の製作費は、かなり増えたようですが、良くある大ヒット作品の続編がスケールが大きくなりすぎて、
1作目の世界観をまるでぶち壊してしまうぐらいに風呂敷を広げ過ぎてしまったり、予算をかけるだけかけて、キャストは豪華になったけれども、1作目のキャストがほとんど出て来なかったり、
と、シリーズとしての統一感が全く失われている作品も少なくない中、
本作は、前作の大ヒットで増えた続編の予算を、世界観を損なわないように、あくまで一家族目線での表現は維持しつつ、
この冒頭のシーンなどの、手の込んだ主観映像表現で存分に費やして、寄り緊迫感ある映像を作り出す、という選択肢をとっています。
ですので、明かに予算が増えて、豪華なシーンが増えている作品なのに、物語の世界観は、前作との違和感は全く感じる事なく、
前作の始まりと、直後のシーンに直結する展開でも、まるで同じ作品を連続して鑑賞している、ぐらいに統一感を感じる事ができます。
この統一感のある出だしで、前作から明かされていなかった、エブリン家族以外の家族たちが、その時どうなっていたか?が描かれます。
ですが、それは本作のメインの物語ではなく、あくまで、出来事の発端と、それによって人々がどのような目に合っていたのか?を描くだけで、
メインとなるのは、前作の直後からの物語ですので、発端とその直後だけを描いて、物語は一挙に前作の直後へと移行します。
という事で、いよいよ本編の開始となります。
前作のクライマックスの後、エブリン家は住み慣れた家を後にすることになります。
で、旅の途中である人物と出会います。
このキャラクター、初登場ではありますが、突然この物語に登場する、というわけではなく、本作の冒頭で事件が起こる前の関係性などがしっかりと描かれています。
さらに、この冒頭のシーンでは、後半の展開で重要な役割を果たす伏線も何気にしっかり散りばめられていて、後半一番盛り上がるべきシーンで、その伏線がちゃんと回収されていきますので、
後半の盛り上がり方は、通常のモンスターホラー作品では、全く体験できないレベルの盛り上がりを見せます。
この辺は、流石に前作を成功に導いた才人、ジョンン・クラシンスキー監督といった感じの演出となっています。
この初登場キャラクターと出会う事で、エブリン家は、大きく運命を変えていきます。
その人物にとっては、乗り気ではない接触ではありましたが、しかし、エブリン家と出会った事で、この人物自身の運命も大きく変わっていきます。
前作が、あくまでエブリンと夫のリーが家族のために戦う物語だったのに対して、リーを失った後の本作は、母親であるエブリンが家族を守る物語にプラスして、
2人の子供たちの旅立ちの物語でもあります。
二人の子供たちの旅立ちと、その旅立ちの準備を手助けする大人たちの物語です。
それは、娘にとってはモンスターを倒す希望の地への旅立ちであったり、
弟にとっては自分一人で勇気を振り絞って幼子を守る事であったりします。
また、母親にとっては、息子を信じて留守を任せての医療品確保であったり、
出会った人物にとっては、閉じこもっていた自分だけの世界から外に出て、少しの希望にかける事であったりします。
冒頭で描かれているように、平和な日常が突然に奪われてしまう事で、まだ幼い子供たちは、その成長を急に即される状況に陥ってしまいます。
子役二人の名演技が前作以上に緊迫感たっぷりに描かれていますので、極端に言うと、本作の主役は、この子供たち二人、と言ってしまっても過言ではないぐらいの活躍を見せてくれます。
恐らく、この調子でいけば、父親と母親の意志を受け継いだ子供達は、その後の未来の物語では、もっとメインで活躍を見せてくれそうです。
本作の上手い所は、そんな含みを持たせつつ、今後色々な展開を予感させる、余白を、恐らくわざと残して、物語が描かれている所です。
子供たちの成長をしっかり描きつつも、今回明らかになる事実も多数でてきます。
ですが、新しい事実が明らかになった事で、さらに新しい未知の部分も多数出てきていますので、
恐らくその辺の事実は、今後のさらなる子供たちの成長と共に描かれていくのではないかと思われます。
という事で、前作から待ちに待った続編で、内容も期待を一切裏切らない、非常に楽しめる作品となっていますので、是非ご鑑賞ください。
非常に統一感のある作品ですので、できれば、前作鑑賞済みの方も、もう一度前作をおさらいしてからのご鑑賞をお薦めします。
作品情報
2020年製作 アメリカ製作 モンスターホラー
監督・製作・脚本 ジョン・クラシンスキー 制作 マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラー
出演 エミリー・ブラント、キリアン・マーフィー、ミリセント・シモンズ、ノア・ジョブ、ジョン・クラシンスキー
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