【香港映画】北京原人の逆襲(THE MIGHTY PEKING MAN)90分

投稿者: | 2021年5月28日

お薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆

香港映画の老舗ショウブラザース製作の下、日本からは特技監督に川北紘一監督も参加した、今現在でもハリウッドでカルトな人気を誇る香港初の大作特撮怪獣映画!!

作品紹介

1978年3月11日公開 (カラテ大戦争と併映)

今回ご紹介するのは、香港映画の60年代から80年代までの黄金期を支えた伝説の映画製作会社ショウブラザースによる、豪華な特撮怪獣映画です。

それでは、まずはあらすじから、

興行師であるルー(クー・フェン)は、ヒマラヤの奥地で起きた地震の影響で、長い眠りから覚めた北京原人の捕獲を計画し、

その捜索隊の隊長にチェン(ダニー・リー)を招集する。

その道中、人食い虎や、熊、凶暴な象の大群などの困難が続き、混乱の中チェンも行方不明になった事で、ルーは捜索を諦め帰国してしまう。

ジャングルに一人残ったチェンは、そこで生活しているアウェイ(イヴリン・クラフト)に命を救われ、ついに北京原人に遭遇する事に成功する。

まだまだヒーローだったダニー・リー
健康的なお色気が魅力的なスウェーデン女優、イヴリン・クラフト
大御所クー・フェンは今回も悪役

香港映画界の老舗、ショウブラザース社がハリウッド大作(キングコング)の香港版製作を目指して製作した、特撮超大作です。

予算のほとんどはその豪華な特撮に費やされたようで、その特撮スタッフのほとんどは日本から熟練スタッフが招集されました。

村瀬継蔵特技監督を筆頭に、有川貞昌監督、川北紘一監督、黒田義之監督など、豪華なメンバーで、製作期間も2年半という長期にわたって撮影された記念碑的作品となっています。

興行的にも大成功を収めて、後年には、本作を愛してやまないクエンティン・タランティーノ監督がハリウッドで配給をプロデュースして上映したほど世界的にファンの多い作品となっています。

やはり本作の魅力は、その素晴らしい日本の技術を駆使した特撮部分にあるのは間違いありませんが、個人的にはそれ以外の部分でも、作品内容や、物語展開などで楽しめる作品となっていました。

素晴らしい東宝ゴジラ映画を彷彿とさせるミニチュア特撮

なにぶん77年に製作された作品ですので、当時と今現在の時代背景の違いと、日本と香港という文化の違いもあって、なかなかに楽しみ所のある作品となっています。

まずは、冒頭で興行師クー・フェンが、北京原人で一儲けしようと捜索隊を結成して、後ほど警察映画で有名になる前のヒーローっぽかったダニー・リーが演じる冒険家チェンを招集し、

ジャングルに向かって、最初の困難に遭遇するまでの時間が上映開始後わずか約10分ほど、

というあまりにスポーティな展開に香港映画らしさを感じてしまいます。

ハリウッド作品などですと、主人公や、捜索隊のメンバーの人となりをそれなりに入れながら冒険に入っていくと思われますので、

最初の困難までにはだいたい30分近くかかると思われますが、香港映画(特に当時の)では、そういう物語に深みを与えるような掘り下げは、一切飛ばして、いち早く本題に入っていきます

いくら予算をかけている超大作でも、回転を稼ぐ(上映回数を多くする)ために上映時間を短くする、というルールが当時の香港映画にはあったようです。

上映回数が増えれば、それだけ儲ける金額も増える、という部分だけ見れば物凄く合理的ではあると思われますが、導入部ぐらいは、その世界観に入っていくのに重要な部分でもあるので、もう少し丁寧でも良いような気がしますが、、。

で、探検シーンに突入、色んな困難に遭遇しますが、まずは、現地の村に到着早々に象の大群に襲われる、というシーンになります。

野生の象が、穏やかなイメージでも、結構凶暴な一面もあるのは分かりますが、本作に登場する象(の大群)は、まるで北京原人という大ボスが登場する前の小ボス、ぐらいの扱いで、

やたらと怪獣のようにそこらじゅうの建物を破壊し、人間も続々と踏みつぶされていきます

怪獣扱いの象、、

何故そんなに暴れているのか?理由は全く分かりませんが、自然の猛威の一つとして表現されています。

しかも、その猛威に対抗する手段として捜索隊が取った行動は、ライフル銃を象に向けて乱射する、という今現在では絶対に見る事のない対処方法をとっています。

普通の象に容赦なく銃を向ける面々

勿論、本当に直接撃っているわけではありませんが、それにしても今観ると非常に危なっかしいシーンです。

その後も、熊や豹などのいわゆる猛獣系の動物たちに捜索隊が次々に犠牲となっていきます。

怪獣扱いの熊、、

困難の連続に、捜索隊のメンバーも段々と士気を失っていき、ついには発起人である興行師クー・フェン自らが、『こんなところに、原人なんかいない!北京原人なんて、出まかせだったんだ!』と駄々をこねだし、

ついには、北京原人発見に燃えるチェン隊長が寝ている間に、『馬鹿が、死ねば良い』と捨て台詞を残して現地調達のメンバーと共に、逃げ帰ってしまいます。

自分が言い出して、捜索隊を編成したくせに。

現地調達の隊員たち。特に荷物持ちをしているようにも見えない軽装の人が多いですね、、。全員小さめのリュック程度の荷物、、。
いや、チェン隊長、そのルートは、険しすぎるって!装備が軽すぎるって!そりゃ、嫌になるって!

チェン隊長の目が覚めると、まさかの言い出しっぺがいなくなっている、というか、目が覚めたら周りの全員がいなくなっている、という状況に呆然としながらも、岩場を何気に歩く隊長。

そこへついに物凄く巨大な人類の祖先とは思えないサイズの北京原人が登場し、チェン隊長は鷲づかみにされて気絶します。

ついに登場、北京原人!

そんな隊長を救ってくれたのが、女ターザン、アウェイです。

女ターザン、アウェイ登場!!

そこから、例によって愛を育んでいくわけですが、その愛の描写も、直接的なものから、ペットというか、友達的な関係を築いている豹を交えながら仲睦まじく愛情を育んでいきます。

アウェイとの愛を育む男女(と一匹)

しかし、この辺の仲睦まじいという描写も、なかなかに今現在では、ギリギリな感じで、下手したら虐待に見えてしまいそうなシーンが続き、ある意味ハラハラ感が増してしまいます。

こらこら!
こらこらこら!
こらこらこら!いや、絶対嫌がってるって!!
いやいや!肩に乗せるサイズ越えてるって!

そんな感じで、愛を育みつつ、結局何故か唐突に、北京原人を香港に連れ帰る、という事になり、他の(キングコング)類似作同様に大都会香港へと船便で移動する事になります。

そこからは、特撮シーンの見せ場の連続ですので、ある意味安心してクライマックスを楽しむ事ができます。

さらに、ラストの北京原人が炎に包まれながら建物から落下するシーンはスタントマンが怖がってボイコットしてしまったので、村瀬継蔵特技監督自身が危険なスタントを自ら演じた、という事ですので、

そう理解しながら観直すと、二度と撮影できないぐらい貴重な、迫真の名シーンとなっています。

後半の特撮シーンは今観ても迫力があります!
群衆との合成も違和感のないスペクタクルなシーンとなっています

という事で、その時代と文化を感じさせる物語展開と、数々の名特撮シーンの連続で、90分という短い時間を目いっぱい楽しめる作品となっていますので、

特撮好きの方や、香港映画好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

やはり日本の特撮技術の凄さを改めて痛感する作品となっていますよ。

カンフー映画でお馴染みのチョイ・シウキョンは隊員役で出演。
後の大監督コーリー・ユエンも端役で登場

作品情報

1977年製作 香港製作 SFモンスターアクション

監督 ホー・メンホア 製作 チャイ・ラン 脚本 ニー・クワン 武術指導 ユエン。チュンヤン、村瀬継蔵

特技監督 有川貞昌、村瀬継蔵 特技助監督 川北紘一

出演 ダニー・リー、イヴリン・クラフト、クー・フェン、チョイ・シウキョン、ユエン・チュンヤン、コーリー・ユエン

本作のアクション指導担当のユエン・チュンヤンも端役出演

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