核戦争に備えた実験に利用されたチンパンジーと、世話係に任命されたパイロットと女性研究員の垣根を超えた友情!!自由を求めて、飛べ、バージル!!
作品紹介
1987年8月22日公開
今回ご紹介する作品は、当時人気絶頂だったマシュー・ブロデリックと後にアカデミー賞女優となるヘレン・ハントが共演したサスペンスドラマ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
心理学研究所に勤務するテリ(ヘレン・ハント)は、チンパンジーのバージルに手話を教え、意思疎通を図る研究を進めていた。
しかし、ある日、研究は打ち切りとなってしまい、バージルは空軍施設へと引き取られてしまう。
その空軍施設は核戦争の被爆実験を行う極秘プロジェクトが行われており、バージルは被爆後、パイロットがどれだけ戦闘機を操縦できるのか?という実験に利用されようとしていた。
バージルの知能の高さに愛情を深めていった飼育係でパイロットのジミー(マシュー・ブロデリック)は、バージルを救い出すために行動を起こす!?
1987年当時アイドル的な人気のスターだったマシュー・ブロデリックと、後に(恋愛小説家)でアカデミー賞を受賞する事になる演技派ヘレン・ハントが共演した作品です。
監督は、後にジョディ・フォスターがアカデミー賞を受賞する(告発の行方)や、(ブロークダウンパレス)を監督する事になるジョナサン・カプランです。
という事で、人気実力共に問題のないメンバーが集結して製作した作品となります。
物語としては、ある施設で人間と生活を共にすることで手話を使って高度な意思疎通ができるようなったチンパンジーが、
核戦争に備えた被爆実験に利用される事になってしまい、その飼育員たちが、チンパンジーを施設から助け出す、という割とハリウッドらしい分かり易い展開の作品となっています。
私個人の思い出としては、VHS時代に初めて鑑賞し非常に気持ちが高ぶって終始面白かった、という記憶がありました。
で、つい先日DVDで観返して観ると、やはり凄く楽しめたのですが、なぜか当時は感じなかった、最近同じような作品と観たという既視感を感じてしまいました。
1987年製作の作品なのに、です。
で、その最近見た覚えのある作品と思い返してみると、、。
ありました。そっくりの作品。
ジェームズ・フランコ主演で大ヒットしたSFの古典のリメイク(猿の惑星 創世記)の前半のストーリー展開が本作にそっくりなんです。
そちらはアルツハイマー病の実験施設、という事で知能が高くなっていくのつれて、自我が目覚めて、やがて仲間を率いて反乱を企てていく、という流れでしたが、
本作でも、前半の手話を教える人物と手話を覚えてから施設に送られ、そこで世話をする人物が違うものの、そこから施設で利用されているチンパンジーをバージルが率いて反乱(というか脱出ですが)を企てる、
という展開はほとんど同じような展開となっています。
(猿の惑星 創世記)を鑑賞したときは、本作を下敷きにしている、というような説明もなく、私も本作の内容を記憶の底にしまってしまっていたために、気づきませんでしたが、
全く参考にしていない、とは言い切れないぐらいに似たような展開が目立ちます。
両方とも面白い作品なので、別に良いのですが、(猿の惑星 創世記)がさんざんスポットが当たったのに対して、本作は、
何故か2015年になるまでDVD化すらされませんでした。
要するに(猿の惑星 創世記)は2011年の作品ですので、そちらが話題になっていた時期には、本作(飛べ、バージルプロジェクトX)はとっくの昔に廃盤になっているVHSしかソフトが存在していませんでしたので、
レア扱い、というか、話題にすら上りませんでした。
ですので、DVDバブル期にはVHSしか存在しませんでしたので、それだけDVDの流通量は少なく、どこのお店に行っても本作に出会える、という状況ではありません。
しかも、映画ファンのリクエストに応えて製品化する、という【リクエストライブラリー】という企画に乗る形でギリギリ製品化された、という待遇です。
企画自体は、少しでも映画ファンの期待にこたえる形で、メーカー側も最大限努力する、という素晴らしい企画ですが、
そういった経緯で商品化された作品ですので、どちらかというと知る人ぞ知る、と言った感じで、本作がDVD化されている事実を知らない方も多いのではないでしょうか。
因みに(猿の惑星 創世記)は勿論DVD化、ブルーレイ化もされていて、しかも流通している量が半端ないので、中古販売店で290円とかで投げ売りされていたりします。
えらい違いですね、、。
恐らく、本作の存在が無ければ好評だった(猿の惑星)リメイクシリーズも少しは、違う形になっていたと思うのですが、、。
で、そんな(猿の惑星 創世記)にも多くの影響を与えたと思われる本作は、その分かり易い展開ながらも、実力者が集まっている事で、
確実に感情移入していけるようなハラハラドキドキの演出の連続となっています。
前半手話を教える若きヘレン・ハントの要所で見せる、切ない表情は胸を撃ちますし、マシュー・ブロデリックのひょうひょうとしながらも、バージルの知能の高さに驚嘆し、
次第に友情を深めていき、さんざん迷った挙句に、どうしても助けずにはいられなくなってしまう、善良な若者像は素直に感情移入できます。
悪役として登場するウィリアム・・サドラーも定番の悪役を絶妙に憎たらしく演じていますし、
出番は少ないながらも、研究施設の先輩役で登場する若きステーヴン・ラングは近年(ドントブリーズ)や(ヴェテラン)(詳しくはこちら)などで印象的なバイオレンスおやじでブレイクする要素を、
この若き日のワイルドな姿で既に予感させる印象を残しています。
しかし、実力派キャストが名演技を残す中、その名優たちを押しのけて、一番名演技を披露しているのは、バージルを演じているチンパンジーのウィリー君です。
本作はCGなどがまだほとんど映画作品に使用されていない時期の作品ですので、もちろんチンパンジーたちの演技は全て本物のチンパンジーたちが演じています。
これが、絶妙な名演技の連続で、チンパンジーたちの表情や動きが、しっかりとした監督の演出と、ハリウッド屈指の名アニマルトレーナーの指導により、
確実に物語を盛り上げる演技を画面に残すことに成功しています。
本作一番の魅力はまさに、このチンパンジーたちの名演技である事は間違いないのではないでしょうか。
さらに、本作は、動物が登場する他のハリウッド作品のように決してファミリー向けにだけ製作された作品ではありません。
あくまで基本は軍事的な実験に居合わせてしまった若き兵士と心理学研究生が、軍上層部に反旗を翻す内容の作品ですので、
コメディ的な要素は薄く、どちらかと言うと重めのイメージが根底に流れています。
それを象徴するような名匠ジェームズ・ホーナーの名曲が要所で流れて、緊迫感のあるシーンを盛り上げています。
この悲壮感の漂う音楽とヘレン・ハントの切ない表情、そしてマシュー・ブロデリックの問題児でありながらも自身の良心には忠実な正義感、
そしてバージルの知的でも無垢な存在感が相まって、本作は後半怒涛の盛り上がりを見せていきます。
タイトルがそのままラストの展開を表していますので、そうなるだろうな、という展開ではありますが、
それでも観ている内にそんな分かり切ったシーンを早く見たくてしょうがなくなるような期待感が最大限に盛り上がるような展開になっていきます。
そういった感情が自然に起こるのも、ジョナサン・カプラン監督の適格な演出があってこそだと思われます。
という事で、割と予測のつく展開の作品ですが、実力派のスタッフ・キャストの魅力で、観終わった後にじーんと余韻の残る名ラストシーンとなっていますので、是非一度ご鑑賞ください!
本作を見逃すのは勿体ない、お勧めですよ!
作品情報
1987年製作 アメリカ製作 サスペンスドラマ
監督 ジョナサン・カプラン 音楽 ジェームズ・ホーナー
出演 マシュー・ブロデリック、ヘレン・ハント、ウィリアム・サドラー、スティーヴン・ラング
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