修行度 🔥🔥🔥●●●●●●●
音を立てたときだけ出現する、という(ライトオフ)と(クワイエットプレイス)を単純に掛け合わせた内容以上でも以下でもない、設定がスカスカ過ぎて物語が一向に進まない、でも雰囲気だけはあるゴシックホラー!!
作品紹介
2024年1月26日公開
今回ご紹介する作品は、2020年に、本作と同監督たちによって製作された同名短編作品を、長編映画として製作し直した、
人気作の良い所を融合させたような内容のホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
父が入院したという知らせを聞いたエマは、恋人のセバと共にニューヨークから、故郷のイタリアまで帰ってきた。
しかし、父は面会謝絶で、母は急に暴れ出した父から殺されそうになったというのだった。
実家に泊まる事になったエマは、父の部屋で古いラジオを見つけるが、その電源を入れた途端に何かの存在を感じるのだった!?
監督は、(デスアプリ 死へのカウントダウン)(詳しくはこちら)等のアレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラの
三人による共同監督で、既視感満載の物語を演出しています。
主人公の歌手志望の女性役で、次回作として本作と同じトリオ監督作品(The Grieving)にも出演しているペネロペ・サンギオルジが登場し、邪悪な存在と対峙していきます。
で、ズッコケ気味の彼氏役に、本作と同じトリオ監督の(デスアプリ)や(Sospeso)等のロッコ・マラッツィタが扮し、
失態を繰り返して、ほとんど問題を広げるためだけに登場します。
そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、イタリアの田舎に暮らす幸せそうな夫婦の夫が、古いラジオを治しているシーンから始まります。
で、修理が完了して電源を入れてみると、突然そこには存在しないはずの女性の霊が姿を現し、
『静かにして。』
と囁いたと同時に、夫めがけて動き出します。
で、もちろんびっくりした夫が、電源を切ると、霊はパッと姿を消し、また着けるとさっきの動きの続きを見せる、
といった感じで、ラジオの電源のオンとオフで姿を現したり消したりしますが、どうしても興味をそそられた夫は、
その霊が自分自身のすぐそばまで迫っているのに電源をオンにしてしまい、その霊に襲われる、、、、
、、、、というシーンから本題へと突入していきます。
で、歌手としての夢を叶えるため、ニューヨークで生活しているエマ(ペネロペ・サンギオルジ)は、今日も恐怖症(対人?)が災いし、オーディションには不合格となってしまい、
気落ちしている所をネアカな性格の恋人セバ(ロッコ・マラッツィタ)に励ましてもらいます。
そういう日々が続いているようですが、そんなエマのもとに、故郷のイタリアで暮らす父(冒頭のラ時の電源をオンにしたおじさん)が入院したという知らせが届きます。
で、セバと共に帰郷し、病院に向かってみると、父は重症で集中治療室に入り、母は頬にアザを作っている、
という修羅場の後のような状況になっていて、父親の家庭内暴力が疑われるので、良く話し合った方が良い、と医師に進められます。
しかし、母親と話していると、
『あれは、絶対にあの人じゃなかった。』
という謎の言葉を聞きますが、取り急ぎ母は父の付き添いで手が離せないため、とりあえずエマとセバは、エバのかつての生家に帰る事になります。
ただ、母は、絶対にあの家には近づいてはいけない、と懇願していたのですが、、、。
で、セバと共に帰宅したエマは、父親が歌手を目指す自分のために作ってくれた録音部屋で、録音していたテープ等を聞き、かつての音声を再生してみます。
その間、セバは、食料を調達するために、数キロ離れた場所にあるキッチンカーへと、自転車を借りて買い出しに出かけます。
で、セバの帰りを待つ間、録音部屋で、久々に歌を録音してみようとすると、、、
ヘッドホンから、、、、
『静かにして。』
という声をエマも聞いてしまった事で、邪悪な霊と対峙して行く事になる、、、、
、、、、というのが、大体の大筋となっています。
物語展開は非常にシンプルで、(ライトオフ)と(クワイエットプレイス)、(ドント・ブリーズ)等の設定にあやかった短編作品を、
そのまま長編様にメインの恐怖シーン以外の要素を付け加えた、という印象の作品となっています。
逆な言い方をすると、短編としてまとめた作品に、重要ではない余計な部分を付け加えて間延びさせた作品といった感じでしょうか。
さらに、上映時間が長くなった割には、必要な説明が増えているわけではありませんので、物語を理解する上で必要な説明はどんどん端折られていきます。
必要ではないシーンの増加と、説明不足の二段構えによって、結果的に、
全然物語が進まない上に、何故そうなるのか分からない
という負のスパイラルに、どんどん迷い込んでしまいます。
特に重要な活躍を見せない彼氏は、自転車でキッチンカーまでゆっくりと買い出しに行ったくせに、財布を忘れ、
しかも、その場で自転車を盗まれ、結局食事を調達する事も出来ず、徒歩で歩いて帰る、というドン臭さ以外は何も伝わらないシーンが、
意味もなくしっかりと描かれていきます。
これが、せめて、徒歩での帰り道で、霊に襲われる、とか本編の恐怖描写に繋がるような展開があれば良いのですが、引っ張った割には普通に戻ってきてしまいます。
そもそも主人公が歌手を目指していて、なんらかの恐怖症で、オーディションに繰り返し落ちている、という基本的な設定も、
特に物語の恐怖展開には何にも影響しませんので、前半丁寧に描かれていても、単に主人公が歌手志望という説明だけで終わってしまっています。
で、ラジオの修理が、霊復活のきっかけになり、霊と音の関係についてもちゃんとした描写がありますが、何故ラジオの修理をきっかけに復活したのか?
等、ラジオとの直接的な関係の説明は描かれていませんので、過去の出来事との繋がりが、繋がっているようで繋がっていない、という中途半端な設定となっています。
簡単に言ってしまうと、
有名作品の上っ面だけを真似て短編は製作してみたけれども、いざ長編に作り直そうとしたら、しっかりと考えていなかったスカスカの設定をそのままにしたままで描くのを忘れちゃった
みたいな作品となっています。
三人も監督がいるのに、、、
という事で、スカスカ設定で、恐怖というより睡魔と戦う時間の方がメインとなりそうになるぐらいに停滞感の強い作品ですが、
必要な説明を全然しない本編終了後に、オマケのような的外れなエンディングが信じられないぐらいに長尺で描かれる、
という【的外れ間延び・オブ・ザ・ベスト】な作品となっていますので、
ここは、勇気をもって修行覚悟で、間延びと戦ってみるのもどうでしょうか。
いや、でもやっぱり、他の作品を観た方が、、、。
作品情報
2023年製作 イタリア製作 ホラー
監督 アレッサンドロ・アントナチ、ダニエル・ラスカー、ステファノ・マンダラ
出演 ペネロペ・サンギオルジ、ロッコ・マラッツィタ、ルチア・カポラーソ
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