カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★★★★
(酔拳)のユエン・ウーピン監督とサモ・ハンがガッツり組んだカンフー映画史上でも最高峰の大傑作!!!
作品紹介
日本劇場未公開
テレビ放映題 燃えよデブゴン7 鉄の復讐拳
今回ご紹介するのは、サモ・ハンキンポーと(酔拳)(マトリックス)のユエン・ウーピン監督の夢のタッグが実現したゴールデンハーベストのカンフー超大作です。
それでは、まずはあらすじから、
高名な医師にして、少林拳の達人、黄飛鴻の弟子である林世栄(サモ・ハンキンポー)の元に幼き頃に離ればなれりなっていた弟が訪ねてくる。
久しぶりの再会に親交を深める兄弟だったが、ある日弟の妻に一目ぼれしたライバル道場の息子コウ(フォン・ハックオン)は、誘拐を実行する。
この事件をきっかけに復讐に復讐を重ねる因縁の対決が始まるのだった!?
サモ・ハンキンポーとユエン・ウーピンという当時カンフー映画界のトップランナーだった二人が、
満を持して強力なタッグが実現した、カンフー映画ファン待望の大作です。
物語の大筋自体は、個人的な復讐劇の物語なので、大作感は薄めですが、登場するキャラクターが、
実在の英雄、黄飛鴻や、その弟子たちである、林世栄や鬼脚七となっていて、そのキャラクターを、
当時大人気だったカンフースターがそれぞれ演じていますので、期待の大作に相応しい内容となっています。
因みに(少林寺三十六房)シリーズやジャッキーの(酔拳2)などでも活躍するカンフー映画界のレジェンド、ラウ・カーリョン監督のお父さんは、本作の物語の主人公のモデルとなった、実際の林世栄の孫弟子にあたりますので、
そのお父さんから直々に武術を習ったラウ・カーリョン監督は、黄飛鴻のひ孫弟子にあたります。
ですので、ラウ監督作品で披露されている素晴らしい技の多くは、本作や(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズで描かれている黄飛鴻が実際に伝承していった技の流れを汲んでいるので、
まさに掛け値なしの本物のアクションが堪能できるようになっています。
そして本作の豪華なキャストの魅力の一つに、師匠の黄飛鴻役を演じているクワン・タックヒンの出演が実現しているのはカンフー映画史でも特に注目すべき点となっています。
当時74歳とは思えない足腰のしっかりしたアクションで、リー・ホイサンとの書道バトルで激闘を繰り広げていtます。
香港では黄飛鴻役といえばクワン・タックヒンというぐらいに定番で、1949年の初主演以来なんと、77本もの黄飛鴻作品に主演する、という偉業を成し遂げています。
このクワン・タックヒンが黄飛鴻役で出演している事で、本作の黄飛鴻映画としてのグレードが数段上がるようなキャスティングとなっています。
本作では、物語上ゲスト出演的な配役ではありますが、しっかりとした見せ場もある重要な役柄となっています。
また、本作以外には同時期に本作と同じくゴールデンハーベスト社製作のユン・ピョウ主演、
ユエン・ウーピン監督のカンフー大作(ツーフィンガー鷹)などで、同じ役柄を演じていますので、クワン・タックヒン=黄飛鴻といっても良いぐらいの存在なのではないかと思われます。
クワン・タックヒンが築いたキャラクターは、そのまま(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズでジェット・リーがそのイメージを引き継いだ、といった感じでしょうか。
少なくとも、ジェット版の黄飛鴻のキャラクターもクワン・タックヒン版のイメージから着想を得ている部分は多いと思われますので、
クワン・タックヒンがカンフー映画に及ぼした影響は非常に大きかったと思われます。
内容的には、実在した英雄、高名な医師で少林拳の達人、黄飛鴻の弟子である林世栄を主人公としたカンフーアクション作品で、
その正義感の強さから、トラブルに巻き込まれてしまい、色々な騒動を起こしながらも人間的に成長していく物語となっています。
正直、物語的には中盤までは明るいカンフーコメディといった感じで良い雰囲気なのですが、
後半は割とそれまでのコメディ要素が吹き飛ぶようなハードな展開があったりしますので、
そこまで暗い要素を入れる必要もないような気もしますが、恐らく隠れたテーマとして復讐を繰り返す事の空しさ、
などを描く必要があったために本作の後半のようなハードな展開を描いたのではないかと思われます。
最終的な本当のラストの最終カットでは、敵のボスをやっつけた後には、同僚のユン・ピョウが敵であるリー・ホイサンを気を使って支えながら立っているカットで終幕となっていますので、
復讐の連鎖はここで終了、という意味もあったのではないでしょうか。
ですので、結構安易につけたと思われる本作テレビ放映時の(鉄の復讐拳)というサブタイトルは、
何気に本作の必殺技プラス、作品テーマをも含んでいる結構ピッタリなサブタイトルなのではないでしょうか。
それにしても、サモ・ハンが修行時に豚肉料理のレシピと必殺技の修行法を勘違いするシーンがるのですが、必殺技は結局伝授されたのでしょうか?
後のバトルでは登場しなかったようなので、ちょっとだけ気になってしまいました。
龍、蛇、虎、鶴、と色んな動物の動きを真似たお馴染みのカンフーは登場しますが、結局最後までこの必殺技は登場せず、
代わりにたまたまそこにいた師匠が必殺技を繰り出して、リー・ホイサンに大ダメージをあたえるという、、。
この師匠の必殺の一撃が無かったら、サモ・ハンもしかしたら、負けていたような、、。
まぁ、結局戦いには決着がつきましたので、結果オーライでしょうか。
そのサモ・ハンとリーホイサンのラストの大バトルは勿論本作一番の見どころですが、それ以外にも本作は見せ場となるアクションが目白押しです。
前半で展開されるクワン・タックヒンとリー・ホイサンの書道バトルや、
中盤で展開される後の師匠、林福成(演じるはイップマンで大活躍のルイス・ファンの実のお父さんファン・ムイサン)との激突や、
リー・ホイサン一派が黄飛鴻の留守中に殴り込みに来た時のラム・チェンイン、ユン・モウコンビVSユン・ピョウ、ウェイ・パイとの白熱のコンビバトル、
リー・ホイサンの弟子の生き残り、猫拳使いのチョン・ファとサモ・ハンとの葬儀屋バトル、
などカンフーバトルシーンだけでも見どころ満載となっています。
特に、足腰のしっかりした重心の低いユン・ピョウとラム・チェンインのアクロバティックな高速バトルは、非常に素晴らしく、
(ドラ息子カンフー)や(霊幻道士2)、(大福星)など他のサモ・ハン作品でも息の合ったアクションを見せてくれています。
ちょっとゆっくり目のアクションが目立つウェイ・パイも本作では、結構しっかりとアクション俳優しています。
やっぱり、ユエン・ウーピン監督とサモ・ハン、ラム・チェンインとここまでプロフェッショナルが揃えば、
ウェイ・パイも結構なアクションヒーローに見えますので、やはり凄いですね。
また、それ以外にも、サモ・ハン主演作の他の作品では、サモ・ハンが物語登場時点ですでにカンフーの達人、という設定で始まる作品が多いため、
意外にカンフーを修行しているシーンが少ないですが、本作では珍しく、洪家拳の修行シーンがたっぷりと楽しめます。
他の作品では、逆に修行させているシーンが多いですね。
というように、本作はこの時点でのサモ・ハン作品の興行収入最高額を記録しただけでなく、
サモ・ハンの傑作カンフーアクション作品の中でも特に傑作に入る作品となっていますので、
是非ともご鑑賞頂きたいお薦め作品となっています。
DVDも低価格で発売されていますので、これは買って損なし、ですよ。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・武術指導 ユエン・ウーピン 武術指導 サモ・ハンキンポー
脚本 バリー・ウォン
出演 サモ・ハンキンポー、ユン・ピョウ、ウェイ・パイ、リー・ホイサン、フォン・ハックオン、ファン・ムイサン、チョン・ファ、クワン・タックヒン、ラム・チェンイン、ジャン・ジン、ユン・モウ
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