お薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆
航空パニックものと思いきや、航空機事故の調査を通じて機長の人間性と事故の本当の原因を追究していく航空サスペンス!!
作品紹介
1964年10月27日公開
今回ご紹介するのは、航空機事故の原因を調査することで、思いもよらぬ事実が浮かび上がってくる航空サスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ロサンゼルス発シアトル行きの航空機が離陸直後にエンジントラブルが発生。
直ぐに引き返そうとするが、左エンジンにも故障が発生する。
機長のジャック(ロッド・テイラー)は不時着を試みるが、浅橋に激突し、機体は炎上し、機外に放り出された3名以外の乗客53名が犠牲となってしまう。
調査を命じられたマクベイン(グレン・フォード)は、かつての戦友であり、恩人でもあるジャックの事故前の足取りを追う事になる。
航空パニック映画のような出だしで始まりますが、実際は事故後の、その原因を探るサスペンスドラマとなっています。
冒頭、ロッド・テイラー演ずる機長のジャックが、非常に軽い感じのキャラクターで、観ている側にもちょっと不安感を煽るような振る舞いをします。
で、冒頭で早々に墜落となってしまい、そこで初めてタイトルが表示されます。
という事で、まずは、冒頭から航空パニックが始まるのかと思いきや、航空サスペンスに切り替わるという予想外の展開となります。
物語は、その後、事故を調査するグレン・フォード演ずるマクベインが、事故の原因を調査する事で進んでいきます。
機長のジャックは、その軽率に見える振る舞いから、フライトの直前に飲酒していたのではないか?との疑いがかけられていたのです。
しかし、マクベインは戦時中にジャックが機長として操縦していた空軍機の副操縦士として同乗しており、その際に起きた事故でもジャックに命を救われた過去があります。
自分の命を危険に晒してまで、他人の命を守ろうとするジャックが、フライト前の飲酒、というあまりに軽率な行動をとるはずがない、とマクベインは頑なに信じてジャックの足取りをなぞっていきます。
その足取りを辿れば、辿るほどどうしても、飲酒による操縦ミスなんて侵すはずがない、と確信するようなジャックの人物像が浮かび上がってきます。
そして、マクベインは、事故聴聞会でも自分の思いを述べ、それを証明するために事故と全く同じ状況を再現し、
同じ時刻、同じ型の航空機、乗客は同じ人数分の砂袋を座席に固定し、しかも事故で生き残ったキャビンアテンダントのマーサにも搭乗してもらい、
航空機自体はマクベイン自身が機長を務めて操縦して再現する、というある種の賭けにでます。
そして、同じ時刻に離陸、同じ高度で、同じように左エンジンを切ります。
そして、その時起こった出来事に驚愕します、、、。
その事故の原因は割愛しますが、まぁ、思いもよらぬ出来事です。
その部分はさておき、そこに至るまでの物語展開が秀逸で、まず冒頭で不安感を煽る機長の行動と、
その後の事故を描いて、その事故を調べるうちに機長は実は、こういう人でした、と回想形式で人となりが分かっていくような展開となっています。
そして、後半になって、機長の人柄が全て解ったとき、始め描いていた人物像とは、全く違った本当の機長の人間性が見えてくるようなしかけとなっています。
冒頭で軽率な人間だと思っていた、しかも登場後すぐに亡くなってしまうキャラクターなのに、後半では感情移入してしまっているんです。
主役というわけでもないのに、別々の登場人物の過去の話に少しづつ登場するジャックというキャラクターが、いつのまにか物凄く存在感を持っている、という緻密に考えられた素晴らしい表現方法となっています。
これで、事故の原因がもう少し、あれなら、もっと傑作になったような気がするのですが、、。
という事で、本作はその物語展開が秀逸な航空サスペンスの傑作となっていますので、
サスペンス好き、ドラマ好きの方でしたら特に楽しめる作品となっていますので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、本作の大筋の類似作としてデンゼル・ワシントン主演の(フライト)と、トム・ハンクス主演の(ハドソン川の奇跡)がありますが、
そちらは飲酒癖のある機長目線の物語ですので、本作とは似て非なるもの、といった感じですね。
作品情報
1964年製作 アメリカ製作 航空サスペンス
監督 ラルフ・ネルソン 原作 アーネスト・k・ガン
出演 グレン・フォード、ロッド・テイラー、ナンシー・クワン
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