おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
宇宙を舞台に、侵略者と人類が地球の命運をかけてバトルを展開する壮大なSF作品、、、ではあるものの、背景フル合成で描かれた宇宙船が、コントを観ているような感覚に陥る独特過ぎる一応SFアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、非常に低予算で製作されたSF作品です。
それでは、まずはあらすじから、
火星に住むコロニアルに属するサイラスは、通信の途絶えた地球の状況を調べるために偵察任務に就いていた。
しかし、任務中に宇宙侵略者であるエグザイルに襲われ地球に不時着してしまう。
その衝撃で記憶を失ったサイラスは、レジスタンスのゾーイと共にエグザイルの排除のための戦いに身を投じていく!?
あまりに独特なSF作品です。
監督・脚本は(惑星エリプス 不時着)等、低予算SF作品で有名なジョー・ブランドと、
テレビシリーズの(キャッスルロック)やゾーイ・サルダナ主演のテレビシリーズ版(ローズマリーの赤ちゃん)等に
製作者として参加しているアンドリュー・バレックの共同での監督で、見所だけを凝縮したようなSF物語を描いています。
主演は、(ローグ)(詳しくはこちら)や(メイズランナー 最後の迷宮)等のグレッグ・クリークで、ドタバタと大騒ぎなヒーローを演じています。
で、主人公を成り行きで助けるヒロイン役で、(アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ デジャヴ)や(チャーリー・モルデカイ)等に出演しているジェイミー・バーナデットが登場し、
地球を救うために活躍して行きます。
で、中盤、主人公を助ける孤高の男役で、(ライ麦畑を探して)や(ベストキッド3)等のショーン・カナンが登場し、侵略者と少しバトルを展開します。
そんなスタッフ・キャストが結集した本作の物語は、これが80分という最近の配信専用中国映画並みの短さもあり、
必要な説明は全て飛ばして、いきなり宇宙を航行中のグレッグ・クリーク演じる主人公が、敵に攻撃を受けて宇宙船が爆発し、
他の女性乗組員二人を残して、小型宇宙艇で脱出するシーンから始まります。
といっても、爆発するまでに10分程度ありますので、色々と作品の世界観の説明はできそうですが、そういう部分は描かずに、
主人公の相棒となるAIロボット、スパークとの丁々発止(朝起こすときの起こし方等、、、)と、それが終わってからの女子とのちょっとしたやり取りに、
結構な時間を費やしてしまいますので、気が付いたら危機一髪な状態で、女子二人は活躍しないままに爆発に巻き込まれる、
という感じで、色んな設定を掘り下げることなく、世界観も説明する事無く、本題の舞台である地球へと辿り着きます。
不時着しているのに、いきなり地面に転がっているので、描写を端折っているのか、想像に任せようとしているのか、良く分かりませんが、
その後で会うことになる地球人の戦士ジェイミー・バーナデットの台詞で、そこが多分地球であるらしいことが分かります。
ただ、名前を聞かれても思い出せず、自身が何者で、何の目的でそこにいるのか?等必要な情報の記憶が欠落してしまっている事に気付きます。
で、その戦士のアジトに行ってみると、レジスタンスの司令官らしき女性がいて、主人公が敬意をもって敬礼しますので、
恐らく名の知れた英雄的な女性であることが分かります、、、、。
自分が誰かは覚えていませんが、、、。
と、この辺までで中盤となりますが、とにかく説明が無いので、主人公はコロニアルという身分で両親は権力を持つ身分、
敵である侵略者はエグザイル、で、その余波で地球人も襲われている、という状況だけが断片的に分かりますが、
地球(らしき所)は、主人公が不時着した近隣のみしか描かれないので、地球規模ではどのような状態になっているのか?
どのような手段で、侵略しているのか?エグザイルはどういう存在なのか?両軍の総勢はどれぐらい存在するのか?
等の、世界観を把握するための説明が全て端折られていますので、地球規模の物語のはずなのに、
ご近所レベルの世界観しか把握できない、
という壮大なSFバトルとは真逆のご近所SFバトルとなっています。
後半は、レジスタンスグループと協力し、エグザイルに反撃を繰り広げて行くのですが、レジスタンスの活躍が描かれる後半のメインメンバーは、
まさかのヒロイン含むたったの二人で、敵地を偵察していると、いつの間にか宇宙船の格納庫のような場所に入ってしまい、
戸惑っていると、その辺に転がっていたスパークが勝手に動き出したので、こっそり便乗して脱出する、という痛快さとは無縁の他力本願バトルとなっています。
決着もつかずに、なんとなく続編に続くようなエンディングを迎えますので、製作されるとするなら続編である程度終わりになるような物語が描かれるとは思われますが、
本作を観る限りでは、恐らく続編も色々と端折りながらで、消化不良は残ったままの終幕が予想されます。
という感じで、極小スペースアドベンチャーという感じですが、本作の世界観を狭めているのは、物語展開だけではなく、分かりやすい二つの大きな理由によって極小感が煽られています。
まず一つ目は、これが本作のかなりの特徴とも言えますが、CGやVFX映像がとんでもなく荒く、しかも、宇宙船内等、セットを一切作成することなく、
全て背景合成で処理されていますので、まるでコントのように人物がずっと浮き上がっている、というなかなか有名作品に出演しているようなキャストが出演している作品では、
観たことが無いような思い切った表現で統一されているという点です。
背景どころか、地面さえ合成なので、人物は常に空中に浮いているような感じで映っていて、そこに存在しない背景を前に、存在しているかのようにジェスチャーします。
しかも、宇宙船内を走り回ったりするシーンでも、その表現で徹底していますので、本当に身振り手振りのアクションを踏まえたコントを観ているような気分が煽られてしまいます。
で、二番目の理由に、音声を収録している状況がシーンごとに違うのか、台詞を話す人物が変わる度に、
物凄く近くで音声が浮き上がっているように聞こえたり、変なエコーがかかっているように歪んでいたリ、
という感じで常に不安定で、ずっと近くで話しているのに、妙に遠くに行ったり、耳元で話されたりという違う状況を感じてしまいます。
近い時を例えるならDVDの副音声を聞きながら映像を観ている時、という感じで、
逆に遠い時は、カラオケルームの大きめの部屋の端と端に座って会話している、というような雰囲気です。
それが、地球の外に立って、2人で話しているシーンで繰り返されます。
この二点が非常にコント感、ごっこ感を高める結果となってしまっています。
CGに関しては大なり小なり、低予算作品ではありがちですが、音声は流石に不安定過ぎて、他の作品では聞いたことの無いぐらいのレベルですので、本作の独特の雰囲気を醸し出しています。
ただ、本作、他の作品で常識とされているような表現ではなく、独特の表現で描かれているために、逆の見方をすると、
何が飛び出すか分からない
という、ちょっとした変な期待感もあったりしますので、上映時間が短いという事もあり、なんとなく最後まで鑑賞できる作品にはなっています。
ただ、最後まで鑑賞しても結局何もないのですが、、。
という事で、
ツッコミどころのみが存在するような作品
ではありますが、
超低予算でもふざけて製作しているような作品ではありませんので、SF作品好きの方や、変わった作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2023年製作 アメリカ製作 SFアクション
監督 ジョー・ブランド、アンドリュー・バレック 脚本 ジョー・ブランド
出演 グレッグ・クリーク、ジェイミー・バーナデット、ショーン・カナン、ジョン・プロポスト、アリー・エアーズ、B・A・トービン
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