お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
車上荒らしに押し入った最新型四駆車に閉じ込められた男の地獄を描いたスペイン製のソリッドシチュエーションサスペンス作品!!でも、後半は独特の展開に突入します。
作品紹介
2019年公開8月1日公開
今回ご紹介するのは、なにげに車上荒らしに入った車に閉じ込められて出られなくなる若者の悲劇を描いたサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
車上荒らしのシロは、ある日、道端に駐車されていた高級四駆に押し入り、カーステレオなどを金目の物を取り外していた。
そして、車外に出ようとしたときに、鍵がかかり、中からは何をやっても、開けられない事に気づく。
しかも、その車は、完全に防弾素材、偏光ガラスでできていて、何をやっても、外の人たちには一切気づかれないという絶望的な状態だった。
時間だけが過ぎていく中、車内の温度はあがり、やがてシロの脱水症状は進んでいくのだった、、、。
何気に車上荒らしに入った四駆が、もし、鍵がかかって外に出られなくなり、その車が完全な防弾素材の特別車だったら、、
というワンシチュエーションのスペイン製サスペンス作品です。
殺人四駆、というぶっそうな邦題が付いていますが、特に車が車内の人物に攻撃をしかけてきたり、などのホラー要素のない、いたって普通の車となっています。
ただ、他の車と違うのは、鍵をこじ開けて中に侵入すると、今度は逆に鍵がかかって外に出られなくなる点と、
車体自体が超強力な防弾素材でできていて、入ったら最後、こじ開けたりすることが不可能になる、という事です。
まさに人間ホイホイですね。
というわけで、ただ、車から出られなくなるだけなら、持ち主が帰ってくるまで、待てば良いのでは?
という感じですが、そこからが、本作の設定の面白いとろこで、持ち主は、過去に何度も(28回!)車上荒らしに合っていて、
その犯罪者たちへの、復讐や制裁の意味も込めて、その防弾設備のある車をそこに駐車していた、という事が分かります。
ですので、犯罪者がそこに押し入る事を想定していて、車自体に通話できる機能(ナビに着いてるのかもしれませんが)があって、その機能を通じて犯人に連絡してきたり、
リモートで空調を操作したり、など防弾設備意外にも、ある程度の仕掛けがしてあります。
まさに人間ホイホイ的な用途にプラスして、人間籠的な用途を備えて、そこに人間を捉えておくための設備が施されているわけです。
要するに、物語展開のメインとしては、この車上荒らしの若者と、車の持ち主とのサバイバルな心理戦になってくるわけです。
何をしても車体はびくともしないので、体力と時間だけが過ぎていき、やがて脱水症状が進んでいきます。
どうやっても、脱出できないので、やがて持ち主の申し出を聞くしかなくなり、主人公は名前や住所などの個人情報を話してしまいます。
だいたいこういった作品で、個人情報を話してしまったときは、例外なく、家族などに危害が及んだりすることが多いので、
だんだんと、雲行きが怪しくなっていきます。
で、本作は、その後の展開で、ソリッドシチュエーションものでは、まずありえないような急展開になっていきます。
この辺の展開は、お国柄なのか、監督が尖った作品内容をあえて狙ったのか、ちょっと他の同タイプの作品では、観る事がないような急展開です。
スペイン事情に詳しくありませんので、車の持ち主が28回も車上荒らしに合っている、という設定に現実味があるのかどうかも分かりませんが、
もし、そこにある程度の現実味があるのなら、後半のような展開になるのも、あながち突飛ではないと言えるかもしれません。
それぐらいに突飛な急展開、といった感じになっています。
車から出られなくなる、という設定だけでは、流石に厳しいので、苦肉の策で、そのような展開にした、と取れなくもないですが、、。
という事で、ワンシチュエーションのソリッドサスペンスで、後半は全く違う作品のようになります(のでそもそもワンシチュエーションでもないです)が、そこに行き着くまでのサスペンス描写は結構緊迫感がありますので、
サスペンス好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
前半部分の脱水症状感は妙にリアルで、観ている間、必ず喉が渇きますので、飲み物用意してご鑑賞ください。
作品情報
2019年製作 アルゼンチン・スペイン製作 サスペンス
監督 マリアノ・コーン
出演 ピーター・ランサーニ、ダディ・ブリエバ
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