評決のとき(A TIME TO KILL)149分

投稿者: | 2020年7月4日

お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

ジョン・グリシャム原作、ジョエル・シュマッカー監督の第2弾は豪華スター多数出演による人種差別問題に切り込んだ社会派サスペンス!

作品情報

1996年製作 アメリカ製作 サスペンス

監督 ジョエル・シュマッカー 原作・製作 ジョン・グリシャム 脚本 アキヴァ・ゴールズマン

出演 マシュー・マコノヒー、サミュエル・L・ジャクソン、サンドラ・ブロック、ケビン・スペイシー、ドナルド・サザーランド、キーファー・サザーランド、オリバー・プラット、チャールズ・S・ダットン、アシュレイ・ジャッド、パトリック・マックグーハン、クリス・クーパー

法廷に出廷する被告人と弁護士

スタッフ・キャスト

監督のジョエル・シュマッカーは1985年製作の(セントエルモスファイアー)でブラットパックムービーのブームを作り出し名をあげる。その後は(フローレス)、(タイガーランド)、(9デイズ)等、サスペンス作品で多くの傑作を残している。

主演のマシュー・マコノヒーは端役で活躍していたが本作の主演で本格的にブレイク。その後はジョディー・フォスター主演の(コンタクト)、スティーヴン・スピルバーグ監督の(アミスタッド)、マーティン・スコセッシ監督の(ウルフ・オブ・ウォールストリート)など多くの作品で活躍している。2013年製作の(ダラスバイヤーズクラブ)にてアカデミー賞主演男優賞を受賞した。

被告人役のサミュエル・L・ジャクソンは(スクールデイズ)、(ドゥ・ザ・ライトシング)、(モ・ベター・ブルース)、(ジャングルフィーバー)などスパイク・リー監督の常連俳優として注目され多くの作品に出演する。その後、1994年製作のクエンティン・タランティーノ監督作品(パルプフィクション)の演技で大ブレイク後は主演、助演両方で多くの作品に出演している。

主人公を助ける助手役のサンドラ・ブロックは多くの端役で活躍していたが1994年製作の(スピード)にて大ブレイク。その後は(あなたが寝てる間に、、)、(ザ・インターネット)、(28DAYS)、(デンジャラスビューティー)と順調にキャリアを重ね、2009年の(しあわせの隠れ場所)でアカデミー賞主演女優賞を受賞する。しかも同年製作の(ウルトラ!I LOVE YOU!)にてゴールデンラズベリー賞も受賞する快挙を成し遂げた。

助手と弁護士

あらすじ

ミシシッピー州クライトン。そこは人種差別が根強く残る地域だった。

ある日、人種差別主義者である白人成年二人が森で歩いていた10歳の黒人少女を強姦し暴行を加える事件が発生する。

やがて、逮捕された二人だったが、人種差別や汚職が蔓延るこの地域では無罪になることが予想できた。

そこで被害者の父親であるカール・リー・ヘイリー(サミュエル・L・ジャクソン)は裁判当日、裁判所に連行されていくところを待ち伏せ、ライフルで二人を撃ち殺してしまう。

カールは殺人罪と傷害罪で逮捕され、弁護を正義感の強い弁護士ジェイク・タイラー・ブリガンス(マシュー・マコノヒー)に依頼する。

この依頼を受けた事でジェイクは周りの人々を巻き込む大きな人種間の対立へと巻き込まれていくのだった、、。

弁護士と中途採用の新人助手

感想

ジョン・グリシャム原作、ジョエル・シュマッカー監督のコンビによる(ザ・クライアント依頼人)に続く、法廷サスペンス第2弾です。

(ザ・ファーム法律事務所)、(ペリカン文書)、(ザ・クライアント依頼人)とベストセラーになった上に映画化大ヒットとノリに乗っていた原作者ジョン・グリシャムが自身の未発表だった処女作である本作の映画化に自ら製作に名を連ねて(ザ・クライアント依頼人)で実績を残したジョエル・シュマッカーを監督に直々に指名して映画化した意欲作です。

その並々ならぬ意欲は物凄い豪華なキャスト陣にも顕著に表れています。

あまりの豪華さに多くのキャラクターが登場するにも関わらす、そのほとんどが有名人、という他では見られない豪華さを堪能できます。

マシュー・マコノヒー、サミュエル・L・ジャクソン、サンドラ・ブロック、ケビン・スペイシー、ドナルド・サザーランド、キーファー・サザーランド、オリバー・プラット、チャールズ・S・ダットン、アシュレイ・ジャッド、パトリック・マックグーハン、クリス・クーパー。

これだけの有名キャストが揃えばそれだけセールスポイントが増えます。

しかし、残念ながら本作では必ずしもそうはなっていないように個人的に感じました。

原作は未読ですので、原作と映画での差異は分かりませんが、、それほど活躍しないキャラクターや物語上それほど重要ではないようなキャラクターをそれぞれ有名人が演じて、それなりに目立つように演出されているので、それぞれが、そのシーンごとに中途半端に目立ってしまい、その都度、観ている側を引き付ける魅力を持っているので、結果的に色んなキャラクターのオムニバスを少しづつ観ているような感覚になり、物語全体の流れが把握しにくくなり、流れが悪く感じてしまうのです。

正直それなら、主演3人ぐらいをメインにしたストーリーに絞ったほうがもっと感情移入できる物語になったような気がします。

あと、これは完全に個人的な意見ですが、マシュー・マコノヒー、本作でほとんどメジャー作品主演デビューですが、終始にやけ顔で余裕があるような雰囲気がずっと漂い、自身や周りの人々も犠牲にしながら絶対負けるといわれている裁判に単身挑む正義の弁護士にどうしても見えませんでした。

というような事でキャスト面では(ザ・クライアント依頼人)では実質上の主役であるブラッド・レンフロと他の2人(スーザン・サランドン、トミー・リー・ジョーンズ)とが相乗効果で物語を引っ張り、ハラハラドキドキと感情移入させてくれましたが、本作ではなかなか物語を通して感情移入する事ができませんでした。

物語面では事件の奥底に人種差別問題があるので、そういった問題を描きたい、というのは分かるのですが、どうも裁判の本題からずれていっているような気がしてしょうがありませんでした。

サミュエルが犯人を法廷前で公衆の面前で撃ち殺した事は事実で多くの目撃者がいるのに一体何を争うのかがさっぱり分かりませんでした。

実際の裁判シーンではサミュエル事件の事を証言したりとかではなく、その発端となった少女強姦事件の話ばかりが話されます。

それはサミュエルが事件を起こす原因になった別事件の事であり、起訴されている事件とは関係ないと思うのですが、なぜそちらの話ばかりを裁判で進めるのかさっぱり分かりませんでした。

もしかしたら原作ではその辺を綺麗に整理してくれる重要な要素が描かれていて映像化の際に省かれたのかもしれません。

この、何を争っているのかさっぱり分からない裁判の結果は楽しみが半減するため書きませんので機会がありましたらご自身の目で確かめてみてください。

いろいろ書いてしまいましたが、それらはあくまで完全に個人的な感想です。

本作は、豪華なスターが多数出演していて実力のある監督が演出しているベストセラー原作作品です。

法廷劇も後半にちゃんとありますし、マシュー・マコノヒーの涙を誘う演説もあります。

サンドラ・ブロックはお助けマンとしてサラっと助けてくれますし、ケビン・スペイシーは相変わらず嫌味な役が似合います。

キーファー・サザーランドは怪しさ爆発していますし、お父さんのドナルド・サザーランドは怪しくちょっとだけ主人公を助けてくれます。

その豪華なキャスト陣の演技を堪能するだけでも十分楽しめる作品となっています。

因みに余談ですが、本作DVDは既に廃盤で中古価格でもプレミアついていて6000円~8000円ぐらいになっています。

さっぱり分からないです。

検事と弁護士

↓(ザ・クライアント依頼人)についてはこちら↓

https://ei-ga.net/%e3%82%b6%e3%83%bb%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%a2%e3%83%b3%e3%83%88%e4%be%9d%e9%a0%bc%e4%ba%bathe-client119%e5%88%86/

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