おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
スティーヴン・キング監督・脚本、エミリオ・エステべス主演による彗星の影響で暴走した機械類が、何故かトラックをメインに暴走をエスカレートさせていくホラーアクション!!
作品紹介
1987年7月11日公開
旧ビデオ題 ザ・トラック
今回ご紹介するのは、ベストセラー作家、スティーヴン・キング自ら監督・脚本を担当したホラーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
アメリカ上空を謎の彗星が通過する。
と同時に、何故か各地の機械類が暴走し始め、人類に反旗を翻すのだった。
ダイナーで働くビル(エミリオ・エステべス)と来店客たちは、駐車場に停めてある長距離トラックの妨害に合い、ダイナーに閉じ込められてしまう。
そして、ビルたちは、協力し、脱出計画を遂行するのだった!?
スティーヴン・キングが自身の短編小説を自ら脚本化し、さらに監督と一部シーンの出演も果たした入魂のB級ホラー作品です。
主演はエミリオ・エステべスで、前年は(セントエルモスファイヤー)と(ブレックファストクラブ)に出演し、
本作を挟んで翌年には(張り込み)や、初監督作品(ウィズダム夢のかけら)を監督・主演していますので、
まさに絶好調の時期に主演した作品になります。
という事で、キャストもスタッフも、かなり前のめりな作品のはずなのですが、これが実際の内容が、なかなか意図的には醸し出せないB級感の漂う作品になっていて、
これだけ多くの名作に携わるメンバーが参加していながら、こうなる?というぐらいにハズした、というよりハズれてしまったホラー作品となっています。
物語は、ある日、全米上空を謎の彗星が通過するところから始まります。
この彗星の尾が、正体不明の何らかの力を持っているようで、この尾に地球(何故か全米のみ)が包まれている間、
機械類に謎の意思が宿り、何故か人類に反旗を翻す、というパニックが起こります。
さらに、何故かその暴走する機械類の中でもトラックに力が集中して、
田舎町のダイナーの来店客に襲い掛かる、という大規模なのか小規模なのか良く分からないパニック展開へと突入していきます。
短編ではあるものの、しっかりとした原作小説が存在し、しかもその世界を創り出した本人が登場してまで映像化しているのに、とにかく作品世界のスカスカ感が凄まじく、
人物設定から、パニックの設定、その後の展開から、ラストシーンに至るまで、最初から最後までずっとペラペラの内容となっています。
行間を読ませて、読者の想像力を膨らませる、という事に関しては超一流のプロフェッショナルながらも、
行間を膨らませて、実際の映像として表現する事に関しては、三流、、、いまいち得意ではなかったようです。
主人公のエミリオ・エステべスは良い人っぽい役柄ですが、本当に自身の意思で強盗を行った前科者(やむを得ない理由や、追い詰められて、とかではなく自ら進んで)で、
特に葛藤や成長などは、描かれませんし、ヒロインも奥深さがなく、登場するなりエミリオを誘惑しまくります。
悪党上司は悪党上司のまま、ひっかき回す若者夫婦も、騒ぐ以外は特に活躍しませんし、勿論冒頭で登場するスティーヴン・キング本人も活躍はしません。
要するに、多数のキャラクターが登場はしますが、ヒーローはヒーロー、ヒロインはヒロイン、嫌みは嫌み、ガヤはガヤという、
肩書以上のドラマは一切ありませんので、正直誰が犠牲になって脱落しても問題ないぐらいの存在となっています。
で、いよいよ機械が暴走し始める、という段階で初めの内は自販機から勢いよく缶ジュースが飛び出して、
その攻撃によって死者が出たり、ケーキなどに使うような料理道具が勝手に電源が入って人間に襲いかかったり(と言っても実際は急に電源が入るだけ)、
電機が着いたり消えたりして鬱陶しかったり、という感じで電気(というより機械関係全般?)的な存在の人間への逆襲的な(小さな)攻撃が展開されていますが、
何故かその機械類全般からの攻撃はなんとなく無くりなり、舞台となるダイナーの駐車場に停めている長距離トラックの攻撃のみになってしまいます。
ですので、機械VS人間というスケールの大きなパニックが、いつの間にか、トラックVS人間という非常に日常的なパニックへと何の説明もなくスケールダウンしてしまいます。
このスケールダウンの差は、下手したら、ほとんど事件解決ぐらいに規模が小さくなっていますので、本題に入った途端にほとんど事件が解決している、
という困った展開ではありますが、短編小説に、そう書かれていて、原作者と監督が同じなのでしょうがありません。
で、いよいよ、トラックVSダイナーに閉じ込められた来店客と従業員たち、というメインの流れになるのですが、これがなんとものんびりとした戦いで、
ブルドーザーなどの非常に破壊能力のある大型車も存在するわりには、駐車場をぐるぐる回って、
その場から逃げようとする来店客が、家に帰ろうと動き出したら襲い掛かる、という感じで、全然自ら攻撃を仕掛けてきません。
要するに、何かをしようとすると邪魔をする、というリアクションメインの攻撃です。
一応、トラックの暴走(本当は機械類全般)は、彗星の影響でおかしくなっていてるだけなので、
彗星が通り過ぎるまで、あと6日我慢すれば良いだけの話(襲ってこないので)なのですが、そこで、恐らく観ているほとんどの人が薄々気にかけていたある事がらみで、物語が急展開していきます。
ガス欠です。
ガス欠になってしまうと、それはもう完全にトラック側の負けは決定していまいますので、
このガス欠問題解決のために、まさかの光景を目にする事になります。
意思を持ったトラックがおもむろに外に出ているエミリオに車体を近づけ、、、
『ブォン!ブォン!ブォォォォン!』
『ブォォォォ!ブォォォン!』
エミリオ『ガソリンを入れろという事なのか?』
会話が成立してるっ!!
ペットと会話する飼い主のようにっ!!
彗星の力で 謎の力が宿って意思が存在しているトラックではあっても、(ナイトライダー)のキットのように話す機能は付いていないので、
態度でガソリンが欲しいという意思を示し、飼い主が包み込むような愛でくみ取った、という感じでしょうか。
で、その事に気を良くしたのか、どういう連絡方法を取ったのか分かりませんが、全米各地からガソリンを入れてもらうためにトラックが大挙して押し寄せてくることになります。
トラックのご機嫌を取って逃げる隙を伺おうと、浅はかな計画を立てていたエミリオもこのトラック大集合にはびっくりし、へとへとになります。
で、ガソリン給油サービスをしまくって、へとへとになっているエミリオが
『奴らは、人間が疲れる、という事を分かっていないんだ!』
と愚痴ります。
何の映画を観ているんだ!!
という声が聞こえてきそうな展開ですが、
へとへとになって倒れこむエミリオをヒロインが助けてくれ、そしてエミリオはヒロインの膝枕でちょっと昼寝します。
その後、昼寝休憩が効いたのか、元気を取り戻したエミリオは、いよいよ急にやる気を出してヒーローへと変貌します。
緻密ではない脱出計画を立てて、勢いで機関銃が付いたトラックをやっつけて、中盤で下水管を通ってダイナーに合流してきた少年が通ってきた下水管を、
今さら通って、あっけなく脱出に成功します。
で、いよいよ個性的なのにあまり目立った活躍のなかったメンバー達の命がけの逃避行が始まる、という感じで、、、、
、、、、、
終わります、、、。
恐らく、鑑賞しているほとんどの人は、駐車場をぐるぐる回っているトラックを眺めて、ずっと相談している展開ではなく、
混乱を極めるパニックの中、個性的な生き残りメンバーが、安全地帯を求めて犠牲者を出しながらも逃避行を進めていく、というサバイバル展開が観たいのではないかと思われます。
ですので、本作は、その多くの人の思惑をハズしまくったホラーともアクションともサスペンスとも判別しにくいような、なかなかのB級作品となっています。
ただ、当時映画館で鑑賞すると、流石に厳しいという感想になつたと思いますが、年月を経て今、観返してみると、
なんとなくその始まりから終わりまでハズしたような世界観が、逆に味わいとなって楽しめるのが不思議です。
そう考えると、今製作され続けているようなアサイラム社の作品等を数十年後に鑑賞し直すと、、、、、
多分、同じですね、、。
という事で、終始ゆるい展開の緊張感の薄いパニックホラー作品ですが、スティーヴン・キング原作で、自ら監督した貴重な作品となっていますので、
B級作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1986年製作 アメリカ製作 ホラーアクション
監督・脚本 スティーヴン・キング
出演 エミリオ・エステべス、パット・ヒングル、ローラ・ハリントン、イヤードリー・スミス
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まぁくさん、こんにちは。「あなたの知らないワゴンセール」のS原です。
ついに、ついに、この伝説の珍作映画をとりあげたのですね!
同じトラック映画でも、まぁくさんが少し前に紹介されていた「ブラック・ドック」は、たしかに一本調子でしたが。僕は結構好きなんですよ。B級に徹していますしね。一応、トラックも爆走していますしね。
しかし、この「地獄のデビルトラック」はスゴイですよ!
観ていない人はチンプンカンプンでしょうが、もうパンツのゴムひもが伸び切ったような緊張感のなさが、逆にクセになりますよね~。トラックがのろのろと走る場面は、たしかに迷シーンですね。たしかラストは、のんびりとヨットに乗っている場面だったと思いますが、あれは脱出に成功したという意味でしたっけ?忘れたなあ(苦笑)
音楽のAC/DCはかっこいいんですけど、全然効果的に使われていないという・・・(涙)
あ、ちなみにAC/DCは、ジョジョのエシディシの元ネタですね。ぼくは、エシディシが好きなんです。ワムウよりも強いですからね、実は。
エミリオ・エステべスは、これでキャリアが終わりかけましたからね。弟のチャーリー・シーンも「処刑ライダー」でヤバかったですからね。兄弟そろって、あんまり頭が良くないんでしょうか。あ!でも、ぼくは「処刑ライダー」よりも「地獄のデビルトラック」のほうが好きですね。まあ「処刑ライダー」がひどすぎるという話なんですが・・・いつか、「処刑ライダー」もこのブログで取り上げてください。
「地獄のデビルトラック」は、昔レーザーディスクを持っていたんですよ。あまりの珍作ぶりに、友人たちにVHSにダビングして、片っ端から渡したんですが、もうみんな一様に絶句していましたね。「なんじゃ、これは」「こんなもん、観せるなよ」って(笑)
あーそうそう。ひっそりとリメイク(再映画化)されてるんですよ!
「トラックス」という映画です。こっちのほうが、まだ出来は良かったとは思いますが、もう忘れてしまいましたね。トラック以外も襲ってきたような・・・そうじゃなかったような・・・
しかも「地獄のデビルトラック」はブルーレイがでているではありませんか。いやー、これをブルーレイで買う人がいるんですねえ・・・いや、欲しいんですけどね。
ではまた!
(追伸)
アサイラム社の作品等を数十年後に鑑賞し直しても、たぶんダメ映画に感じると思いますよ(笑)
S原さん、こんにちは!いつもコメントありがとうございます!(地獄のデビルトラック)、独特の緩さが魅力ですよね!観ていて思うのは、どこまで意図している緩さなのか?という事ですよね!なかなかやろうと思ってできるような緩さではないものの、真剣なようにも見えるし、トラックと会話してしまうところなんて、ギャグにも見えてしまったり、と、ある意味奇蹟的な緩さを伴った作品ですよね!(処刑ライダー)も(ブラックドック)も、この時期の同系列の愛すべきB級作品には共通して、その当時独特の空気感というか、緩さが漂っていて、それが今の時代に観返すと愛おしささえ感じてしまいますよね!また、これからも、そんな愛すべきB級作品を当ブログで取り上げさせていただきますので、また、宜しくお願い致します!