故郷に帰郷した男が辿る醒めない夢への旅路
2018年製作 中国・フランス合作パート3D作品 ドラマ
監督 ビー・ガン
出演 タン・ウェイ、ホアン・ジエ、シルビア・チャン
監督は新人で本作が2作目のビー・ガン、出演はトニー・レオン共演のラスト・コーションで話題になったタン・ウェイ、ファイナルマスターのホアン・ジエ、特別出演に悪漢探偵シリーズやチョウ・ユンファと共演した過ぎゆく時の中でのシルビア・チャン。前半が2D上映、後半60分が3D上映になります。
あらすじ
主人公ルオは父の死をきっかけに故郷に帰省します。そこでは幼馴染の死を思い起こすと同時に、ずっと心に残っていたある女性のイメージが付き纏いました。その女性は自分の名前を香港の有名女優と同じワン・チーウェンだと言いました。ルオはその女性の面影を追って現実と記憶と夢が交差するミステリアスな旅に出かけます。
感想
本作は前半が2Dでの通常上映で後半の60分が3D上映になります。しかも3Dシーンは60分ワンカット撮影です。非常に実験的な試みでそれを物語の流れに上手く取り込んでいます。鑑賞前からどのような流れで2Dから3Dへの変更を体感できるのか楽しみにしていたのですが、残念ながら日本全国43館での公開劇場中、3Dでの上映はわずか8館でした。しかも非常に地域が偏っており、全国規模で考えればほとんどの人が3D上映を楽しめない状況での公開でした。劇場で販売されているパンフレットにも観客が3Dで鑑賞している事を前提として解説が書かれていましたので、体感する事ができず非常に残念です。不覚にも鑑賞時、てっきり3D上映だと思い込んでいたので、2D上映なのに用意していた3Dメガネをこっそり途中でかけてしまった自分が恥ずかしいです、、。作品内容はストーリーよりもビジュアルと雰囲気を重視した非常にアーティスティックな作品でした。それが現実なのか夢なのか、現在の事か過去の事か、などすべてが曖昧で一人の男の醒めない夢をずっと見ているような感覚でした。ウォン・カーワイ監督作品のようにアートとエンタテイメントがほど良くミックスされているような作品でもなく、デヴィッド・リンチ監督作品のように不条理とエンタテイメントのミックスでもなく、独特のビー・ガン監督ワールドなのではないでしょうか。