お薦め度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
何者かに突然誘拐された元イギリス海兵隊員女性の、生き残りをかけた突っ込み所満載過ぎるシチュエーションサバイバル!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、元イギリス海兵隊員の女性が突然誘拐され、正体不明の何者かと戦う事になるサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
元イギリス海兵隊員のエマ(レベッカ・ロジャース)は、ある日、生後5か月の赤ん坊の薬を買うために、少しの間娘を自宅に残したまま、急いで出かける。
そこで、突然黒づくめの何者かに拉致されて、どこかの工場に監禁されてしまう。
誘拐犯の目的は分からないが、何か特殊なスーツを着用しているようで、逃げようとすると、どこかから暴行を受けてしまう。
工場の外には監視用のドローンも飛ぶ中で、エマは娘の元に帰るために、決死の脱出劇を開始する!?
(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)の製作にも参加していたアンドリュー・クックが製作を担当したレディースアクション作品です。
非常にインディーズ感溢れる作品で、登場人物も数人のみ、作品の舞台もほぼ廃工場のみで、監禁サスペンスが展開されます。
DVDジャケットなどからレディースバトルアクションを期待しがちですが、どちらかというと監禁サスペンスです。
ガンアクションや格闘アクションも一応ありますが、メインとなるほどではありません。
主人公は物語始まって早々に、無類のトレーニング好きという事が説明されていきます。
暇があればランニング、ジムでスパーリングと前半でかなり戦闘スキルが高そうな女性、という描写が続きますので、非常に期待感が煽られます。
しかし、期待感はあがるものの、その戦闘スキルは、その後の物語展開ではそれほど生かされていかないのが残念です。
予算の都合もあるかとは思いますが、キャストの人数が極端に少ないため、監禁する側の犯人までが、まさかの透明人間設定で、結果的にほとんど一人芝居となります。
格闘スキルが高い描写があっても、それを披露する相手が見えないわけです。
DVDジャケットの裏表紙で、はっきりとその透明人間である理由も米軍開発のステルススーツを着用している、とばらされてしまっていますので、ワクワク感もそれほど高まりません。
これに関しては作品製作元とは関係ありませんが、日本のDVD販売元には、レンタル用とセル用のDVDジャケットデザインをまるで別作品ぐらいにパターンを変えてくる、
という手間と予算を懸けるぐらいなら、是非ともジャケットでのネタバレだけは避けて欲しかったところですね。
という事で、物語的には、元イギリス海軍でトレーニングマニアな幼児のシングルマザーが、家に生後5か月の赤ちゃんを放置して、
薬を買いに出かけたタイミングで、何者かに偶然拉致され、そのまま透明人間スーツを着た何者かに廃工場に監禁されて、一人でジタバタする、
という世にも奇妙なレディースアクションの誕生となっています。
この廃工場も、広く、闇に閉ざされているような工場ではなく、古びた隙間風が入りそうな明るい陽光の射しこむ建物で、
どう考えても何らかの方法で脱出できそうですが、大きな扉には南京錠が掛かっていて脱出は不可能という事のようです。
いや、その窓ガラスに、その辺に落ちてる何かを投げれば、絶対に簡単に割れそうですが、不可能だと言われれば、しょうがありません。
その割に、途中で、スチールラックの隙間みたいな処から、近所の子供が気軽に侵入してきて、ロープで縛られている主人公を助けてくれたりします。
要するに、南京錠の着いた大きな扉に注意が行き過ぎて、それ以外の場所の開けっぴろげ感に全く気が付いていないだけのような気がしますが、、。
本当に元海兵隊ですか?という感じになってしまいますね、、。
で、子供はその後、その隙間から逃げ出しますが、主人公はついて行かない、という謎の行動で工場に残ります。
説明はないですが、大人が通れないようなサイズの隙間なのかと思っていたら、その後追加で、監禁被害者が増えた時に、
その追加メンバーはその抜け穴を主人公に紹介されて、抜け出していました。
それでも一応、工場の周りには銃口が付いているドローン(多分一機だけ)が飛んでいるので、逃げ出した者を監視するつもりはあるようですが、
相当な広さの隙間だらけの監禁工場をドローン一機で全てカバーできるとは到底思えないレベルのガードのユルさとなっています。
この辺の設定の違和感を勝手に推測してみますと、要するに大きなサイズの廃工場を破格の価格で撮影に使えるようになったか、
もしくは、製作者の誰かが所有していた工場が、人の手に渡る事になり、譲渡の期限までの期間を使って、何か映画を1本撮影しようという事になって、逆算的にストーリーを考えていった、という事ではないでしょうか。
で、そういう流れで考えていった物語なので、細部に発生する不具合までは考えつかなかった、と考えると多少なりとも納得がいくような気がします。
そうでも考えないと、この広すぎて、隙間だらけの建物を使って監禁サスペンス映画を製作しようとは普通思わないのではないでしょうか。
逆に、外敵から身を守るために籠城する、という物語なら、隙間だらけも、広すぎる面積も全てがサスペンスを盛り上げる要素になるので、良かったと思うのですが、、。
でも、それだと、キャストがそれなりの人数いないと成り立たないので、その時点でNGだった、という事になりますね。
まぁ、全て勝手な推測です、、。
そんな感じで主人公の頑張りに反比例して、展開のユルさが目立ちますが、ガスボンベのようなアイテムとマッチで簡易小爆弾のようなちょっとした武器を作ってみたりと、
元イギリス海兵隊でのスキルなどもちょこちょこ披露しつつ、後半透明人間と、対決(後半は何故かステルススーツを着ているのに透明になる機能のスイッチをオフっていて、画面にはっきり見えているという謎の展開)もしながら、
いよいよ脱出に成功して、犯人の正体も分かる、という盛り上がる展開になっていきます。
しかしながら、最後まで鑑賞しても、どういう目的で拉致監禁されて、犯人は何者だったのか?など肝心な部分は何一つわかりません。
勿論、スピルバーグ監督の(激突!)のように、あえて犯人の正体を伏せて観客の想像に委ねる、という意図的な演出方法で分からなくしているのではなく、
確実に明確なビジョンが無い、といったタイプのぬるっとした終わり方となっています。
というわけで、DVDジャケットがセル用とレンタル用で、まるで別作品ぐらいに印象の違う珍しいデザインの作品ですが、
その内容もデザインのイメージとはまるで違う、突っ込みどころが満載すぎるレディースアクション作品となっています。
レディースアクション好きの方など、修行を兼ねてご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
主人公役のレベッカ・ロジャースは結構カッコ良いですけどね、、。
作品情報
2019年製作 イギリス製作 レディースアクション
監督・脚本 ジャスティン・エドガー 制作 アンドリュー・クック
出演 レベッカ・ロジャース、バネッサ・ドナヴァン、ローレンス・サンダース
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