ハウス・バウンド (HOUSEBOUND)107分

投稿者: | 2023年10月4日

おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆

(ミーガン)のジェラルド・ジョンストン監督が2014年に製作した、実家に戻った不良少女が、古い屋敷の中の正体不明の何かと戦う、ホラー映画のリスペクトと、定番を逆手に取ったシチュエーションに笑いながら恐怖する才能あふれる秀作ホラー!!

作品紹介

2023年7月14日公開

今回ご紹介する作品は、(ミーガン)の監督の長編デビュー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

ATM強盗で逮捕された不良少女カイリーは、保護観察処分を受け、母親の住む実家で8か月間、軟禁状態となり、外出禁止となるが、

しかし、その古い屋敷は、地下室から何かの物音が聞こえ、怪奇現象も頻発する幽霊屋敷だった!?

監督は、テレビシリーズの(TERRY TEO)や(The Jaquie Brown Diaries)等を監督しているジェラルド・ジョンストンで、

本作の演出力が認められたのか、ヒット作(ミーガン)の監督として抜擢されています。

ジェラルド・ジョンストン

主演は、テレビシリーズ(ウェントワース女子刑務所)等、主にテレビドラマで活躍しているモルガナ・オライリーで、

かなり尖った不良少女役を好演しています。

モルガナ・オライリー
オルガナ・オライリー

母親役は、(ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル)や、(ザ・ブレイカーアッパラーズ別れさせ屋の私たち)等のリマ・テ・ウィアタで、

他のキャストでは絶対に真似できないような続徳の存在感で、作品世界を掘り下げています。

リマ・テ・ウィアタ
リマ・テ・ウィアタ

で、ほぼ相棒のようになる警察官役で、本作のジェラルド・ジョンストン監督の(The Jaquie Brown Diaries)にも出演している、

グレンポール・ワルが登場し、何をやってもどん臭い系のオトボケ警官を演じています。

グレンポール・ワル
グレンポール・ワル

というニュージーランドのスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、かなりの不良少女カイリーが、

相棒の男子と深夜にATM強盗をはたらきながらも、相棒のミスで逮捕され、その後、保護観察処分となって、

実家の母親の古い屋敷に軟禁状態にされるところから始まります。

で、そのまま母が購入した古い屋敷から8か月間外出する事を禁じられ、その間は、足首に発信機を付けられ、

屋敷から出たり、発信機を取り外すそうとすると、すぐに担当の警察官が駆け付け、刑務所送り(少年院?)になる、

というシステムで、このシステムによって、主人公の行動は限定される事になります。

で、実家を飛び出して、疎遠になっていた母娘の微妙な空気の漂う生活が始まります。

本作、この微妙な空気感の表現が非常に上手く、さらにナイフのような近寄りがたいモルガナ・オライリーの演技と、

その娘に気を遣いながらも、ひょうひょうとした自分の世界観を維持している母親を演じているリマ・テ・ウィアタの演技が物凄く絶妙で、

まるで親子には見えないぐらいにタイプが違いますが、この二人が、屋敷の中にいる何か?の存在を確信するたびに、

噛み合わなかった二人が、少しづつ母娘に見えるようになっていきます。

この二人の付かず離れず、な関係の描き方が素晴らしく、バイオレンスな娘の心の移り変わりと行動の変化、

無責任なように見える母親の何とも言えない可愛げ等、物語が進むにつれて、登場人物の魅力がどんどん増していきます。

特に主人公のカイリーは、登場当初は、かなり感情移入を削ぐような荒れっぷりですが、物語が終わるころには、その後のカイリーのエピローグに心が和らぐぐらいに、

中盤以降しっかりと感情移入できるキャラクターへと成長を遂げていきます。

さらに、登場当初から、コメディリリーフ的なドジデカを演じているグレンポール・ワルも、前半からずっとズッコケていますが、

ズッコケなりにも成長し、前半はカイリーを監視する立場だけでしたが、中盤以降は、ある未解決の殺人事件の犯人と思われる容疑者を調べるために、

カイリーとバディを組んで真相解明に挑む、という重要なキャラクターへと成長してきます。

勿論、ズコッケ要員ですので、逆に主人公の足を引っ張ったりもするのですが、物語を面白くする重要なキャラクターとなっています。

で、本作、本筋としては、主人子カイリーと母親のドラマ(一応母の再婚相手がいますが、極端に無口な設定で、そこまで活躍しません)と、

その近隣で、巻き起こった未解決の少女殺害事件の犯人の真相究明、そして、屋敷の中に存在する何か?

という3つの物語が上手く融合しながら進んでいくことになります。

で、物語が進んでいく過程で、過去の事件や、屋敷に存在する何か?の正体等、次々と明らかになっていきますが、

本作はそこで終わりではなく、その明らかになった事実や、ホラー作品でお馴染みの展開等を踏まえた上で、

その設定に+αを加えて、さらに笑いを散りばめる、という離れ業展開へと突入していきます。

この笑いとスリルが、また絶妙で、ホラー好きが普通に鑑賞していると、予測できるようなシチュエーションを、

さらっと予想外の笑いに変えて行ったり、そうかと思えば、正統派のホラー展開になったり、といった感じで、

ホラー作品を多く鑑賞していればいる程に、さらに楽しめるような展開となっていきます。

ラストシーンも非常にユニークで、絶妙なオチで終幕となっていきます。

という事で、前半は、あまりの主人公の荒れように、大丈夫か?という感じですが、中盤以降、しっかりと盛り上がって楽しめる娯楽ホラー作品となっていますので、

ホラー映画好き、サスペンスコメディ好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

2014年と少し古めの作品ですが、十分楽しめますよ。

作品情報

2014年製作 ニュージーランド製作 ホラー

監督・脚本 ジェラルド・ジョンストン

出演 モルガナ・オライリー、リマ・テ・ウィアタ、グレンポール・ワル、キャメロン・ローズ、ロス・ハーパー、ライアン・ランプ

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