ソフト/クワイエット (SOFT & QUIET)92分

投稿者: | 2023年11月1日

おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆

マイノリティーに偏見を持つ女子会グループが、日頃の鬱憤をさらけ出して盛り上がってしまい、ふとしたことで出くわしたアジア人姉妹に抑えられない暴力性を一挙にぶつける様をワンショットで描いたブラムハウス製作の不快犯罪サスペンス!!

作品紹介

2023年5月19日公開

今回ご紹介する作品は、ブラムハウス社が製作した犯罪サスペンス作品です。

それではまずはあらすじから、

幼稚園に務めるエミリーは、マイノリティーに偏見のある女性たちで結成された(アーリア人団結をめざす娘たち)という白人至上主義グループを結成する。

しかし、初めての集まりで盛り上がった参加者たちは、気持ちの高ぶりを押さえる事が出来ず、そのまま街へ繰り出し、

出会ったアジア系の姉妹に暴行を加えてしまうのだった!?

ブラムハウス社製作の緊迫感満載のリアルタイムサスペンスです。

監督は本作が長編デビューのベス・デ・アラウージョで、自身の体験や実在の人物の動画を見て人種差別を描いた本作の物語を構築していったようです。

ベス・デ・アラウージョ

主演の幼稚園の教師役は(口裂け女in LA)等のステファニー・エステス

ステファニー・エステス
ステファニー・エステス

新しい仲間で、服役経験もあるメンバー役で、(イットフォローズ)等のオリビア・ルッカルディ

オリビア・ルッカルディ
オリビア・ルッカルディ

等、ほぼ女性キャストで、何気ない女子会からの恐怖を描いています。

そんな本作ですが、まず、本作を簡単に表現すると不快映画です。

極端な考え方を持つ女性たちが、極端な行動をとっていく物語で、

善人は、被害者としてのみしか登場しませんので、結果的に感情移入させない登場人物達が最初から最後まで、

感情移入できない行動をとる様をワンカットで観続ける、という独特な犯罪サスペンスとなっています。

ですので、当然不快指数はかなり高くなっています。

内容的に好き嫌いが別れる作品だと思われますが、完全に不快の方に振り切れていないのは、登場人物たちが、全員女性で、

しかも若気の至り、で済まないような年齢の、普通にそれなりの人生を歩んできた年齢の女性たち、が主人公達を演じている事で、

他の作品に登場するような無軌道な若者や、極悪バイオレンスな男子にはない、独特の、日常の生活の延長線上の狂気を描いている、という点が本作独自の魅力となっています。

ですので、冒頭の主人公のちょっとした日常風景から、よくありそうな女子会が始まって、そこからその内容がマイノリティーへの不満が表面化していき、

その会が進むにつれて、どんどんと攻撃性が増していき、だんだんと近寄りがたいような面が表出していくようになっていきます。

この過程がワンショット(途中数か所、登場人物が誰も映らないシーンで編集しているようにも見えますが、、)で描かれますので、

日常から近寄りがたい感じになり、やがて恐怖感を感じさせるようになるまでが詳細にスリリングに表現されています。

実際の犯罪等も、このような流れで行われてしまう事も多いのかもしれません。

さらに、本作の場合、酒に酔って、や、我慢できない目に合わされて、や、貧困に喘いで、等の犯罪にいたる明確な理由があるわけではなく、

常日頃から抱いているマイノリティーへの偏見、という簡単に解決できないような理由から始まっている犯罪ですので、よりどうしようもない絶望感に満たされています。

本作では女子会で盛り上がった主人公達が、その後街へ繰り出した際に、たまたま出くわしたアジア系姉妹が標的となってしまいますが、

要するに、標的は白人以外であればだれでも良かったぐらいの勢いなので、被害者の人間性等は一切関係ない、という部分が、また恐怖感を煽ります。

ただ、本作は、そういった極端な思想を持った人々が、暴走していく様は詳細に描かれていますが、その犯行によってしっかりとした罰を受ける様は描かれませんし、

被害者や善人が逆襲してスカッとする様は一切描かれない、という極端な描き方(ラストで暗示はありますが)ですので、

不快が不快のままで終わってしまいます。

不快な事をしている様を描いている作品ですので、不快感を感じれば、製作者の思惑通りになっているとは言えるのかもれませんが、

不快な思いをしたままで終わってしまう娯楽映画を、受け入れられるかどうかで、本作の好き嫌いが分かれるのではないでしょうか。

超個人的には、悪人が悪事を働く様を観続ける作品は得意ではありません(最近の中国映画にありがち)ので、

正直、後半は、とにかく手痛いしっぺ返しを食らって欲しいと思い続けながら鑑賞していましたが、ずっとワンカット犯罪が続いているので、

観ている側も逃げ場がなく、最後まで犯罪を傍ね観続けなければいけない、という面でもリアル感を感じました。

多様性を前面に押し出しているA24製作作品に、真向から対抗しているような内容にも見えますが、実は逆説的な多様性を描いた作品と言えるのかもしれません。

どちらにしても、あまりに極端過ぎますが、、、。

という事で、ブラムハウス社製作の緊迫感溢れる犯罪サスペンスとなっていますので、(ミッドサマー)(詳しくはこちら)等の不快系スリラー作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

でも、(ミッドサマー)はA24作品ですね、、。

あと、ずっと疑いながら鑑賞しましたが、本当に全編ワンカットなのでしょうか?ワンカット風?

作品情報

2022年製作 アメリカ製作 サスペンス

監督・製作・脚本 べス・デ・アラウージョ

出演 ステファニー・エステス、オリビア・ルッカルディ、ダナ・ミリキャン、メリッサ・パウロ、エレノア・ピエンタ、シシー・リー

↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓

映画レビューランキング
映画レビューランキング

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメントを残す