おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
善玉エイリアンと悪玉エイリアンのチェイスに巻き込まれた人々を描いた、80~90年代SFエイリアンアクション好き監督の想いだけはしっかりと伝わるSFホラーアクション!!
作品紹介
2022年6月17日公開
今回ご紹介するのは、(クリッター)や(ヒドゥン)等の80年代SFアクションへのオマージュに満ちたホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
宇宙を救う力を持ったエイリアン、マンピーを追って、地球侵略を目論む肉食エイリアンが地球にやって来た。
天文台に研究旅行にやってきていた大学生たちは、突然の宇宙人の襲来に、一人また一人と犠牲になっていくが、
マンピーには絶大なパワーを秘められている事に気付き、反撃に打って出るのだった!?
80年代のB級エイリアンホラーへのリスペクトの香るSFホラー作品です。
監督・製作・脚本は(キュートリトルバニーズ)のトニー・ジョピア。
イギリスで子供向けテレビ番組や、CMの監督として活躍しているようです。
同じファーストネームのステュー・ジョピアが製作・脚本も担当という事で、身内で作り上げた手作り感満載のB級ホラー作品となっています。
一応、視覚効果スーパーバイザーに(トータルリコール)(バーバリ王の凱旋)等のプラカーシュ・クマララジャン、
特殊効果スーパーバイザーに(DUNE砂の惑星)のテオドール・ローワン・サリスバリーが参加しているようですが、果たしてどこまで深く関わっているのか、、、
という感じの特撮SFホラーとなっています。
物語はシンプルで、田舎町に研究旅行にやって来た大学生グループが、地球に飛来した善玉エイリアンと悪玉エイリアンのチェイスに巻き込まれて、
悲惨な目に合う、という80年代90年代のSFホラーで頻繁に語られた王道のストーリーとなっています。
近い作品で言うと(クリッター)シリーズと(ヒドゥン)シリーズ(詳しくはこちら)ぐらいでしょうか。
広い目で観ると日本の特撮ヒーロー作品の元祖(ウルトラマン)も、第一話は善玉エイリアンであるウルトラマンと悪玉エイリアンであるベムラーのチェイスに地球が巻き込まれる、
という物語ですので、同じ流れの作品と言えそうです。
そんなSF作品の王道の最新版である本作ですが、本作は、往年のエイリアンチェイスものとして始まりますが、
他の作品と異質なのは、ほとんどの作品が、逃げる悪玉に、追う善玉、という設定が多い中、善玉を狙う悪玉、という逆の構成になっている所がポイントとなっています。
何故狙っているのか?は、分かりませんが、とにかく狙っています。
で、か弱くて愛らしい(設定)善玉は、その外見から出会った人間に可愛がられて守られていく、という流れになっていきます。
可愛がり過ぎてマンピー、という名前まで付けてしまいます。
で、そんなチェイスに人間が巻き込まれながら、悪玉が出会った人間にヒルのような生物を寄生させて、ゾンビ化させ、他の人間を襲わせる、
というゾンビ映画展開にもなっていきますので、結局なところ、人間を直接攻撃するのは、このゾンビたちがメインとなっています。
結局、ほとんどゾンビ映画になりますが、善玉、悪玉両方のエイリアンが大きめのウサギか子犬ぐらいのサイズなので着ぐるみは使用せず、
基本的には激安CGとハンドパペットで動かしていますので、要するに代理を用意しないと物語が進行できない、という事かと思われます。
ですので、結局は、善玉エイリアンのぬいぐるみを手に持って逃げる人間を、ゾンビが追いかけまわし、
その合間に、遠くにいる悪玉エイリアンの人形劇が繰り広げられるのがメイン展開となっていきます。
この主役とも言えるマンピーなる善玉エイリアン、(クリッター)や(グレムリン)のギズモのようなイメージの可愛いけれど実は力のあるモンスター、というイメージなのはわかるのですが、
これが、最初から最後までずっとぬいぐるみでの表現ですので、勿論全く愛着も湧かず、感じるのは操っている人の手の動きのみ、
という生き物というより、物にしか見えないのが本作の最大の問題ではないかと思われます。
CGを使っていない作品ではありませんので、合間に少しでもCGで愛らしく動いているシーンなどが挿入されれば、もっと感情移入できたのかもしれませんが、、、。
それほど予算を切り詰めていた、という事かもしれませんが、この作品、低予算作品にも関わらず、同系列のB級作品に比べて登場するキャストが無茶苦茶多く、
開幕早々から10人以上の学生と先生が移動しながら事件に遭遇し、前半でそれなりにゾンビになってしまうものの、それでも10人程キープしながら、舞台を田舎の一軒屋敷に移します。
で、そこでも、補充要因が6人ほど加わり、その中から数人がゾンビ化、そのままさらに舞台を近隣の大きめの屋敷で開催されているパーティ会場に移しますので、
常に10人ほどの人間のキャラクターをキープしている状況が続きます。
減っては、補充ではなく、増えては減る、という状況を繰り返しますので、ずっと増え続けているイメージで、
全く人数が減っていないので、全然物語が前に進行している感じがしない、という負の連鎖を繰り返します。
総登場人数はかなり行くと思われますが、正直、そんな不不必要に補充を繰り返すキャスティングの費用があるなら、初めから固定メンバーの5人ぐらいにして、
浮いた予算で主役とも言えるマンピーのCGシーン等に補填していった方が良かったのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
もしかすると、出演者の多さは、そのまま製作陣の友達の多さで、ほとんどノーギャラで出演してくれた、
という事なのかもしれませんが、、、。
因みに、その大勢いるキャストの中でひと際目立つ日本人アカネ役で、日本から(冷たい熱帯魚)等の斎藤莉奈が出演し、
ヤクザの道に入りそうになった剣の達人(なのかどうかは分かりませんが)というなかなか突飛なキャラクターを好演しています。
という事で、内容よりも、とにかく製作陣の80年代90年代SFエイリアンアクションが好きでしょうがない、
という想いだけはしっかりと伝わってくる作品となっていますので、80年代映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2020年製作 イギリス製作 SFホラー
監督・製作・脚本 トニー・ジョピア 製作 ロマン・バルべイ 脚本・製作 ステュー・ジョピア
出演 ロマン・バルべイ、斎藤莉奈、クリス・キリヤク、アンドリュー・グリーヴス
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