お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ツイ・ハーク監督の人気シリーズと思いきや、同じ原作シリーズを中国側のみの別スタッフ・キャストで製作した武侠ミステリー!!
作品紹介
日本劇場未公開
中国版シャーロックホームズ、と人気のキャラクター、ディー・レンチェが活躍する作品の最新作です。
それでは、まるはあらすじから、
周の都、長安で、踊りを踊っている舞姫が演舞中に高所から落下する、という事件が発生する。
事故とも事件ともつかない出来事に、数々の難事件を解決している判事ディーが捜査を命じられる。
ディーは早速捜査を開始、ある女性が事件に関係しているのではないか、と目を着けるが、、、。
(王朝の陰謀)というタイトルが付いていますが、ツイ・ハーク監督の(王朝の陰謀)シリーズとは無関係で、原作であるディー判事シリーズを、別スタッフ、別キャストによって再映像化した作品となっています。
原作のディー判事シリーズはオランダ人作家、ロバート・ファンフューリックが執筆した中国版シャーロックホームズとも言われている人気のミステリーシリーズで、
毎回、明晰な頭脳で難事件を次々と解決していきます。
さらに、このディー・レンチェ、シャーロック・ホームズとは違い、架空のキャラクターではなく、実在の人物で、ツイ・ハーク版で描かれているように武則天の寵愛を受けて、右腕として実際に活躍した高官だったそうです。
その魅力的な存在を小説の主人公として肉付けしていったのが本作の原作にもなっているシリーズ、ということになります。
ですので、DVDジャケットイメージではツイ・ハーク版のような豪華なVFX満載のミステリーアドベンチャー要素のある娯楽作品を想像しますが、実際は、かなり趣の異なったこじんまりとした作品となっています。
ツイ・ハーク版も1作目のアンデイ・ラウから2作目、3作目に変わる際に年代を若くしてマーク・チャオにバトンタッチする、という大胆な変更がありましたが、
それに伴って周りのキャラクターの設定も若返っていたので、意外に違和感なくヤング・ディーレンチェシリーズとしてとても楽しめる作品となっていました。
また、物語だけでなく、あまりに豪華なVFXと出演陣、アクションもしっかりとしていて、武術映画としても、もしテリー映画としても、鼻鏡映画としても見どころたっぷりな、一瞬も見逃せない作品となっていました。
特に2作目のラストで、いがみ合って敵対していたはずのライバル同士の間に、なんとなく信頼関係ともとれるような繋がりをちらりと魅せながらの終わり方が非常に次回作への期待感を煽り、
続く、3作目の怒涛の展開で決着していく、という大規模なシリーズ特有の作品を跨いだ引きの演出も大きな見どころの一つとなっています。
という、ツイ・ハーク版シリーズの大成功の流れがあった後での、本作の登場となります。
それまでの原作シリーズ、ツイ・ハーク版の映像作品の人気を受けての映像化であるのは間違いないとは思いますが、
本作に関しては、主要登場人物はディー・レンチェと助手的な役割の女性剣士シエ・ヤオファンのみ、で捜査するという寂しさです。
容疑者も2,3人ぐらいしかいないので、物語の展開もしようがありません。
一応、法術のような変身術を使用して正体を隠す、という変化球はあるものの、割とあっさりと、犯人は判明した上に、
事件の諸悪の根源は物語終了前に登場する、というなかなかの力技展開となります。
アクションも武術的な魅力のあるアクションではなく、カット割りと早回しとワイヤーで横にス~ッと移動する強さの伝わらない系のバトルがメインとなっています。
監督は、最近連続でDVDリリースされている(セブンソード)(詳しくはこちら)の再映像化シリーズのフランシス・ナム監督ですので、本作も前作同様に、ケレン味のかける薄味アクションとなっています。
(セブンソード)も(王朝の陰謀)もオリジナルは同じツイ・ハークが製作している作品ですが、何か特別な再映像化権を持っているなどの関係があるのでしょうか?
そういう事であれば、是非とも、次回再映像化する事があれば、他の監督にその監督権を譲ってもらいたいところですね。
という事で、ツイ・ハーク版のようなミステリーアドベンチャーを期待した方は、とんでもない肩透かしですが、外伝作品だと割り切ってしまえば、それなりに鑑賞できる作品ではあると思いますので、
そういうつもりでご鑑賞いただければと思います。
あと、主演のおじさんは、アンディ・ラウ似に見えなくもない、です。
作品情報
2020年製作 中国製作 サスペンスアクション
監督 フランシス・ナム
出演 ドゥー・イーフン、シュウ・ヤン、ジャオ・ウェンジョオ
その他の武侠作品
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