おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
香港映画の名作を彩った名優たちが多数出演し、黄金期の香港ノワールのような激闘を繰り広げるサモ・ハンも出演している黒社会アクション!!
作品紹介
2023年1月27日公開
今回ご紹介する作品は、香港映画ではお馴染みのキャストが大挙して登場するノワールアクションです。
それでは、まずはあらすじから、
1997年、香港返還前夜、黒社会のボスであるチョンは、右腕の弟分ロクと共に組織を取りまとめていたが、
兄弟分の暴走により、内部抗争が触発、さらに香港警察の大掛かりな捜査も災いし、かつてない危機を迎えていた!?
ジョン・ウー監督の(男たちの挽歌)やジョニー・トー監督の(エグザイル絆)、その後登場したノワールとカンフーアクションを融合させたデニス・ロー監督の(帝戦BAD BLOOD)や(血戦 FATAL MOVE)等の流れを汲む香港ノワール作品です。
雰囲気的に一番近いのは、デニス・ロー作品ではありますが、そこまで本格的な武術アクションというわけではなく、
(インファナルアフェア)のような潜入捜査官要素や、ジョニー・トー作品常連俳優のキャスティング、
そして、主題歌はレスリー・チャンが歌う(男たちの挽歌)の主題歌と同曲(當年情)、
そして、内容的には(欲望の街)シリーズ等の組織内部の覇権争いと汚職警察との欲望と裏切り、という感じで、
これまでの香港ノワールの見所を凝縮したような作品となっています。
ただ、凝縮しすぎですが、、。
で、本作の一番の見所とも言える豪華なキャスト陣ですが、主演陣もさることながら、脇役でかつての人気者でレジェンドとも言えるようなキャストが、
久々に出演しているという登場の仕方が多く、全てを把握しきれないぐらいに多くの懐かしの顔が登場します。
まず主演の黒社会の組織員役で、(アクシデント意外)(詳しくはこちら)や、(エグザイル絆)等のジョニー・トー作品でお馴染みのリッチー・レン、
その兄貴分で、組織を束ねるボス役で、こちらも(PTU)や(スリ)等の多くのジョニー・トー作品でお馴染みのサイモン・ヤム、
リッチー・レンとは兄弟分ながらも、組織の輪を乱すトラブルメーカー役に、嫌味な役以外ではほとんど見たことがない(レイジングファイア)(詳しくはこちら)等のパトリック・タム、
さらに同じく兄弟分で地味ながらも次期ボス候補最有力な実は熱い役柄で(欲望の街)シリーズ等でお馴染みのジェリー・ラム、
同じく兄弟分で、仁義に熱く揉め事は好まないタイプの構成員役で(少林サッカー)や(カンフーハッスル)(詳しくはこちら)等のチャン・クォックワン、
その黒社会組織を壊滅させるため、スパイを送り込む熱血系の刑事役で、(エグザイル絆)や(黒社会)シリーズ等のジョニー・トー作品でお馴染みのチョン・シウファイ、
その同僚で、主人公達を追い詰めていく刑事役で、(ダブルタップ)シリーズや、(天使行動)(天使行動2)(詳しくはこちら)等で知られるアレックス・フォン、
組織員達が取引するタイ人役で、多くのジャッキー作品やサモ・ハン作品、近年でもドニー・イェンの(スペシャルID)等で活躍しているロー・ワイコン、
リッチー・レンの恋人(?)っぽい雰囲気のカフェ経営者に(カルマ)等のカリーナ・ラム、
ラスト近辺に登場する大ボス役で、(男たちの挽歌)のキンおじさん役や(ポリスストーリー3)のラスボス、チャイパ役、
(リプレイスメントキラー)のラスボス役等、有名作品で重要な役柄を演じているケネス・ツァン、
そして、出番は少ないながらも流石の貫禄で、組織を束ねる会長的な役柄で、サモ・ハンキンポー、という感じで、
オールスター過ぎるキャストが集結した作品となっています。
これは恐らく、(フー・アム・アイ)や(ポリスストーリー3)、(醉拳2)、(ゴージャス)等でアクション監督として活躍してきた
(燃えよ!マッハ拳)等の監督ウォン・ミンシン(サム・ウォン)監督の、これまでの活躍による人脈によって実現したキャスティングではないでしょうか。
カメオか、それに近い感じで、頼まれたから出演してあげた、という感じのレジェンドも多数存在しそうですので、
恐らく、他の製作者では、なかなか実現しにくいキャスティングかと思われます。
ただ、結構なレジェンドも多いので、重要な役柄ではありますが、ケネス・ツァン等を見ていると、力んで感情を爆発させるようなシーンで逆に心配になってしまいます、、。
憎むべき悪人を演じてはいるのですが、、、。
という豪華キャストが実現した作品ですが、実際の内容が、ノワール要素を全部詰め込んだような盛沢山すぎる内容となっていて、
そこに豪華キャストが演じる大量の登場人物が大勢重要人物のように登場しては、一回限りで消え、登場しては一回限りで消え、
という感じで矢継ぎ早に登場と(いつの間にかの)退場を繰り返していき、登場する人物が、その都度主人公のような活躍ぶりを少しづつ重要そうに見せていきますので、
主人公は誰?と思う瞬間が何度となく訪れます。
一応、メインはリッチー・レンではありますが、サイモン・ヤムが主役のように活躍したり、パトリック・タムの外道ぶりが暫くずっと続いたり、
(欲望の街)同様に全然目立っていなかったジェリー・ラムが、何故か急に次期ボス候補に選ばれたり、
警察側の汚職刑事を演じるグレゴリー・チャールズ・リバースが、中盤以降急にかなりの重要人物として暗躍したり、
といった感じで、
物凄い豪華キャスティングを使って、効果的に物語を描こうとし過ぎて、物語自体のバランスがぐらぐらになってしまう、という非常に残念な配役となっています。
恐らく、もともとはもっと分かり易い物語だったのに、キャストが増えるにしたがって、登場人物数と台詞もどんどん増えてしまった、という感じではないでしょうか。
主人公がコロコロ変わって、散々気持ちをリセットされた挙句に、ラスト20分、という所で、それまでの流れを完全に断ち切ってしまうようなトドメのリセット展開が、
『えっ?今から第二章が始まるの?』という感じで始まってしまうころには、もうリッチー・レンが何を目的にして、何と戦っていたのかも思い出せないぐらいになってしまっています。
結局、サイモン・ヤムも何をしたかったのか?等も振り返ってみるとはっきりせず、
自分の思い通りにしたい、という外道側のパトリック・タムの分かり易い行動理由以外は、良く分からいのに、
ごちゃごちゃしているうちに、最終的にレスリー・チャンの唄声で、強引にウルっとさせられたまま終幕を迎える、という、
終わりが良くても全てが良いというわけではない、
作品となっています。
という事で、正直ストーリー的には右往左往して感情移入もしにくい物語ではありますが、物凄い豪華キャストと、
長年の経験を活かしたアクションシーンに関しては十分楽しめる見所となっていますので、
香港映画好きの方や、アクション映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あと、長年香港映画を沢山鑑賞してきて、本作の存在を最初に知って、真っ先に感じた超個人的な意見ですが、、、、
、、、、、、、
邦題タイトルが史上最低レベルに酷い!!
あやかりミス!!
個人的にはシャー・クワンリが出演していない作品に主演のように付けられた邦題(シャー・プワンリの女少林寺)(詳しくはこちら)のミスとはまた違った種類の、
どうしようもない間違いだと思っています。
邪推ですが、あやかり元シリーズが大好きな担当者が、周りの静止を振り切って強引に付けた邦題ではないでしょうか、、。
チョウ・ユンファの(マカオ極道ブルース)という微妙な邦題の作品もありましたが、それとはまた違いますね、、。
作品情報
2022年製作 中国製作 ノワールアクション
監督・脚本 ウォン・ミンシン
出演 リッチー・レン、サイモン・ヤム、パトリック・タム、アレックス・フォン、チョン・シウファイ、ジェリー・ラム、チャン・クォックワン、サモ・ハンキンポー、ロー・ワイコン、カリーナ・ラム、ローレンス・ラウ、ケネス・ツァン、ワン・ユエンミン、グレゴリー・チャールズ・リバース
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