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1970年代から1980年代まではカンフーアクションスターとして活躍し、1990年代以降はアクション監督として現在までも活躍している香港アクション映画界のレジェンド、トン・ワイが自身と重なる熟練のアクション監督を演じた、古くからの香港アクション映画ファン必見のアクションドラマ!!



作品紹介
2025年7月25日公開
今回ご紹介する作品は、香港映画界の現役レジェンドの一人、トン・ワイ主演によるアクションドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
1980年代、アクション監督のサムは、売れっ子として第一線で活躍していたが、ある撮影での自身の強引な指導によって若手スタントマンを半身不随にしてしまう事故を引き起こしていた。
それ以来映画界を退き、整骨院を営んでいたサムだったが、それから数十年後、かつての仲間の監督から、新作のアクション監督を任される。
しかし、かつての伝統的な危険を伴うサムの撮影法と、現在の撮影法との違いに反発したスタッフ達は、次第にサムとの間に溝ができていくが、
助監督を任された若手スタントマンのロンは、そんなサムとスタッフの間を取り持っていく。

監督は、(ツインズミッション)や(狂獸)等で双子のアクション俳優として活躍し、本作で監督デビューを飾った
アルバート・レオン、ハーバート・レオンの兄弟監督で、移り行く時代の中で揺れるスタントマン達の哀愁を演出しています。


若手側の主人公ロン役で、(トワイライトウォリアーズ)(詳しくはこちら)や(梅艷芳)等のテレンス・ラウが登場し、
熱いアクション映画魂を炸裂させていきます。



で、主人公を導く伝説のアクション監督サム役で、(霊幻百鬼 人嚇鬼)(詳しくはこちら)や(プロジェクトDデブゴン)(詳しくはこちら)等で、
カンフーアクションスターとして活躍した後に、アクション監督、指導者として今なお活躍し続けているレジェンド、
トン・ワイが登場し、渋さを増した名演を披露しています。



で、人気のアクションスターワイ役で、(バース・オブ・ザ・ドラゴン)や、(THE フェイタルレイド)(詳しくはこちら)等の
フィリップ・ンが登場し、華麗なアクションを披露しています。



で、サムの娘役で、(失衡凶間之罪與殺)や(返校 言葉が消えた日)等のセシリア・チョイが登場し、父親との難しい関係を、絶妙な名演で表現しています。



そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、1980年代、香港の映画界で、アクション監督として人気のサム(トン・ワイ)が、
自らの強引なアクション指導のミスによって、売り出し中の若手スタントマンが半身不随になる事故を引き起こしてしまうシーンから始まります。


その事故をきっかけにサムは映画界を引退し、その後整骨院を開いて静かに暮らす事になりますが、それから数十年が経過し、
時代も移り変わり、かつてのような危険を伴う本物のアクションは廃れてしまった現在、旧知の監督からの誘いによって、
再びアクション監督として復帰するシーンから物語は本題へと突入していきます。



かつての事故の際、サムの指示するスタントをこなせなかったおかげで事故に合わずに済んだスタントマン、ワイ(フィリップ・ン)は、
現在では自身のスタントマンチームを率いる程のアクションスターとして人気を得ていて、今回のサムが参加する作品の主演俳優としてもキャスティングされていますが、
かつての因縁はまだ残っていて、初顔合わせ早々に揉め事になったりしますが、監督の説得によってなんとか製作は進められていく事になります。

そんなサムのスタントチームの末端には、かつての危険を伴う香港アクション映画に憧れて映画界に入った映画魂溢れる若者ロン(テレンス・ラウ)が在籍して奮闘していますが、
熱い魂を感じない先輩スタントマン達からは、からかわれイマイチ腕も磨けず、実力も発揮できず、でそろそろ兄の運送業を本格的に手伝おうかと迷っている日々が続いています。


そんな中、ふとした事で知り合った伝説のアクション監督サムの誘いによって、新作の撮影に助監督として参加する事になりますが、
撮影初日から古くからの撮影方法でアクションを撮影しようとするサムと、今現在の方法で撮影しようとするワイの間で衝突が起きてしまいます。


製作サイドと撮影クルーの連携も上手くいかず、何度となく撮影中断を繰り返す事になりますが、なんとかロンが上手く間を取り持ったりして撮影は進められていきます。
しかし、ついに本格的なロケ撮影シーンの際に、サムの指導するリアル感を追求した強盗シーンのゲリラ撮影中に、取り返しのつかない大問題が発生する、、、、、、!!
、、、、、、、、という流れが、本作の大体の大筋となっています。


香港アクション映画界のレジェンド、トン・ワイが、久々に主演級の役柄で俳優として参加したアクションドラマ作品です。

トン・ワイのこれまでの活躍や、1980年代から香港アクション映画を鑑賞されていない方からすると、本作に登場するアクション指導(特に中盤のロケシーン)は、
ドラマを盛り上げるために創作したエピソードのように思えるかもしれませんが、1980年代の香港アクション映画は、

(カンフースタントマン)(詳しくはこちら)等でも語られていますが、今現在では考えられないような危険なスタントを、そこまで安全性を追求する事なくバンバンとこなしていた時代で、
下手すると人命よりも映画の完成度を上げることが優先されていたようです。

しかし、だからこそ、他の国で製作されるようなアクションよりも、本物の緊迫感を持ったアクション作品が製作できたため、
1997年の香港中国返還近辺には、ジョン・ウーやリンゴ・ラム、ツイ・ハーク、ユエン・ウーピン等、香港アクションのノウハウを持ったアクション作品系の製作者が、
次々とハリウッドに招かれる、という世界的な流れにも繋がる結果となりました。

ただ、やはり時代の移り変わりに伴って、そんな命の危険を伴うアクションシーンが現代のコンプライアンス的に許されるはずもなく、
近代の香港映画では、安全を第一に考え(当たり前ですが、、、)、難しいアクションはカットを割って演出で盛り上げ、
それでも無理ならCGで加工する、という流れに当然ながら変更されていきました。

本作のテーマとしては、その古くからの危険を伴う伝統のリアルアクションと、多少のリアル感は薄れても、安全を第一に考える現代アクションの対立が中心となっています。
ただ、本作は、その対立にははっきりとした回答を示すわけではなく、サムもはっきりと成長が描かれるわけではありませんので、
なんとなくサムの行動に感情移入できない方も多いかと思いますが、その部分にこそ本作のテーマがあるような気がします。

主人公は、当時の自身の強引な撮影や、妻や娘よりも撮影を優先させる生き方によって、とても大切な存在を失ってしまって、そんな自分自身の行動を悔いているけれども、
やはり撮影に入るとスイッチが入ってしまって人命よりも良いシーンの撮影を優先してしまう。
ゲリラ撮影が始まって、いざカメラが回ってしまうと、現実の通行人もエキストラのように見えてしまって安全を軽視してしまう。

そんな生粋の映画野郎(でも、映画に関係のない一般人からすると、ある意味ダメ野郎)が、色んな出来事と葛藤しもがきながら
その中で、若い世代との間で、自分がすべき事を実践していく、という映画野郎の挽歌的な部分が本作のテーマであるように思います。

だからこそ、それを体現できる長年のキャリアを持つトン・ワイがキャスティングされているわけで、
これが、もし俳優専業キャストや、2000年代以降に活躍し始めたキャスト等が演じてしまうと、演技力はあっても深みや説得力は、トン・ワイほどは感じられなかったと思われます。

個人的には、トン・ワイは、その昔日本でもテレビ放映されていたカンフードラマシリーズ(香港カンフードラゴン少林寺)を毎回VHSに録画して繰り返し鑑賞していたり、
その後サモ・ハンキンポーの(プロジェクトD)や(霊幻百鬼)等もテープが擦り切れそうになりまで繰り返し鑑賞、
1990年代にはチョウ・ユンファの(ハードボイルド)で久しぶりにチョイ役で観た時は非常に嬉しかったのを覚えています。

それと、何かの書籍で読みました(燃えよスタントマンか、香港電影城シリーズ、、だったような、、)が、
中盤のゲリラ撮影シーンのような撮影は、当時本当にしょっちゅう行われていたようで、チョウ・ユンファのような大スターでも、
主演作(黒社会)の撮影で、街中で大掛かりなアクションを繰り広げて、散々騒ぎを起こして、用意しておいた逃走用のバンに乗って逃げる、
という実際に逃げる工程までも含んだアクションの撮影が行われていたようです。

それというのも、正式に撮影の許可を申請すると、許可が下りるまで数か月かかってしまうようで、それを待っていると撮影が全然進まないという事で、
そこから導き出した解決法が、ゲリラ撮影で一発撮りで撮影してしまって逃げる用のバンの配置と、まさかの警察に逮捕される用のスタッフを現場に残す、
という、当時の香港映画だからこそできた(というか強引にやった)撮影の手法で、こういう撮影は当時で割と普通にあったようです。


そういえば、当時香港に旅行した際に、現地ガイドさんが、
ガイド『香港は色んな映画の撮影が毎日色んな所で行われているので、もしかすると撮影に遭遇するかもしれないけれど、危ないから近づかないで。』
と言っていましたので、恐らくごく普通の事だったのだと思われます。
勿論、本作のように宝石店に強盗に入るシーン自体もゲリラとなってしまうと本当に重い犯罪なので、あくまで街中の撮影だけだと思いますが。

ですので、本作にトン・ワイがキャスティングされ、アクション指導を行っているシーンは、恐らく実体験を再現している部分もあると思われますので、
他の誰が演じるよりも芯に迫る名シーンとなっています。

ただ、親子ドラマシーンが結構なベタ展開だったり、ロンが困っている時に世話してくれる優しい兄に対して、
『魂がない。』『ノルマをクリアするだけ。』という感じで、わけの分からない罵声を浴びせるシーンが数回あったりと、
イマイチ乗り切れない家族ドラマもあったりしますが、そういう部分も含めてもしかすると、どこかのスタントマンの実体験に基づいているのかもしれません。


あと、ラストシーン、非常に印象的で感動的でもあるのですが、撮影手法的にそこでそれを使ってしまっては、それまでのドラマの積み上げが台無しでは?
と思えてしまうアクションスタントシーンになっていますので、個人的にはそこだけは別の撮影方法に変更して欲しかった、というのが正直なところです。
ジャッキーの(ライドオン)もそうですが、、、。
という事で、古くからの香港アクション映画ファン必見のアクションドラマとなっていますので、香港映画ファンの方や、アクション映画ファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。






作品情報
2024年製作 香港製作 アクションドラマ
監督 アルバート・レオン、ハーバート・レオン
出演 トン・ワイ、テレンス・ラウ、フィリップ・ン、セシリア・チョイ、マックス・チョン、トー・インゴー、ラム・イウシン、レイチェル・リョン


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