おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
トニー・レオンとアンディ・ラウが役20年ぶりに共演し、香港アカデミー賞で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した、大金融詐欺師と汚職対策独立委員会(ICAC)捜査官の激突を描いたサスペンスドラマ!!
作品紹介
2025年1月24日公開
今回ご紹介する作品は、トニー・レオンとアンディ・ラウが役20年ぶりに共演したサスペンスドラマ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
1977年、東南アジアで事業に失敗したチンは、香港へと流れ着き、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築いていく。
そして80年代の株式市場ブームに乗って、資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げて、一躍時代の寵児となって行くが、
違法取引を怪しんだ汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウによって、大々的な捜査の対象となっていくのだった!?
監督は、(プロジェクト・グーテンベルク偽札王)(詳しくはこちら)等の監督作や、(インファナル・アフェア)シリーズの脚本家として知られる、
フェリックス・チョンで、大御所二人の緊迫感満載のやり取りを演出しています。
主人公の大金融詐欺師役で、(無名)や(シャン・チー テンリングスの伝説)(詳しくはこちら)等、近年も快進撃中のトニー・レオンが登場し、貫禄たっぷりな詐欺師役を演じています。
トニーを追う捜査官役で、(流転の地球 太陽系脱出計画)や(バーニングダウン)(詳しくはこちら)等、
こちらも、全く勢いの衰えないアンディ・ラウが登場し、家族を守りながら悪と戦っていきます。
トニーの右腕となる助手役で、(神探大戦)(詳しくはこちら)や(祥賭必贏)等、こちらも長年大活躍し続けている
(TWINS)のシャーリーン・チョイが登場し、どんどん詐欺に加担して行く女性をオトナな雰囲気で演じています。
トニーを投資の世界に引き入れる実業家役で、(燈火(ネオン)は消えず)や(極道統一)(詳しくはこちら)等、
こちらも勢いの衰えないサイモン・ヤムが登場し、トニーと共に詐欺事件に加担していきます。
で、トニーの弁護士役で、(天使行動)(詳しくはこちら)や(レクイエム最後の銃弾)等、こちらも長きに渡って香港映画界で活躍している
アレックス・フォンが登場し、鬘に髭という、一瞬誰か分からない衣装で、トニーと共に捜査官と対峙していきます。
警察官役で、(カンフースタントマン)(詳しくはこちら)や(ゴールデンジョブ)等、こちらも俳優、スタントマン、アクション監督として、
長年活躍し続けているチン・ガーロウが登場し、汚職警官の一掃を進めているアンディと対立していきます、
で、トニーに協力する実業家役で、(共謀家族)(詳しくはこちら)や(人生の運転手)等、近年活躍の場を広げているフィリップ・キョンが登場し、
味のある演技で、後半かなり印象を残して行きます。
で、トニーにスカウトされる金融ブローカー役で、(盗月者)や(ランアウェイ香港脱出)(詳しくはこちら)等の
マイケル・ニンが登場し、トニーと共に捜査官と対峙していきます、
で、トニーと同業の実業家役で、80年代から(プロジェクトA)等のジャッキー作品で活躍し、近年も(狂獸 欲望の海域)等、
多くの作品で活躍しているタイ・ポーが登場し、久々のしっかりした役柄で、トニーと渡り合っていきます。
という、かなり豪華なスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、1977年、東南アジアで事業に失敗した野心家のチンが、
その際に香港行の荷物に、多くの資材が発注されていた事実から、今後の発展を見込んで、香港で自分自身の運命を掛けるため流れ着いてくるシーンから始まります。
で、そこから、つてを頼りに無一文から生活を始めますが、なかなか上手く行かないところを、サイモン・ヤム演じる実業家と出会う事で運命が開けていきます。
まずは、サイモンが投資家タイポーに、安値で買いたたかれそうになっていた土地を、トニーが、その土地を、
タイポーが提示した金額以上の高値で買い取ると名乗りを上げる(芝居をうつ)事で、タイポーが提示した価格を釣り上げる、
という、手軽な詐欺ともなんとも言えない軽い騙しで、まずは事業を始めるための大金を稼ぎ、そこからサイモンと手を組んで害虫駆除会社を企業した事を皮切りに、
短い期間で100以上の色んな業種の企業を起こし、大金をどんどんと稼いで行きます。
で、さらに株のバブル期に乗って、様々な銘柄を買い漁さりつつ、持ち株企業の大きな事業転換情報などを事前に仕入れるインサイダー取引や、
警察や政府機関に対する賄賂等で、どんどんと裏の勢力を拡大させていきます。
で、株価の釣り上げ等の派手な動きもあるため、その時期に創設されていた汚職対策独立委員会(ICAC)のアンディ捜査官の目に留まり、大々的な捜査が始まります。
正義一直線のアンディは、正攻法で追い詰めて行きますが、色んな機関に手を広げているトニーの裏工作のおかげで、逮捕はしても、結局裁判で無罪になる、という、いたちごっこを繰り返していきます。
しかも、自身が追い詰められると、関係者が次々と謎の事故死を遂げる、という闇が広がる中、ついにアンディの家族にまでその魔手が及んだ時、アンディは、、、、、
、、、、、というのが、大体の大筋となっています。
トニー・レオンとアンディ・ラウが(インファナルアフェア)シリーズ以来20年ぶりに共演を果たし、しかも、
監督・脚本が、(インファナルアフェア)シリーズ全作の脚本を担当したフェリックス・チョンという事で、
(インファナルアフェア)の緊迫感満載の犯罪サスペンス再び!!、、、、、という、期待感に溢れてしまいますが、、、、、、、
、、、、、うすうすお気づきだと思いますが、そういう映画ではありません、、、。
犯罪が大々的に描かれる作品で、人の生き死にが描かれ、警察や犯罪者も沢山でてきますが、銃を向け合ったり、ガンアクションの見せ場があったり、
(インファナル)のように証拠を掴むために、神経をすり減らすようなギリギリのやり取りがあったり、というような犯罪者と捜査官のせめぎ合い的な見せ方ではなく、
どちちらかというと、トニー演じる悪党詐欺師が、いかにしてグレーゾーンを突いて悪事を働き、賄賂を贈りながら悪を広めていき、無一文から成り上がっていったか、
という
悪党の成りあがり物語
をメインとした内容となっています。
ですので、アンディのパートも家族とのドラマなど、それなりに描かれはしますが、一応バランスのために描かれているという感じで、
アンディ自体のキャラクターは、トニーの複雑なキャラクター程には深掘りされません。
要するにアンディに関しては、いつものアンディです。
一応(インファナル)の二人が、善人役と悪人役を入れ替えて再び犯罪ドラマで共演している所が魅力、というセールスのようですが、
実際に鑑賞した後の印象的には、トニー主演の痛快悪人物語に、引き立て役としてアンディが登場するというイメージが残る配役となっています。
で、ここに、トニーに想いを寄せるシャーリーン・チョイの物語や、他の仲間達の物語が入って来るのですが、
この仲間側のキャラクターが非常に多く、シャーリーン・チョイを筆頭に、サイモン・ヤム、マイケル・ニン、懐かしのタイポー、アレックス・フォン、カルロス・チェン、
さらに後半になって、フィリップ・キョンまで加わり、それぞれ、ぞれなりのドラマが描かれて行きますので、かなり濃密(過ぎる)ドラマとなっています。
さらに、事件が起きるまでを時系列順に描くのではなく、最初に仲間も全員逮捕されて、そこから回想シーンのように断片的に遡って描かれる、というややこしい構成で、
さらに、香港で生活していない(香港から見たら)外国人である日本人にとっては、
肌で感じる事が出来ない警察の汚職、それに対する汚職対策独立委員会の設置、香港株の大暴落、土地の利権争い等が物語の中心にあり、
トニーが演じたキャラクターのモデルとなった人物(完全な実話の映画化ではありませんが)も、香港では誰もが知る人物かもしれませんが、
香港以外では、流石にほとんどの人が知りませんので、いまいちピンとこないという方が多いのではないでしょうか。
勿論、香港アカデミー賞に絡むような優れた作品で、娯楽映画としてしっかりと描かれてはいますので、楽しめる作品ではありますが、
残念ながら日本人にとっては、
娯楽として作品全てを楽しめる程の予備知識を持っていない
作品かと思われます。
例えるなら、(インテグリティ煙幕)や(インターセプション盗聴戦)と似た感じでしょうか。
個人的には、(盗聴犯)の一作目と二作目は楽しめましたが、三作目は、後半、何の話をしているのかさっぱり分かりませんでした。
それでも、トップスターの2人が共演している上に、他の共演者も超大作らしく豪華キャストが勢ぞろい(ラスト直前には友情出演のスターも登場します)していて、
娯楽映画として描かれていますので、(インターセプション)のように、何の話をしているのかさっぱり分からないという事も無く、犯罪ドラマとして楽しめる作品にはなっています。
ただ、(インファナルアフェア)的な緊迫感はちょっと薄めで、前半は思っていた以上にノリが軽い、コメディチックな雰囲気で、
後半になってくると、一挙にダーク(過ぎる展開)になって行きながらも、ラストは何故かそんなに後味悪くない、という
配給元の宣伝文句曰く、
【衝撃の金融エンターテイメント】
となっていますので、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、あんなにタイポー見たの久しぶりでした、、。
作品情報
2023年製作 香港・中国製作 サスペンスドラマ
監督・脚本 フェリックス・チョン
出演 トニー・レオン、アンディ・ラウ、シャーリーン・チョイ、サイモン・ヤム、カルロス・チェン、フィリップ・キョン、マイケル・ニン、アレックス・フォン、タイ・ポー、チン・ガーロウ、アニタ・ユン
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