カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
トン・ワイセン、フォン・ハックオンを筆頭に、アンジェラ・マオ、フィリップ・コー、チャーリー・チャン等有名カンフースターが多数出演したわずか2作品出演のみで映画界を去ってしまったン・クワンルン主演の貴重なカンフーアクション！！
作品紹介
今回ご紹介する作品は、トン・ワイセンが監督・武術指導・出演とマルチにこなし、アンジェラ・マオ等豪華カンフースターが集結したカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ある日、2人の蛇拳の使い手が決闘を行っていた。二人は同門の兄弟弟子で、兄弟子が弟弟子の妻を襲ったため、その復讐のために決闘が行われたのだった。
しかし、兄弟子の力は強く、弟弟子は、なんとか命からがら逃げ去るが、いつの日か復讐する事を誓うのだった。
それから数十年後、財を成した兄弟子は、息子も青年の年齢となり、街では慈善家として知られていたが、その姿を影から見つめる一人の初老の男の姿があった！？
監督は、（老鼠街）（詳しくはこちら）や（斗え！デブゴン）（詳しくはこちら）等、多くのカンフーアクション作品で俳優として活躍し、
さらに監督として（天才カンフー）や（養鬼）（詳しくはこちら）等を監督してるトン・ワイセンで、本作でも、武術指導とラスボス役を兼任してテンポの良いカンフーアクションを演出しています。
で、その宿敵であり、主人公の師匠となる役柄で、（燃えよデブゴン7）（詳しくはこちら）や（燃えよデブゴン10友情拳）（詳しくはこちら）等の
フォン・ハックオンが登場し、出番も多く捻りのある役柄を演じています。
で、主人公であるトン・ワイセンの一人息子役で、本作の前年に製作された（紮馬）と本作のみの映画出演で映画界を去ってしまった
ン・クワンルンが爽やかなイメージで登場し、華麗なアクションを披露しています。
で、トン・ワイセンの世話係役で、（プロジェクトＤ）（詳しくはこちら）や（紅い愛の伝説）（詳しくはこちら）等の
高速カンフー、フィリップ・コーが登場し、前半と後半で捻りのある役柄を演じています。
で、娼館の女将役で（アンジェラ・マオの女活殺拳）や（鬼怒川）等のアンジェラ・マオが登場し、
相変わらずのレディドラゴンぶりで、主人公に戦いを挑みます。
で、賭博場のボス役で、ジャッキー主演の（ドラゴンロード）や（アラン・タムの特撮・異星人大騒動）（詳しくはこちら）等の、
チャーリー・チャンが登場し、相変わらずの迫力で、主人公を追い詰めていきます。
で、ゲスト的な出演ですが、大道芸人役で（燃えよドラゴン）等のキン肉スター、ヤン・スエや、
主人公の頼りなさ過ぎるカンフーの師匠役で（マッドカンフー地獄拳）（詳しくはこちら）等のチャン・ロン、
主人公が一瞬相棒となり大騒動を引き起こす詐欺師役で、（カンフー風林火山）（詳しくはこちら）等のチェン・カンイー等、豪華なキャストが結集した作品となっています。
そんな、スタッフ・キャストで製作された本作の物語は、冒頭、トン・ワイセンとフォン・ハックオンの対決シーンから始まります。
戦う理由は、蛇拳流派の兄弟弟子でありながらも、兄弟子のトン・ワイセンが、フォンハック・オンの奥さんに襲い掛かったという酷い理由で、
その復讐のための戦いが、いきなり冒頭でしっかり目に描かれます。
で、残念ながら、兄弟子の実力に一歩及ばなかったフォンは、敵わないと思うや否や、命乞いからの騙し逃げで、
トン本人と家族へ恨みを晴らす事を呟いて（というより心の中で思って）逃げていきます。
悪党に対して復讐している側も、わざわざ卑怯な感じで描かれる、という微妙な出だしから始まる物語ですが、
そのままその因縁話は一旦置いておいて、そこから数十年後に舞台は移ります。
で、世代は交代し、トンは、今では街の大変裕福な慈善家、という事を包み隠さず、ひけらかすタイプで、
自身の豪邸の前で、村人を並ばせて、食料を無料で分け与える、という、いやらしい慈善家ぶりで、その街では善人として有名になっています。
で、その息子である本作の主人公、ン・クワンルンは、大変正義感の強い青年で、困っている人がいると、率先して助けに行くタイプで、
逆に、その強すぎる正義感のせいで、あらゆる場面でトラブルを引き起こす、ぐらいの偽善ではない生粋の正義漢として育っています。
で、今日も悪党に追われている女性を助け、その女性が娼館に売られて無理矢理に働かせられそうになっている、という証言を聞き、
そんな娼館はけしからん！という事で、直接娼館に出向いていきます。
で、着いて早々に責任者を呼んでもらうと、登場するのがアンジェラ・マオで、初めは落ち着いて話していますが、
やがて大きな刀を持ちだして、ごちゃごちゃ鬱陶しい正義感に切りかかります。
で、ン・クワンルンも、既に結構なカンフーを習得していますので、応戦しますが、流石にレディドラゴンが相手ですので、押され気味になってしまい、
100％の正義感で娼館に乗り込んだのに、そこの女将に逆にやっつけられる、
という、非常にカッコ悪すぎる状況を、一人の謎の老人が救ってくれます。
その老人こそが、年齢を重ねたフォン・ハックオンで、実は、復讐の機会を狙いつつも、様子を伺っているうちに、
この正義感が強すぎる若者に、父親とは違う何か光る物を見出してしまい、宿敵の息子ながらも、思わずピンチを救ってしまう、
というそれまでの流れを変える展開を迎えて行くことになります。
ただ、今回はフォン・ハックオンも助けるだけ助けて颯爽と去っていきますので、ン・クワンルンはお礼を言う暇もなく、その場を後にします。
で、非常にカッコ悪い思いをしたン・クワンルンは、スッコケ師匠であるチャン・ロンに女性のフリをしてもらって強い女性にも勝てるカンフーをちょっとだけ訓練し、また街へと繰り出します。
で、今度は、珍しくちょっと足りない系の天然大道芸人を演じているヤン・スエが芸で稼いだお金を、得意のインチキで横取りしたチェン・カンイーを強引に相棒にし、
イカサマが横行する賭場へと、得意の正義感だけで乗り込んで行き、イカサマを証明するものの、やっぱり大騒動に発展し、
その賭場のボスであるチャーリー・チャンも登場しての大乱闘が展開されていきます。
で、今回も実は大して強くなかったン・クワンルンは大ピンチを迎えてしまい、
またしてもフォン・ハックオンが登場し、蛇拳で撃退し、気絶中のン・クワンルンを担いで颯爽と去って行きます。
で、その後目を覚ましたン・クワンルンは、二度も助けてもらったフォン・ハックオンの素晴らしいカンフーの腕に魅了され、弟子入りする、
というのが、大体の大筋となっています。
弟子入りするまでが結構長く、それまでの主人公の物語が、ただただ正義感でトラブルを起こし、その都度大騒動になる、
という冒頭からの本筋の因縁話から離れたエピソードが続きますので、物語展開に停滞感がありますが、
随所に散りばめられた素晴らしいカンフーアクションと、次から次へと有名なスターが登場して、主人公の大騒動に絡んで行きますので、
脱線はしているものの、飽きることなく鑑賞し続けられる内容となっています。
逆に、後半本筋であるトン・ワイセンとフォン・ハックオンの因縁物語に再突入しだすと、一挙にダークな雰囲気に包まれ、
最終的になんとも言えない、やるせない後味を残すようなクライマックスへと雪崩れ込みます。
この後半の捻りの効いたストーリー展開は、冒頭の嫌な理由での対決からの本人と家族への復讐を心に誓った陰鬱な始まり方と、
直結しているような陰鬱さで、今までの頑張った修行での師匠と弟子の関係は何だったんだ？というような捻りで、
主人公のやるせない切なさだけが残るようなエンディングとなっています。
恐らく、1980年当時、似たような内容や捻りのある作品も増える中、そういう部分で本作の独自性を追求した、という感じでしょうか。
ただ、それでもアクション自体は素晴らしく、冒頭とクライマックスのトン・ワイセンＶＳフォン・ハックオンのバトルを始めとして、
アンジェラ・マオやチャーリー・チャン、フィリップ・コー等ゲスト的な出演者も、しっかりとしたカンフーアクションを披露（ヤン・スエだけ無いのが残念）し、
主役のン・クワンルンも足技を中心とした足腰しっかり系の素晴らしいアクションを披露していますので、非常に見所豊富な作品となっています。
という事で、後半にかけての展開は、ちょっとダーク過ぎますが、さっぱりとしたヒーローが登場し、随所に素晴らしいアクションで満たされた作品となっていますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1980年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・武術指導 トン・ワイセン
出演 ン・クワンルン、トン・ワイセン、フォン・ハックオン、アンジェラ・マオ、フィリップ・コー、チャン・ロン、ヤン・スエ、チャーリー・チャン、チェン・カンイー、タイ・ポー、ホー・パックォン
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