カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
(少林寺への道)のジョセフ・クオ監督が、(少林寺破戒大師伝説)のラウ・カーユン、(醉拳)のウォン・チェンリー、(カンフーハッスル)のユン・チウを迎えて製作した、時代の流れに沿ったコメデイカンフーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、ジョセフ・クオ監督のコメディカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
武術界の名門、龍形門の党首ロンが、18年ぶりに道場を訪れたかつての弟弟子、リンの挑戦を受けた。
勝負はリンが勝利し、党首の証となる金牌も持ち去られたかに見えたが、実はその金牌は偽物で、本物を追うリンと道場の弟子たちの間で争いが巻き起こるのだった。
続々とリンたちに襲われる弟子達だったが、ついに修行の末、元党首の息子、ロンシアが必殺の五爪十八翔を会得し、宿敵リンとの戦いに挑む!?
人気のカンフースターが集結したコメディカンフーアクション作品です。
監督は、(少林寺への道)シリーズや、(少林寺炎上)(詳しくはこちら)、(オールドマスター師父出馬)(詳しくはこちら)、(逆襲!少林寺必殺拳)(詳しくはこちら)等の
カンフー映画の巨匠、ジョセフ・クオ監督で、当時の流行りを取り入れたコメディカンフーを演出しています。
主人公の青年を演じているのは、(少林寺破戒大師伝説)や(老鼠街)(詳しくはこちら)、(醉拳3)(詳しくはこちら)等のラウ・カーユンで、
愛嬌のあるキャラクターとキレのあるアクションで、コメディヒーローを好演しています。
で、敵役、大ボスとして登場するのは、ジャッキー・チェン主演の(ドランクモンキー酔拳)から、(南拳北腿)(詳しくはこちら)や、(ブルース・リの復讐)(詳しくはこちら)等、
多くのカンフー映画の傑作、話題作の強敵役で活躍しているウォン・チェンリーで、本作でも、その華麗な技で、主人公を追い詰めていきます。
で、主人公の母親役で、(カンフーハッスル)(詳しくはこちら)や、(カンフースタントマン)(詳しくはこちら)、
(新・少林寺三十六房)等のユン・チウが登場し、彼な技を披露しています。
で、必殺話を伝授してくれる師匠役で、ホー・チョンドー主演の(酔殺拳スーパーフィスト)や、本作のウォン・チェンリー出演の(非情のハイキック)等に出演しているパク・シャーリが登場し、
お笑い要素中心ですが、実は実力者な役柄を好演しています。
で、主人公の親友役で、(醉馬拳クレージーホース)(詳しくはこちら)や、(燃えよデブゴン正義への招待拳)(詳しくはこちら)等、
多くのカンフー作品の友人役、やられ役として活躍しているハン・クォチョイが登場し、明るい雰囲気を振りまいています。
で、珍しく大ボス役ではなく、その部下役の一人で、カサノバ・ウォン出演の(ドラゴン忍者)(詳しくはこちら)や、
ビリー・チョン主演の(ドラゴンカンフー水晶拳)(詳しくはこちら)等、多くのカンフー作品に出演しているチュー・ティエホーで、珍しい武器を使用した拳士を演じています。
そして、もう一人の部下役で、(バイオニック忍者)(詳しくはこちら)や、ノラ・ミャオ主演の(レディブレイド)、等に出演しているチャン・ラウが登場し、
強敵ながらも、ちょっとしたお笑い要素も含めて主人公を追い詰めていきます。
で、冒頭にみの出演ですが、主人公の父親役で、ユエン・ウーピン監督の(激突!キング・オブ・カンフー)(詳しくはこちら)や、
(デブゴンの霊幻刑事)等に出演しているラウ・ホクニンが登場し、ウォン・チェンリーと激闘を演じています。
というカンフー映画お馴染みのスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、武術界の名門龍形門の党首であるラウ・ホクニンが、
かつての弟弟子であり、過去に因縁のあるウォン・チェンリーの挑戦を受けるところから始まります。
ただ、ラウ・ホクニンは、病に伏せりがちで、その日も体調が良くなかったために一旦引き返します。
で、冒頭直ぐに過去の出来事として、この二人の因縁が語られますが、これが、結構ハードな因縁で、実は主人公であるラウ・カーユンの父親で、
現在の龍形門の党首であるラウ・ホクニンは、18年前に先代党首の娘でありラウ・カーユンのお母さんであるユン・チウに、
麻酔薬を服用させて体の自由を奪い、抵抗できなくなった所に襲い掛かり、妊娠させて、世間体を考えた両親の苦渋の判断で、
ラウ・ホクニンを娘ユン・チウの夫として迎え、結果的に龍形門の党首の座を継承する、という鬼畜の所業によって現在の党首の座を射止めた、
という、いきなりどう観て良いのか分からなくなるような父親キャラクターで、本来はユン・チウとその当時同門だったウォン・チェンリーが恋仲となっていたものの、
その事件が原因で、ウォン・チェンリーも悪の道へと進む様になってしまった、という複雑な因縁となっています。
で、ラウ・ホクニンは、18年前に胸に受けた必殺拳の傷跡に現在も苦しんでいますが、それはウォン・チェンリーが負わせた傷ではなく、
ユン・チウが負わせた傷で、実は18年間一切笑顔も見せる事なく、ユン・チウは、夫の悪行を責め続けている、という流れになっています。
で、ウォン・チェンリーが、18年経って、いよいよその地区に帰還し、現在の党首である鬼畜ラウに、正式に挑戦し、党首の座を奪還しようとしている、
というかなりハードな状況から物語が本題に入っていきます。
そいう流れがありますので、ウォン・チェンリーは他の作品のように完全な極悪人ではなく、病に苦しんでいるラウのために薬をくれたり、
体調が悪ければ、日を改める、という対戦相手の立場も考慮に入れてくれます。
ただ、そんな一面があるものの。18年前の事件のせいで人が変わってしまった、という設定がありますので、結局は命のやり取りをしていく事になります。
で、後日日を改めて決闘が行われ、勿論戦いを制したウォン・チェンリーはお供えされていた金牌を手に取り去っていきますが、
持ち帰って、舎弟(チュー・ティエホーとチャン・ラウ)に見せびらかしながら、金牌を眺めていたら、これがまさかの精巧にできた偽物で、
キレたウォン・チェンリーは速攻で、龍形道場を訪ね、金牌を出すように要求しますが、ユン・チウ達も偽物だと気付いていなかったようで、ビックリします。
では、本物はどこへ?
というところで、冒頭から主人公周りをうろついていた老人が、実は乱闘の合間に偽物と入れ替えていた、という事がわかり、
その老人こそ、龍形門の伝説の人物で、ラウ・カーユンがウォン・チェンリーとのちょっとした戦いで圧倒されたときに負わされた傷も治してくれていた、
という流れで、伝説の師匠に必殺の五爪十八翔を伝授されたラウ・カーユンは、ウォン・チェンリーとの、本当の党首を掛けた戦いを挑んでいく、というのが大筋となっています。
本作の特徴としては、基本的には1979年当時のカンフー映画のトレンドだったコメディカンフージャンルの作品ではあるのですが、
冒頭から語られる物語のバックグラウンドが非常にハードで、父の仇を討つために戦うストーリーなのに、
父親が実は鬼畜で、敵ボスの方が昔は善人で、薬などもくれる、という単純に感情移入しにくいダークでハードな設定が、
コメディカンフージャンルで展開されてしまう、という若干チグハグな内容となっています。
ただ、途中、その父親の鬼畜の過去の話を主人公が、こっそり聞いてしまうような描写がありますが、そのことで主人公が悩んだりするような描写も無く、
それどころか、その件については、一切母親とも話すシーンが無く、純粋にお気楽カンフーヒーローとして活躍していきますので、
冒頭のハードさとは裏腹に、本筋に入っていくと、その設定は無かった、ぐらいの扱いになっていきます。
本来、命を奪われ、仇討ちを決心する原因となる父親が、まさかの鬼畜で、しかも、その所業が無ければ自分はこの世に生まれていない、
という無茶苦茶ハードな出自を背負った、お笑い要素では描けないような背景の主人公なのですが、、。
ハードな設定だけだと、いつものジョセフ・クオ作品っぽいので違和感はないのですが、恐らく流行りに合わせて、
もともと練られていた設定を、強引にコメディカンフー色を強めていった結果なのか、無茶苦茶中途半端に登場するハン・クォチョイの無理矢理感や、
コメディなのに、結構な人数のキャラクターが絶命する、というのも、路線変更の結果のように見えてしまいます。
ただ、アクションに関しては、これだけのカンフー映画御用達キャストが揃っているだけあって、しっかり目なアクションシーンがふんだんに登場し、
それぞれが素晴らしい技を披露しています。
これだけ、濃いダークなドラマが描かれながら、カンフーアクションシーンがたっぷりと入っているドラマとアクションのバランスは素晴らしく、
流石にカンフー映画を多く製作しているジョセフ・クオ作品だけの事はありますが、やはりコメディ要素との融合に関しては、あまり上手くいっているような内容とはなっていないのが残念です。
という事で、物語背景は、楽しい内容ではありませんが、カンフーアクションはしっかりと楽しめる作品となっていますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・製作・脚本 ジョセフ・クオ 武術指導 リー・チウチュン
出演 ラウ・カーユン、ウォン・チェンリー、ユン・チウ、パク・シャーリ、チュー・ティエホー、ハン・クォチョイ、チャン・ラウ、ラウ・ホク二ン、シャム・チンボー、リー・チウチュン
↓ランキングに参加しています。もし、宜しければ下記をクリックお願い致します↓
にほんブログ村
海外映画ランキング