お薦め度 ★★★★★★★★★★
ジョニー・トー製作による、偶然に見せかけた殺しを請け負う暗殺者チームの孤独な戦いを描いたサスペンスノワール!!滅茶苦茶渋いです!!
作品紹介
2011年11月8日公開
今回ご紹介するのは、香港映画界の巨匠ジョニー・トー監督が自身の製作会社で製作し、ソイ・チェンが監督を務めたサスペンスノワール作品です。
それでは、まずはあらすじから、
緻密な計画と周到なトリックにより、偶然の事故に見せかけて標的を死に追いやる暗殺チームの4人は、毎回息のあった完璧な殺しを遂行していた。
そんな今回の依頼には、天候によって左右されるが、偶然も重なり、なんとか依頼を遂行するが、予期せぬ偶然がかさなり、仲間の内の一人が命を落としてしまう。
これは、本当に偶然なのか?
それとも、他の暗殺チームによる偶然と見せかけた事故なのか?
疑心暗鬼の中、チームはお互いを疑い始める事になる、、。
原題の(意外)とは日本語の意外の意味とは違い、(事故)という意味です。
劇中で良く耳にする「イーゴイ」という言葉は(意外)の文字の広東語での発音です。
本作はジョニー・トー監督が製作に回って、弟子筋のソイ・チェンが監督を担当していますが、かなり、いつものジョニー・トー監督作品の色合いの濃い作品となっています。
とにかく、映像と音楽などの作品全体を覆う雰囲気がかなり渋く、個人的には(スリ)と合わせて、もう10回以上鑑賞してしまうくらいにハマっている作品です。
特に派手なアクションがあったり、劇的な物語展開があったり、という事もないのですが、とにかく雰囲気にいつもやられてしまいます。
ジョニー・トー作品では同じようにアンダーグラウンドな世界に生きる人々を描いた作品でも、
明るめ系の(スリ)と暗め系の本作で対をなした傑作となっていると言っても良いのではないでしょうか。(といってもジョニー・トー作品はだいたいアンダーグラウンドな世界の話が多いですが)
そんな本作の内容ですが、今回の物語の主人公達は、4人組の暗殺チームで、
その流儀は、緻密に練り上げた計画に基づいて、事故に見せかけて殺しを遂行する、というもので、ありえないような偶然を装います。
正直、回りくどすぎる、とも感じられなくもないですが、死を装うために、雨の日に、凧を上げて、糸を切って、
垂れた糸が電線に垂れて、そこにたまたま通りかかった車いすのターゲットに電線から垂れたタコ糸が接触して感電死する、
というピタゴラスイッチ的な暗殺方法です。
そのために、まずは凧を上手く飛ばせるように訓練し、雨が降る日と調度ターゲットが通りかかる日が重なるのを延々と待ちます。
何日も何日もです。
なんか、他の方法ないのか、とも思いますが、このチームがそういうやり方なので仕方ないです、、。
別な作品で例えるなら、ジャンルは違いますが、ハリウッド作品の(ファイナルデスティネーション)のような殺し方、といった感じでしょうか。
ただ、この地味な展開が切ない音楽と、ジョニー・トー作品特有の夜間撮影メインのストーリーと、
暗い所に照明が集中的に当たっているいつもの特徴的な映像
と相まって非常に素晴らしい名シーンの連続となっています。
そんな感じで話は進んでいきますが、リーダーのルイス・クーは自分以外は誰も信用しない性格で、
どうも以前に奥さんが事故に見せかけて殺された、ような過去があるようです。
その辺は、実際事故だったのか、それとも暗殺されたのか、はっきりと語られませんが、少なくとも、主人公はその奥さんの件以降、他人を絶対信用しなくなったようです。
この、徹底ぶりが、後半の展開に絡んでいきます。
暗殺遂行中にメンバーの一人が事故により命を落としますが、その事故が本当の事故なのか、それとも他の暗殺チームの殺しなのか、疑いだします。
仲間内でも全く信用せずに、徹底して関係者を調べていきます。
その徹底ぶりが、ある種異常なぐらいになって、後半は予想外の方向へと物語が静かに展開していきます。
そして、ラストの日蝕の日に起きる事故は果たして本当に事故なのか?
といった感じで主人公の疑心暗鬼ぶりを観ているうちにこちら側も、誰が暗殺者か分からなくなってきてしまうぐらいに、静かに感情を煽ってくれます。
というように、決して明るい作品ではありませんが、アンダーグラウンドな世界で孤独に生きる人々を描いた、どことなく切なさの香る傑作サスペンスとなっています。
上映時間も87分と手軽な分数ですので、気分転換にでもご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みにサモ・ハンの(五福星)シリーズで活躍していたフォン・ツイファンが久々に元気な姿を見せてくれているのも嬉しいですね。
作品情報
2009年製作 香港製作 サスペンスノワール
監督 ソイ・チェン 製作 ジョニー・トー
出演 ルイス・クー、リッチー・レン、ラム・シュー、ミシェル・イエ、フォン・ツイファン
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おすすめ度がマックスだったので、気になって覗いてみました。
レビューを見た感じだととても面白そうです!
サブスクで配信されていたら見てみようと思います。
韓国映画は、やはり面白い作品が多いんですね。
こんにちは、いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。この作品は、個人的にも凄く気に入っていて、もう何度見たのか分からなくなっているぐらいに観返しています。回りくどい暗殺シーンも良いのですが、とにかく、映像と音楽が切なく、渋い作品で、アンダーグラウンドな世界で生きる人たちの孤独さを垣間見ているようで、また見てしまうんですよね。ジョニー・トー監督作品はどれも面白いですが、本作と(スリ)という作品の面白さは特に際立っていますよ。機械があれば、是非ご鑑賞くださいね!両作ともイマイチ知名度が低いのが残念ですが、、。