お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
ジェシカ・チェスティンが製作も担当し、(ヘルプ心がつなぐストーリー)のテイト・テイラー監督と再タッグを組んだ既視感満載ながらもドラマ部分がしっかりと描かれたレディースアクション!!
作品紹介
2021年4月16日公開
今回ご紹介するのは、ジェシカ・チェスティンが主演したレディースアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ある闇の組織に所属する暗殺者エヴァ(ジェシカ・チャスティン)は、その実力の高さから組織からの信頼を得ていたが、
ある要人暗殺任務の際に、ターゲットが何故殺されるのか?に疑念を抱いたために、逆に組織から命を狙われる立場となってしまう。
距離を置いていた家族にも危険が及ぶに至り、ついにエヴァは組織の本拠地へと戦いを挑む決意をする!?
アカデミー賞がらみのドラマ作品で人気のジェシカ・チャスティンと同じくドラマ作品の多いテイト・テイラー監督が(ヘルプ心がつなぐストーリー)に続き、
再び再タックを組んだレディースアクション作品です。
内容としては、暗殺組織の美しきトップエージェントである主人公が、ある事件をきっかけに逆に組織に狙われて、一人で反撃する、
という、正直、既視感は満載の物語となっています。
似たような作品は、ジーナ・カラーノ主演の(エージェント・マロリー)、オルガ・キュリレンコ主演の(センティネル)や(ザ・クーリエ)
シャーリーズ・セロン主演の(アトミック・ブロンド)、ブレイク・ライブリー主演の(リズムセクション)、ジェニファー・ローレンス主演の(レッド・スパロー)、サッシャ・ルス主演の(ANNNAアナ)など、
最近はちょっとした女性主人公が男性をなぎ倒していくアクション作品のちょっとしたブームぐらいに同系統の作品が製作されています。
それだけ人気がある、という事だとは思いますが、流石にちょっと内容が似通っている作品が多くなってきているので、そろそろプラスアルファが欲しいとことろですね。
そんな状況で本作の登場ですが、本作製作はボルテージピクチャーズという事で、セガール作品や、ヴァンダム作品など、
どちらかというと、ちょっと規模の大きめのB級娯楽作品を多く世に送り出している製作会社ですので、本作もそういった流れをくむ作品とはなっています。
ですが、逆に言うとB級作品ではあるものの、その中でもしっかりとした作りの常に水準以上には楽しめるレベルのB級作品であるとも言えると思われます。
ボルテージピクチャーズ作品はある意味B級作品界では安心のブランドと言ってしまっても良いかもしれません。
そんな本作ですが、監督が(ヘルプ心がつなぐストーリー)でアカデミー賞ノミネート経験もあるテイト・テイラーですので、
ただのB級アクション作品ではなく、しっかりとドラマ部分も描かれた作品となっています。
主人公のエヴァは過去に父親とのいざこざで酒とドラッグに溺れ、家を飛び出し、そのまま家出同然に軍に入隊した、
という過去があり、あまりに突然すぎてその時の婚約者にも何も告げずに飛び出しています。
そんな状況で、軍に所属していたときに(か除隊してからかは劇中ではっきりと説明されませんが)闇の組織にスカウトされ現在に至っています。
勿論家族にはそんな仕事の事は秘密で、7年の月日が経過して、家族に危険が及ぶに至り、突然帰ってくる、というところが前半の展開です。
その間に元婚約者は妹と付き合うようになり、同棲しています。
妹に会いに行くと元婚約者もいるわけです。
で、そのタイミングで母親が病気で入院する事になり、お見舞いなども行かなければいけないのに、そこには妹と元婚約者も当然居たりいます。
この微妙な関係に、酒や薬に溺れた時のトラウマや、父親から受けた仕打ちなどがフラッシュバックしつつ、何とか前向きに生きて行こうとする主人公エヴァの苦悩が細かく描かれていきます。
この辺のドラマ展開は流石にアカデミー絡みのドラマ作品で大活躍している主演女優と監督、という事で、本当に感情が高ぶって自然に流れてしまっているようにしか見えない涙を流すシーンや、
もう取り戻せない過去と現実の状況に戸惑う主人公の感情表現がごくごく自然に表現されていて、観ている側もいつの間にか感情移入してしまいます。
そんなドラマ部分を盛り上げつつも、アクション自体は、恐らくスタントマンよりもジェシカ・チャスティン自身が演じてるシーンが多かったように見受けられましたので、
予想以上にしっかりとしたアクションをこなしていて、アクションシーンも十分楽しめる内容となっています。
武術系のアクションではないですが、意外に打点の高い蹴りなども繰り出す、しっかりとした強さの伝わるアクションでした。
正直、もう少しアクションシーンが多めでも良かったと思うのですが、ドラマ部分も特に退屈するような内容ではなかったので、97分という上映時間を考えるとバランス的には調度良いのかもしれません。
で、本作はジェシカ・チャスティン意外にも見逃せない豪華なキャストが揃っています。
信頼のおける上司役には名優ジョン・マルコビッチ、ラスボスとなる組織の幹部役にコリン・ファレル、元婚約者役にコモン、
そして母親役に(テルマ&ルイーズ)のジーナ・デイビス、さらに敵対する事になる賭場の元締め役に(ラストエンペラー)やテレビシリーズ(ツインピークス)のジョアン・チェン、
という実は物凄く豪華なキャストが揃っています。
しかもジョン・マルコビッチとコリン・ファレルは後半珍しくガチンコ系のしっかりとした格闘シーンがあったり(このシーンは正直通常の同系列の作品の流れだとわざわざ格闘をする必要もななそうなシーンですが、ちゃんとガチンコっぽく格闘しています)、
ジーナ・デイビスも顔見せ程度ゲスト的な出演ではなく、病気がちで、粗っぽい性格の母親のように一見見えるけれども、
実は娘と同様に弱かった自分の過去をとても悔いていて、自分の間違った態度のせいで、娘を精神的に追い込んでしまった過去の自分を恥じている、
という物凄く人間味のある母親像を見事に演じてドラマに深みを与えています。
この親子の会話シーンは予想外に涙腺が刺激される名シーンとなっています。
そして、個人的にびっくりしたのは、それぞれ70年代、80年代に活躍していたレジェンドキャストがそれなりの年数の経過を刻み付けている中、
賭場の元締め役のジョアン・チェンの外見の変わり無さに驚いてしまいました。
同じレジェンドでも母親役のジーナ・デイビスはそれなりに貫禄が付いていたりして、失礼ながら気にしないと気づかないぐらいに年月の経過を感じてしまいますが、
ジョアン・チェンは完全にあのジョアン・チェンのままです。(変な表現ですが、、)
ヘアスタイルがちょっと変わった、程度で今も変わらぬ存在感を醸し出していました。(役柄はあまり良い感じではないですが、、)
という感じにボルテージピクチャーズの気合の入ったB級作品は、意外に豪華なキャストが意外な役柄で起用されていたりと、
下手するとメジャー系の大作よりも色んな意味で楽しめる作品が多かったりします。
最近話題になっている、若者に人気の作品を多く製作する(A24)や(ブラムハウスプロダクション)のように、宣伝文句に『あのブラムハウスが製作する新作!』のように
鑑賞する前からその製作会社で製作した事を作品の売りの一つにされる事はまずありませんので、事前に情報を得る事なく、
気になったB級作品を観始めたらボルテージピクチャーズ作品だった、
という状態でしか製作作品に出会えないのが歯がゆいですが、個人的には観始めた時にボルテージピクチャーズのマークが表示されるとちょっとラッキーと思ってしまいます。
という事で、ボルテージピクチャーズ作品は色んな意味で意外に楽しめる作品も多いので、本作や本作以外も機会がありましたら、是非ご鑑賞ください。
ジェシカ・チャスティンは意外にアクション作品と相性が良いかもしれまんよ。
作品情報
2020年製作 アメリカ製作 レディースアクション
監督 テイト・テイラー 制作 ジェシカ・チャスティン
出演 ジェシカ・チャスティン、ジョン・マルコビッチ、ジーナ・デイビス、コリン・ファレル、コモン、ジョアン・チェン、
その他のボルテージピクチャーズ作品
トーマス・ジェーンとローレンス・フィシュバーンが激突する(スタンドオフ)はこちら
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