おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
記憶を失って目覚めた男が12時間ごとに、別人の身体に意識だけを乗り移らせていく、という設定と描き方が秀逸な謎解き要素満載のサスペンスアクション！！面白いです！！
作品紹介
2022年4月1日公開
今回ご紹介するのは、設定が秀逸な韓国製のサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ある交通事故の現場で、突然その男は目を覚まし、自身が何者であるかも分からず、鏡に映る自身の姿にも違和感を覚えるのだった。
戸惑いながらも生活を進めると、また見覚えのない場所で目を覚まし、先ほどとは違う自身の顔に戸惑う。
さらに、その現象は繰り返され、やがてその周期が12時間ごとであることに気付いたとき、男は自身の身に起きた出来事に立ち向かう決意をする！？
設定が秀逸な韓国製のサスペンスアクション作品で、既にハリウッドリメイクが決定しているそうです。
で、本作は、物語が進むごとに、謎が明らかになっていく、という謎映画の要素を含んだ作品となっていますので、
あまり説明してしまうと鑑賞時の楽しみがなくなってしまいますので、その魅力の入り口、程度でご紹介させていただきます。
基本の物語としては、主人公に何が起こったのか？という事を探る物語となっています。
まずは、いきなりですが、既に主人公は、なんらかの事件に巻き込まれて、記憶を失っているという状況で、物語が始まります。
で、自分が何者かも分からず、どこで何をしているかも分からない、でも自分の前にいる知らない人は、自分を知っているように話している、
という記憶喪失設定の主人公ではありそうで無かった、本当に突然の記憶喪失です。
で、相手は自分の事を記憶喪失者と思っていない、という部分が他の作品と似て非なる部分で、本当にある日突然、何の予兆もなく、
一瞬で自分だけが記憶喪失者になるわけです。
非常に緊迫感のある状況ですが、本作はその秀逸な設定に、さらに豊かな創造力で、設定を上書きしていきます。
その知らない人と話して戸惑い、自分が誰なのかと手がかりを探し求めている最中に、その主人公を起点して背景が変わり（秀逸な映像表現です）、
今度は先ほどとは全く違う場所で、他の人と接する事になります。
そこでも、相手は自分の事を知人のように接して、自分がずっと前からそこにいたように話しかけてきます。
要するに、主人公目線からですと、記憶喪失の状態で気付く、という事を繰り返している事になります（ただ、２回目以降は記憶を継続しているので、自分に起っている不可解な状態は理解しています）。
で、それを繰り返していくうちに、自身は意識だけが他人の身体に次々と乗り移っている事に気付きます。
そして、その乗り移りにはルールがあり、12時間調度事に他人の身体に乗り移っている事が分かります。
で、その乗り移りを繰り返すうちに、少しづつ自分が何者かを把握し、結果的に自分の身に起きた事を理解していく事になります。
非常に秀逸な設定ですが、本作が優れているのは、その設定だけではなく、その設定を最大限にサスペンスフルに表現する映像表現で、
合成によって背景が変わっていく、という次の人物への乗り移り表現も見事ですが、それよりも凄いのは、
この作品を観ている側には主人公の姿がユン・ゲサンの姿で映っているのですが、劇中に登場する脇の登場人物には、主人公が本来の姿で見えているようで、
その本来の姿（でも意識はユン・ゲサン）である別キャストが演じています。
その様子が分かるのは、鏡や窓ガラスなどの反射物の前に映った時だけで、巧なカット割りの挿入で、劇中の登場人物には、こう見えている、
というシーンが上手いタイミングで入ります。
ですが、結構一瞬の事ですので、イメージ的に、今はこういう姿になっている、という印象は残しますが、
映画自体は、基本的には中に入っている意識の姿であるユン・ゲサンが、物語を牽引していきます。
この表現が非常に困惑するようになっていて、物語を分かりにくくしているのですが、この分かりにくさ、こそがこの作品の重要な部分で、
12時間ごとに自分の意思とは無関係に他人の意識に乗り移ってしまう、という主人公の混沌とした状況を非常に上手く表現しています。
凄い発想力です。
クリストファー・ノーラン監督の（メメント）や（インテースティラー）、（インセプション）（テネット）に匹敵するぐらいの、
鑑賞する側の想像力の限界の数段上を行く発想力ではないでしょうか。
中でも内容や世界観的には、（メメント）に一番近いかと思われます。
という事で、秀逸な設定と物語、そしてその描き方とキャストの名演の光る傑作サスペンスアクションとなっていますので、
アクション映画好きの方や、サスペンス映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ハリウッドリメイクにも期待が高まります！
作品情報
2021年製作 韓国製作 サスペンスアクション
監督・脚本 ユン・ジェグン
出演 ユン・ゲサン、イム・ジヨン、パク・ヨンウ、ユ・スンモク
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