おすすめ度 ★★★★★★★★★★
殺人鬼に妻を殺害され、自身が容疑をかけられたまま不起訴となった検視官が、被害者の脳髄と記憶再生促進剤を自分自身の身体に注入し真犯人を追い詰める、設定の奇抜さと物語展開が上手く融合し、レイ・リオッタの名演が悲壮感と涙を誘う、傑作サスペンス!!
作品紹介
1997年1月15日公開
今回ご紹介する作品は、レイ・リオッタが妻の殺害犯を追う秀逸な設定のサスペンススリラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
シアトルの街中のドラッグストアで、買い物客が襲われる殺人事件が発生した。
現場に就いた検視官のクレイトンは、事件現場で、ある特徴的な折り方をした紙マッチを発見する。
その特徴から、妻が何者かに殺害された事件の犯人と同一犯だと確信したクレイトンは、同時期に学会で発表された脳科学者マーサの
記憶の移植は可能だという研究に注目し、その研究を使って事件の真実に迫って行く!?
監督は、(ラウンダーズ)や(ロードキラー)等のジョン・ダールで、奇抜な設定と緊迫感を煽る演出で、
切なさの香る主人公の独自の捜査線を演出しています。
主人公の検視官役は、残念ながら(コカインベア)(詳しくはこちら)が遺作となってしまった(グッドフェローズ)等の
レイ・リオッタで、繊細な演技で、妻殺しの犯人を追い詰めていきます。
で、その相棒となる大学勤務の医学教授役で、(メン・イン・ブラック)や(ジェイド)等のリンダ・フォレンティーノが登場し、
事件に巻き込まれながら主人公を懸命にサポートしていきます。
で、レイ・リオッタの亡くなった奥さんの妹役で、(セックス・アンド・ザ・シティ)や(マネキン)等の
キム・キャトラルが登場し、主人公の娘たちの母親代わりとして、主人公と距離を置いていきます。
で、検視局での主人公の同僚役で、(アクシデントマン)(詳しくはこちら)や(ゲットショーティ)等の、
デビッド・ペイマーが登場し、なんだかんだと窮地の主人公を手助けしてくれます。
で、理解のある警察の上司役で、(E.T.)や(バタリアン4)等のピーター・コヨーテが登場し、主人公と寄り添って、未解決事件の犯人を追い詰めて行きます。
で、主人公を犯人だと決めつけるイヤミな刑事役で、(パラサイト)や(ターミナルベロシティ)等のクリストファー・マクドナルドが登場し、イヤミたっぷりに主人公を追い詰めます。
で、物語の鍵とも言える悪漢役で、(シー・フォー・ミー)や(サイレントヒル)(詳しくはこちら)等の
キム・コーツが登場し、主人公達を追い詰めていきます。
そんな、スタッフ・キャストが製作した本作の物語は、まずは人通りの多い街の中にあるドラッグストアで、
数名の買い物客が何者かによって殺害された凄惨な事件現場に、検視官のレイ・リオッタと同僚のデビッド・ペイマーが到着するシーンから始まります。
この事件自体は、店内の荒らされ方や、買い物客に無造作に発砲している状況から、麻薬常習者による犯行という事で結論づけられますが、
その現場に落ちていたある物を見た瞬間、レイの眼の色が変わります。
それは、特徴的な折り曲げ方をされたマッチで、そのマッチによってレイの脳裏に過去の出来事がフラッシュバックします。
それは、数年前、優秀な検事だったレイの奥さんが、自宅で何者かに撲殺される、という非常に痛ましい事件で、
あろうことか、レイは、その時、泥酔状態で自宅の庭で酩酊していた、というどうしようもない状況で、
勿論、当時の記憶もなく、しかも奥さんと喧嘩していた状態だったレイは、即第一容疑者となり、起訴されるものの、
新人警察官の証拠採取に不手際で不起訴となり無罪放免にはなりますが、周りの人々からは、妻殺しの疑いの目を向けられ続けている、という地獄のような状況にいる事が分かります。
で、その現場の証拠品として、同じ折り曲げ方をしたマッチが落ちていた、という事で、同一犯と確信したレイは、
もし、ドラッグストア事件の犯人が捕まれば、妻の事件の事を聞いて欲しいと進言します。
で、そんな状況の中、友人に誘われて、脳科学者の学会に主席してみると、そこで研究成果を発表しているリンダ・フォレンティーノの、
【記憶は移植して再生する事が可能である】
という説に非常に興味を惹かれ、早速個人的にコンタクトを取って次の日に研究室を訪れます。
で、人間を含む動物の、強烈な感情を抱いた記憶は、脳髄に記録されるので、その時と同じ状況を再現し、
その脳髄と記憶再生促進剤を同時に別の個体に注入すれば、元の記憶を再生する事ができる、
という物凄いその研究は、既にネズミを使った動物実験は成功しているレベルまで進んでいる事が分かります。
で、レイは、速攻で、自分自身を使った人体実験を申し出ますが、勿論命の危険を伴う人体実験をリンダが許可するはずもなく、その日は引きあげる事になります。
ただ、そう言われてレイが素直に諦めるはずもなく、一応一旦帰りますが、夜中に実験室に忍び込んで、記憶再生誘発剤をゲットし、
警察の証拠品保管室に保管されている奥さんの脳髄液を持ち出し、事件現場である元の自宅へと向かいます。
で、いよいよ脳髄液と記憶再生促進剤を自分自身に注入してみます。
すると、、、、事件当日の様に、急に雨が降り出し、、、、扉を開けて入って来る人影が、、、、、
、、、、という展開から本題へと突入していきます。
本作は、物語展開が、そのまま作品の面白さと直結しているタイプの作品ですので、本題の詳細は割愛させて頂きますが、
設定の奇抜さと物語展開が非常に上手く融合していて、脳髄液を採取する事で、被害者の強烈に幸せだった瞬間や、殺害される直前の地獄のような瞬間を、
命が果てるまでの走馬灯の様に追体験しながら、事件当日の真実に迫って行く、というスリリングな展開の目白押しとなって行きます。
しかし、その行為を繰り返す度に、レイの心臓への負担も重なり、脳髄を注入した人々の記憶が、白昼でフラッシュバックのように蘇る、
という、真実に迫れば済まる程、レイ自身の身も心もボロボロになっていく、という非常に緊迫感のある諸刃の剣のような設定で、
犯人を追い詰めているはずなのに、まるでレイ自身が追い詰められているかのように悲壮感が漂っていきます。
似ている作品で言えば、後の2004年に製作された傑作スリラー(バタフライエフェクト)の主人公のような感じでしょうか。
そちらも、身体的、精神的に危険な行為を繰り返すうちに、主人公は追い詰められ、顔面は蒼白になり、本作のレイと同じように鼻時まで出てしまっていました。
成り行きでバディとなるリンダ演じるキャラクターも非常に良く、少々おっとりとした性格なために、思わぬピンチを招いたりしますが、
なんだかんだと言いながらも、主人公をサポートしてくれます。
真犯人に関しては、こういうタイプの作品を多く鑑賞している方でしたら、ピンと直ぐきてしまう犯人像ですが、
本作の良さは、犯人探しのミステリーというより、妻の無念を晴らし、自身の幼い娘でさえも、疑いの目をかけられてしまった主人公が、
命の危険を顧みず、真実を探求していく姿にこそ、見所が集約している作品となっています。
悲壮感が漂いまくる後半の展開の果てに、辿り着いた真実の、その先にあるクライマックスシーンは、
こちらも(バタフライエフェクト)公開時の宣伝文句
【映画史上、最も切ないハッピーエンド】
にもピッタリと当てはまるような、
切ないエンディングに、クリストファー・ヤングの感情を煽るBGMが重なり、さらにストーリーとぴったりはまるナット・キングコールの名曲(Unfogettable)が
エンディングテーマとして流れる感涙必死の名エンディングとなっています。
という事で、レイ・リオッタの悲しみを帯びた眼が印象的な名演も光る、秀逸な設定のサスペンススリラーとなっていますので、
機会がありましたら、是非ご鑑賞してみてください。
面白いですよ!
作品情報
1996年製作 アメリカ製作 サスペンス
監督 ジョン・ダール 製作 ディノ・デ・ラウレンティス
出演 レイ・リオッタ、リンダ・フォレンティーノ、クリストファー・マクドナルド、キム・キャトラル、ピーター・コヨーテ、デビッド・ペイマー、キム・コーツ
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