修行度 🔥🔥🔥🔥●●●●●●
お調子者なキャラクターで周囲に溶け込んでいた主人公が、実は絶大な力を秘めていた、という前半コメディ調、後半お涙展開の武侠ファンタジー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、前半はコメディ調で、後半は泣ける展開へと様変わりする武侠ファンタジー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
中国唐の時代、天師府の当主ムジンシは、世界平和のために妖王と激闘を繰り広げ、封印することに成功する。
しかし、妖王の妻の復讐に合い、生死を彷徨う状態になる。
そこで、ムジンシは自らの魂をかけ、妖王と相打ちにまで持っていき、その悪魔の魂を人間であるショウキという若者に封じ込める。
何も知らないショウキは日々平和に暮らしていたが、ある日、自身の体内に封印された絶大な力に気づき始める。
中国古代道教の神、ショウキを主人公にした武侠ファンタジー作品です。
主演は(レジェンド・オブ・ゴッド封神伝説)(詳しくはこちら)でも主演していたベニー・チャン。
個人的には(レジェンド・オブ・ゴッド封神伝説)の破壊力、というか脱力感が凄まじかったので、ベニー・チャンに対して厭な予感しかしないのですが、、、本作は、、、、、
やはり流石、ベニー・チャン!!というぐらいに脱力系の武侠作品となっています。
今回、ベニーが演じるのは、キリっとした美剣士ではなく、ズッコけキャラのコメディ(一応)剣士という二枚目的な役柄を、待ってましたとばかりに演じてます。
若い時のジャッキーのコメディ演技をもっと極端にしたような顔面の表情を色々変えながらズッコケギャグを演じていきます。
ジャッキーの場合は元々の持っているキャラクターとコメディカンフーという要素が上手くはまって作品のコメディ要素を盛り上げているのですが、
これを全然笑いの要素(センス)に乏しいベニーが演じると、自分たちだけが楽しんでいるような身内受けギャグを、
赤の他人が延々と見続けさせられるような、きまりの悪い時間が前半かなり長く続きます。
しかも今回は主役級の位置にいるのが兄弟二人、という事で弟役のキャストも寒いギャグを連発します。
という事で寒さも二倍増しで、観ている側を強烈に襲ってきます。
そんなベニーはお調子者的な役柄で、美女剣士と女妖魔との戦いに巻き込まれていきますが、この女妖魔は実は愛する夫を復活させるために悪事を働いていた、
という最近の中国武侠ものの、お約束、前半コメディ、後半泣かせ、という物語展開に安易になっていきます。
勿論、ベニーと美女剣士とのロマンスを匂わせつつ、バトルは展開していき、
その妖魔を倒すためには、実はベニーの中に眠っている絶大な力を開放すると、妖魔を倒すことができる、
が、その力を開放すると元の記憶を失って別な人格(力を封じ込められる前の人格)に戻ってしまうので、
今現在の記憶も全て失ってしまう、というどこかで見たたことのある展開になっていきます。
チャウ・シンチーの(チャイニーズ・オデッセイ)ですね。
で、女妖魔が暴れだすと今度は女妖魔のロングヘアが真っ白になるというどこかで見たことのある展開になっていきます。
(白髪魔女伝)ですね。
で、勿論、力は解放されますので、ベニーは物凄く絶大な力を持った戦士として復活します。
もうそうなると無双状態、、、には全く見えないのがベニーらしいですが、とにかく役柄上は強くなって悪者を簡単にやっつけて、めでたしめでたし、
でもラブラブになりかけていた美女剣士の事は覚えていないので、愛する(ところまで行ってなかったはずですが、急に盛り上がっていたみたいなので)人が自分の記憶を失っていて、号泣、、、してもらう展開となっています。
とにかく、ベニー作品なので突っ込みどころは満載で、バレバレの付け髭、あふれ出るかつら感、カッコ悪いデザインのラストの勝負服、動かないアクション、寒いギャグ、等目白押しですが、
ここまでの波状攻撃で迫られると、逆にベニー・チャンに対してある意味愛着が沸いて、、、、来るはずもないので、やはり作品自体は修行度が高いです。
じゃあ、観なければ良いのでは?とも思いますが、そこはずっと香港映画を鑑賞してきた使命感のみで、恐らく次回作がリリースされればまた観てしまうと思います。
で、多分、、、がっかりすると思います。
というように、そんなに楽しめる要素のある作品ではありませんが、こういう作品が今、(といっても2019年製作と少し時間が経っていますが)
中国で(人気があるかどうかは別として)製作されていますよ、という事を把握するためだけにでも鑑賞してみてはいかがでしょうか。
個人的には、中国は映画館が急速に増えた事で、上映する作品の数とスクリーンの数の需要と供給のバランスがおかしくなっているのではないかと思っています。
スクリーンは多数あっても、検閲で外国産の作品や自国の作品でも現代劇は製作しにくい状況で、作品自体の絶対数が足りていない状態が続き、
結果的に作品の質は関係なく、許可の下りやすい中国産の武侠作品を連続して製作している。
しかも、費用などの関係から香港からの長年のプロなどは参加せずに中国側だけで製作し、その不慣れなスタッフ・キャストによって製作されている作品の方が費用対効果の関係でメインの流れになってしまっている、
という負のスパイラルに陥っているのではないかと思っています。
ただ、たまに香港や世界で活躍しているスタッフが加わっていたり、娯楽志向の高い製作者が製作している作品も交じっているので、侮れません。
日本版のDVDジャケットやポスターをパッと見て判断できれば良いのですが、内容もさることながらDVDジャケットもそっくりな作品が多いので、
作品選びも難しいところですね。
という事で、中国武侠ファンの方や、アジア映画鑑賞制覇などの使命感をお持ちの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督・脚本 リー・リミン
出演 ベニー・チャン、ワン・メイシー、ガオ・シャオバン、へー・タオ
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