修行度 🔥🔥🔥🔥🔥●●●●●
例によってアヘン関係の事件を取り扱いつつ、猫背、なで肩、小柄で華奢な、まるでヒーローに見えない武芸者が、強敵をなんとなく倒してしまうカンフー映画とは言い難いカンフー映画!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、色んなカンフー映画の設定だけを取り入れたカンフーシーンの極めて少ないアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝末期の中国、漬物店を経営する母と二人で暮らす小馬は、若き女性経営者・卿卿が社長を務める新聞社でアルバイトを始める。
アヘン製造を行う闇組織に潜入取材を開始した小馬だったが、やがて街を牛耳る巨大な陰謀と戦っていく事になるのだった!?
まず、なんなんですか、この邦題は、、、。
カンフー・フィスト必殺拳、、、
(バカ拳)(詳しくはこちら)と大して変わらないじゃないですか、、、。
しかも(シャークトパス)とか(サメデーター)とかは、ある程度、分かっていてボケている感じがなんとも良い感じもしましたが、
(カンフーフィスト必殺拳)て、なんとなく何も知らない新人の担当者が、知らないなりにちょっと考えた末に、
初めて付けたタイトル、みたいなボケている感じがあまり伝わらない、本気っぽいタイトルじゃないですか、、、。
とはいえ原題も(憤怒的拳頭FURY FIST)というペラいタイトルなので、似たり寄ったりなのですが、、、
ついでに、ある情報誌ではこの英語原題の(FURY FIST)が、まさかの(FURY FIRST)と誤印刷しいて、最初に怒った、みたいになっています、、。
さらに、この作品内容自体に売りが少ないと判断したのか、2017年に惜しくもこの世を去った高速カンフー、フィリップ・コーが最後にアクション指導として参加した作品という事が、
やたらと宣伝文句に使われていますが、そこで紹介されている文章が、カルト作(ブルース・リィの大金塊)などに出演したカウ・フェイが、
振り付けた本作の昔ながらのカンフーアクションが迫力で見所、だと書かれていたりしますが、カウ・フェイというかフィリップ・コーは(少林寺秘棍房)や、(フィストバトル拳撃)、(水滸伝)等のショウブラザース作品や、
(激突!キング・オブ・カンフー)(詳しくはこちら)、(タイガー&タイガー)(詳しくはこちら)、
他にも(燃えよデブゴン9)(詳しくはこちら)等の多くのサモ・ハン作品や、多くのジャッキー作品等、アクション俳優、スタントマン、監督として大活躍してきたスターです、
その多くの有名作品を差し置いて(ブルース・リィの大金塊)て、、、、
という邦題も宣伝文句もふわっとした作品ですが、実際の内容が、そのセールスの仕方に輪をかけたようなふわっとした内容となっています。
では、どこがふわふわなのか?というと、これが色々ありますが、一番大きな点は主役のカンフーヒーローを演じているジェン・ホワンが、
どう歩み寄って見てみても、到底カンフーヒーローに見えない、という部分がかなり大きいと思われます。
ストーリーはアヘンがらみの高官の陰謀に立ち向かっているヒーローという、何度もみてきた内容ですので、
ある意味、もうそこは、いつものことで良いのですが、とにかく例によってカンフーアクション作品なのに、カンフーアクションがほとんどなく、
あっても、あっさり終了してしまう、という最近の中国系のカンフー作品にありがちなパターンとなっています。
で、いつものようにカット割りや、拳のアップ等の多用とワイヤーでくるくる回る、パペットアクション全開となっていくのですが、
このアクションをメインで演じることになる主演のジェン・ホワンの風貌や雰囲気にまるでヒーロー感が無く、
猫背、なで肩、小柄で華奢、という誰がどう見ても、何年間もカンフーの修行を母親に叩き込まれて腕っぷしの強い青年には見えず、
そのちょっとした動きも、あまりに小さくて前かがみ、というコソ泥のような見栄えのしない動きばかりで、
強敵を打ち負かせるような動作は一度たりとも見せてくれません。
だったら、もっと肉付きが良いような衣裳を着せるとか、常に胸を張るように指導するとか、なんとなく、まだ打つ手はありそうな気もしますが、
恐らく、このジェン・ホワンありきの企画で、ジェン・ホワンがとりあえずヒーローを演じてさえいれば、良かったというような雰囲気だったのではないでしょうか。
勝手な推測ですが。
今までカンフー映画沢山鑑賞してきて、どう考えても強く見えないようなヒーローも沢山いましたが、そこはなんとなくの雰囲気で、
強くない人も強く見せるような佇まいは醸し出していたので、カンフー映画として全く問題はないのですが、
本作に関してはあまりのカンフーヒーロー度合いの薄さに、
今、自分は何の映画を観ているのか?という自問自答をしながらの鑑賞となりました。
まさに修行映画です。
これが、カンフー度合いが薄くてもベニー・チャン作品(俳優の方)のような雰囲気であれば、強そうには全く見えなくても、その愛嬌という魅力でそれなりに楽しめたりするのですが、
本作の場合はとにかく、主演俳優が、母親にずっと甘え続けているパッとしない少年にしか見えませんので、
強さを必要とするカンフー映画の主人公として感情移入できる要素がほとんどありませんでした。
さらに、本作悪役として(ソード・オブ・ブラッド)(詳しくはこちら)のリー・ヤンが登場して、例によって生理的に受け付けない(これは個人的にです)タイプの悪役を憎たらしく演じているのですが、
そのリー・ヤンが、主人公の母親(演じるのは、セブンソード等にも出演しているアンジェラ・チェン)を捕らえて、
4日後に公開処刑宣言をし、それまでに主人公自身が助けに行かなければならない、という緊迫感のある展開になっていきます。
でも、まだまだ主人公のカンフーはそこまで強くなく、リー・ヤンにままだかなわない、という切羽詰まった状況になっていって、
通常のカンフー映画であれば、そこから修行シーンになって必殺技を習得する、という展開になるのが普通ですが、
なにせ4日しかありません、しかし、父親から受け継いでいるカンフー技の秘伝書はあります。
そこでいったいどうするのかと思えば、、、、
おもむろに画面が暗くなり、、、、
主人公のアップで目が炎に包まれ、、、
なよっとした右こぶしを前方に突き出し、、、
両腕に力を込めて、、、
もう一度右こぶしに力を込めて、、
CGでふわっと浮き上がってきた【空】という文字をグーパンチで粉砕!
そのまま両腕をクロスさせ、、、
フンッ!
免許皆伝!!!!!
、、、、、、
こんな必殺技の習得シーン見たことないです、、。
あまりに唐突なシーンで、最初何をやっているのか理解できませんでした、、。
なかなかの強敵修行映画です、、。
ついでに言うと、カンフーの秘伝書、あるいは指南書、もしくは極意書を、【冊子】とその辺で気軽にゲットできるフリーペーパーのような字幕訳を付けているカンフー映画も初めてみました。
冊子て、、、
カンフーフィスト必殺拳て、、、。
という事で、フィリップ・コーが参加した遺作かもしれませんが、フィリップ・コーの良さは他のカンフー作品で十分堪能できますので、そちらをお勧めします。
色んな意味で、珍しいといえば珍しい作品ではありますので、ご興味のある方はご鑑賞にトライしてみて下さい。
それにしてもカンフーフィス、、、
作品情報
2018年製作 中国製作 カンフーアクション
監督 シャン・フイ 武術指導 フィリップ・コー
出演 ジェン・ホワン、アンジェラ・チェン、リー・ヤン
その他のカンフー作品
少林寺焼き討ちシーンをメインに壮大なスペクタクルが展開する(少林寺炎上)はこちら
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