修行度 🔥🔥🔥●●●●●●●
珍しいエジプト製作のサメパニック作品、、、と思いきや、半分以上は人間ドラマが中心という文化の違いを感じさせてくれる異色作!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、エジプトが製作した珍しいサメパニック作品です。
それでは、まずはあらすじから、
映画賞で大賞受賞を逃した映画製作者ラナは、新作の沈没船捜索ドキュメンタリーを製作するために、現地にスタッフと向かいダイビングを実施する。
しかし、その海域は恐ろしいサメが生息する地で、ラナたちスタッフを餌食にしようと迫っていたのだった!?
珍しいエジプト製作のサメパニック作品です。
日本でリリースされる機会が少ないだけで、もしかすると結構存在するのかもしれませんが、、。
で、本作は一応リリース元の宣伝文句によると3週連興行収入1位に輝いたようです。
これも、どれぐらいの本数が毎年公開されて、同時期にどんなライバル作品が公開されていたのか、が良く分かりませんので、
どれぐらい凄い事なのかも判断できませんが、少なくともその3週間に限っては他の作品よりも一番劇場で鑑賞されたヒット作品という事は言えそうです。
ただ、恐らくサメパニック作品を多く鑑賞している人であればある程に、『この作品が?、、、』という感じの内容で、
エジプトでは、他のサメパニック作品を誰も観た事が無いのでは?と思ってしまうぐらいにちょっとサメ映画の王道からはズレた作品となっています。
まずは、本国版のポスターも、日本版のポスターも両方見て誰もがはっきりと分かるようにサメパニック映画です。
それは間違いないですし、作品の一番盛り上がるところはサメとのバトルです。
それを大前提に、誰もがこの作品を鑑賞し始めるはずなので、誰もがサメとのバトル、あるいはサメの脅威による恐怖描写を観たくて鑑賞しています、
ところが本作、どういうわけか、かなり自己中なドキュメンタリー映画製作者の女性監督が、ある映画祭の授賞式に呼ばれるシーンから始まります。
で、大賞受賞で自分の名前が呼ばれて登壇し、トロフィーを受け取ったところで、当然スピーチに入ります。
自己中監督『この喜びを家族に贈りたい、皆ありがとう!あなたたちのおかげで、、、』
とスピーチをしている最中に、映画祭のスタッフ側がざわつき出して、、、、
まさかの受賞者を間違えて発表してしまった事が発覚し、本当の受賞者は恋人の方でした!
という嘘みたいな珍事に恥をかきながら舞台を降り、しかも降りる途中で躓いて転ぶ、という二重苦三重苦を味わってしまいます。
始まって早々に、とんだ茶番劇、という感じですが、その後キレて機嫌の悪い自己中は、そのまま、周りに当たり散らしまくります。
勿論、受賞してめでたいはずの恋人を祝福する気も無く、製作会社に帰っても、スタッフを捕まえて当たり散らしまくります。
ずっと茶番が続きますが、さらに機嫌が悪い中、次の新作の企画会議が始まります。
それでも、まだ機嫌が直らないので、部下の意見は基本全て却下、そしてどうしようもない雰囲気の中、先日面接に通ったばかりの新人の企画が何故か通ります。
それは、30年前に起きた船舶の沈没事件の調査ドキュメンタリーの企画で、以前にも、その沈没船を調査に潜ったクルーが、
なんらかの事故に合い、良くない出来事が立て続けて起こったようで、その船には負のパワーが漂っている、
という事で、自己中による『負のパワーは世界的に人気よ!』
という訳の分からない鶴の一言によって、速攻で沈没船調査ドキュメンタリー製作が決定します。
勿論、周りのスタッフはもっと調査してからの方が良い、と最もな意見を言いますが、そんなの自己中には関係ないので、結局スタッフ全員で、まず実地調査に向かう事になります。
やっと!やっと!舞台が海に映ります。
ここまで開始から32分!!!
で、ここまで海とは関係ないドラマを十分すぎる程重ねていますので、海パートからはその映画製作のためのロケハンや演出プラン等で、
サメパニックとどのように絡んでくるのか、と嫌な予感もしながら期待(薄いですが)して観ていると、、、
、、、、、
ううむ、、、
サメは映りはしますが、なかなかサメがメインになることなく、ダイビングする時には糖尿病の人や薬物依存者は気圧と温度の変化で命の危険がある、
とか船長が実は犯罪者っぽいとか、船長の甥っ子である少年がまるで奴隷のようにこき使われているとか、
スタッフのうち二人は兄弟だったんだ、とか、物語を盛り上げそうなちょっとした要素は描かれるものの、
メインのサメ要素とは、そんなには関り無いままにピソードになんとなくダイビングが始まってしまいます。
特にサメパニックに(長い間)展開する事無く、ダイビングはたんたんと進み、サメの脅威というよりも、
あまりのサメパニック描写の無さに我慢の限界の方が先に迫って来る、という予想外の展開に変な手に汗を握ります。
さらに潜ってしまうと暗がり+皆が着用している潜水スーツが全員同じタイプの黒系で、頭頂部も目と鼻以外はほとんどヘルメットで隠れてしまっているので、
誰が誰か判断できず、女性と男性さえも区別する事もできなくなってしまいます。
手掛かりは、ほとんど声のみという状況でも、登場人物が複数映れば、誰がその台詞を発しているのかも判断できなくなってしまいます。
という感じで、サメパニック展開に全然ならないサメパニック映画と、登場人物が何をやっているか全然分からない展開に苛立ちながらも、
それでもなんとか目的地である沈没船にまで辿りつ、、、、、、
バクッ!!!!
一瞬!!!
前振り無し!!
誰が犠牲になったのかも分からないぐらいに!!!
最初の犠牲者までの所要時間45分!!!
95分の作品なのに!!
メインのサメパニック展開突入後も、途中からは、ほとんど目と鼻しか見えないので、誰が何をして、どんな嫌な事をしでかしているのか、判別しにくく、
危ういスタッフの大暴走や、善人と思っていたスタッフのまさかの極悪ぶり、という人間の汚い部分を本筋として描いていく、
という本来のパニック作品では味付けとして描かれるような要素を、まさかのメインとして描いていきます。
という事で、自己中の主人公が自己中っぶりを発揮しているうちに物語の半分が過ぎてしまっている、という、まさかの展開から始まり、
突然始まるメイン展開も、邪道を正道として描くような厭な物語となっていますので、
本当にエジプトの観客は、サメパニック映画と知っていてこの作品を観て満足したの?と疑問に思わざるを得ないような奇妙な作品ではありますが、
逆に考えると多くのサメパニック作品が製作されているアメリカや、それを模擬している中国では、まず製作されそうにない内容の貴重な作品とはいえそうですので、
同じような展開のサメパニック作品に飽きてきた方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、MAKOとはサメがメスで可愛い名前を付けてみた、という事ではなく、アオザメの事で、過去には(MAKO : THE JAWS OF DEATH)という作品も製作されていたようです。
作品情報
2021年製作 エジプト製作 アニマルパニック
監督 モハメド・へシャム・エル・ラシディ
出演 ムラト・イルディリム、ニコラス・ムアワード、バスマ
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