修行度 🔥🔥●●●●●●●●
観客にはずっと見えているゴーストが、出演者にだけは見えていない、という珍しい設定の、(ブレアウィッチ)監督が製作を担当した薄味ホラー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、変わった設定を取り入れた、オスカー女優ミラ・ソルヴィーノ主演の心霊ホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
人里離れた孤島にある山荘。ある日、心の療養のために一人の女性(ミラ・ソルヴィーノ)がやってくる。
しかし、その山荘には、かつてそこにある湖で命を落とした地縛霊が存在していた。
それでも、幼き日の楽しい思い出の詰まったその山荘で、自分を見つめ直す生活に入る女性だったが、数日後、婚約者の男性が突然訪ねてきた事で、
その静かな生活には、不穏な空気が流れ始める、、、。
(ブレア・ウィッチ・プロジェクト)の監督ダニエル・マイリックが製作総指揮、オスカー女優ミラ・ソルヴィーノが主演し、製作総指揮も担当した心霊ホラー作品です。
心霊役にテレビシリーズ(ニキータ)での演技が好評のシェーン・ウェストという事で、低予算ではありますが、人気と実力が伴っている少数精鋭メンバーが揃っている作品となっています。
ただ、シェーン・ウェスト演じる地縛霊は、ほとんど動かず、話す事もないので、基本的にはそこに立って、ミラ・ソルヴィーノを見ているだけ、
というある意味個性的なキャラクターを演じていますので、シェーン・ウェストの大活躍が見たいという人にとっては、かなり消化不良気味の役柄になっています。
しかも、本作は、その地縛霊が観客には見えているが、出演者たちには、見えていない、という設定の世界観になっています。
良くある、登場人物が気づいていないだけで、後ろにいるけれど、振り返ったら、いない、というサスペンス表現はなく、
ずっと生きている登場人物の目の前に突っ立っているので、目線は合うはずだけれども、見えていない設定なので、気づかない、
という、見方を変えれば透明人間のようにも見える独特の世界観となっています。
そういう設定ですので、とにかく、延々と会話もなく、ミラ・ソルヴィーノがコーヒーを飲んだり、くつろいだりの日常生活風景を、シェーン・ウェストが白塗りの顔面で、
まんじりともせずに、黙って観ている、だけのシーンが前半20分ほど繰り返されます。
観客には見えているのに、出演者には見えていない設定のゴーストものといえば、そのものものスバリな(ゴーストニューヨークの幻)がありましたが、
そちらは、しっかりとした感情があり、言われなければ人間とほとんど変わらないような存在、という設定でしたので、
感動を呼ぶような物語展開がしっかりと描かれて、多くの人に愛される名作になりましたが、
本作の場合、ゴーストは一切話す事なく、ミラ・ソルヴィーノの事がどうも好きらしい、という事と、ミラが脱獄中の犯罪者が、この湖で命を落とした、という新聞記事の切り抜きを見つめるシーンがありますので、
どうもこの地縛霊がその脱獄者らしい、という事を除けば、他には、ひととなりが分かるような言動はありません。
その設定で物語が展開するはずもなく、ただただミラ・ソルヴィーノの静かな一人暮らしを見ているだけの時間が長く続いていきます。
中盤、婚約者が現れる事で物語は、やっと展開していきますが、それも新しいキャラクター悪霊が登場して、ミラ・ソルヴィーノに良くない事を耳打ちして、
ミラ・ソルヴィーノの行動に影響を及ぼす、というなんとなく、大層な存在に見えて、やっている事は実に姑息な方法で、生きている人間を悪い方向に操っていこうとします。
そこで、いよいよシェーン・ウェストが善のゴーストとなって大活躍するのか、と思いきや、
活躍するのは、さらに登場する新たなキャラクターで、そのキャラクターが悪霊なども退治してくれます。
このような流れで、大筋の物語はミラ・ソルヴィーノと婚約者の物語ですが、盛り上げようとする部分は、全て本筋と関係ないキャラクターが勝手にやっている事で、
ほとんど主人公達主導ではない、という部分が、前半のまったり感と相まって、娯楽作品として、とっつきにくい作品になってしまっています。
一応、後半シェーン・ウェストが頑張って(いるような表情をしている)、叫び声をあげて、ミラ・ソルヴィーノに危険を知らせる、
という重要なシーンをきっかけに、何故か急に、シェーン・ウェストの姿が見えるようになったりしますが、その辺の見える、見えないの設定なども、
あまりに説明が無さ過ぎて、どういうきっかけで、見えるようになるのか、他の生きている者にも見えるのか?などのルール説明もありません。
ミラ側が何か行動(霊媒師を読んだり、何かのアイテムを使ったり)などがきっかけで、見えるのなら分かり易いですが、
地縛霊自身が気合を入れたら、生者にも霊が見えるようになる、という他の作品では、まず見かける事がないようなクライマックスの表現に、
ある意味、意外なラストが待っている心霊ホラー、といっても良いぐらいに独特な世界観の作品となっています。
それが、できるなら、もっと早くに気合入れてくれたら、色々と展開もあったと思うのですが、、、。
登場人部の役名がウーマン、やゴーストのようになっていて、はっきり名言せずに、あえて説明をしないようにして、
フワッとした雰囲気を味わう、という事を意図して製作された作品かもしれませんが、そういう独特な作品は、テレビシリーズの(トワイライトゾーン)のような作品で製作するなら分かりますが、
映画館での劇場公開を前提とした1時間30分弱の映画作品で、その独特の世界観を描くのは、流石にゆったりした時間が長すぎるのではないでしょうか。
という事で、全体では上映時間87分と短めの作品ですが、あまりに独特の時間が、長く、長く、流れる作品ですので、
一風変わった作品などを鑑賞したい、といった方でしたら、結構ハマる部分もあるかもしれませんので、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それでも、景色の綺麗な場所で撮影されていますので、そういった意味での雰囲気は結構良いですよ。
作品情報
2010年製作 アメリカ製作 心霊ホラー
監督・製作・脚本 トム・ブロヴォスト 制作総指揮 ダニエル・マイリック、ミラ・ソルヴィーノ
出演 ミラ・ソルヴィーノ、シェーン・ウェスト、ジャスティン・カーク、トニー・カラン
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