おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
突然異世界に吸い込まれた妹を救出するため、森の奥深くのマルチバースで異形のモンスターとバトルを繰り広げる男女を描いたモンスターアクション!!スカスカです!!
作品紹介
2023年7月19日公開
今回ご紹介する作品は、森の奥深くに突然現れた謎の別次元への扉に吸い込まれた男女を描いたSFサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ある山奥で突然出現した渦に巻き込まれてガオ・ウェイが行方不明になってしまった。
その謎の渦が、皆既日食の日に出現する事を突き止めた姉のガオ・フェイは、専門家を連れて再び山に分け入るが、
その謎の渦の先の世界にには、想像を絶する凶悪なモンスターが待ち受けているのだった!?
謎のマルチバースへの扉に吸い込まれてしまった男女のSFサスペンスアクションです。
主人公役は、本作が映画初主演となる新星ウー・シャオリーで、モンスターとバトルを繰り広げながら妹を探していきます。
で、主人公のライバルとして登場するのは、(迷航昆仑墟)等に出演しているウー・ユーフォンで、前半はかなりの殺気ながらも、
次第に仲間意識が芽生えるキャラクターを演じています。
で、異世界に一緒に巻き込まれる事になる謎の女性役で、(海安舅舅)等のドラマ作品に出演しているジ・ジュがいきなり登場し、
主人公達と冒険を共にしていきます。
で、登場シーンこそ少な目ですが、冒頭で異世界に迷い込んでしまう主人公の妹役で、(桃花劫)等の武侠作品に出演しているリー・シンイェンが出演し、
前半と後半で物語を盛り上げていきます。
で、主人公と共に旅を続ける相棒となる小太りの秀才キャラクターをチョウチョウ(チョウ・ジンザー)が演じています。
この、チョウチョウ(チョウ・ジンザー)、まったく外見と役柄等から想像できませんが、
実は北京放送学院で演劇・映画の博士号を習得し、新聞社に勤務、さらに有名男性ファッション誌の編集長を務めた経験もあり、
ファンション関係の書籍も出版し、映画の脚本も書いている、というまさかの超多才人で、
その人物が何故、本作のような独特の雰囲気のモンスター映画に出演しているのかは謎ですが、おそらく色んなジャンルのキャリアの一つとしての映画出演ではないでしょうか。
映画内では、ただのドン臭いおじさんに見えますが、、、。
そんな、フレッシュな異色のキャスティングが実現した本作は、ある姉妹の妹が、森の奥地で突然現れた異空間ホールに飲み込まれ、
そのまま行方不明になってしまい、一年後に、その姉が、秀才男性を一人雇って、ワゴン車で再び妹捜索のためにその森に現れる、という異常な状況を、
必要な説明をほとんど排除し、状況だけを淡々と描く大胆な表現方法で物語が始まります、、、、というより、既に物語が始まって、20分ぐらい経過したようなシーンから始まります。
上映時間86分ある作品ですので、60分台のこじんまりとした作品等に比べたら、そこまで説明を端折る必要はないと思われますが、
今の中国映画界では、この設定を映像で見せるのではなく、全て冒頭のナレーションだけで済ませてしまう導入と、起承転結の起をまるごと端折ってしまって、
いきなり本題に入る、という描き方が流行のようで、例によって突然登場する主人公達が、何をやっているのか全然分かりませんし、
主人公達が何者かも分かりませんし、そこが自分たちの知っている地球なのか?、時代は現代なのか?異世界は地球なのか?
等、肝心な事は何一つ説明せずに、とにかく、異世界に迷い込んだ妹を助けたい、という目的以外はほとんど説明されません。
逆に言うと、それだけは必要以上にはっきり分かります。
ここまで徹底的に説明を省かれると、世界観を説明したプロローグ的な物語が別作品として存在していてもおかしくないぐらいですが、
本作はシリーズ作品でも無ければ、小説やコミック、テレビシリーズ等の、世界観を説明してくれる前作が存在しない独立した作品ですので、
やはり、本作だけで、物語と世界観を理解して楽しまなければならない、という
かなり、観る人の感性に委ねられた作品
となっています。
かなり独特です。
作品を楽しむ側の想像力で、作品を補填するという意味で言えば、
ゲームの世界に置き換えると、PSやSSではなく、ファミコン、、、というよりもカセットビジョンのソフト、という感じでしょうか。
ただ、ゲームも映画も、昔の作品は、想像力を掻き立てる部分は、それなりの味と感じられますが、
本作の場合は、低予算な割にはモンスターがバリバリのCGで登場したりしますので、スカスカな世界観にCGモンスターだけが浮き上がっているような、奇妙な趣の作品となっています。
ストーリーと言えば、謎の異空間の森の中を妹を探して走り廻るだけ、という感じで、そのシンプルさが、さらにスカスカ感を煽っていますが、
そのスカスカチェイスの最中に、それぞれのキャラクターが、自身が絶命するシーンを幻として目にしたり、森の中を逃げ廻る自分自身の背中を見てしまったり、
という事で、その森が、今、全世界で大流行のマルチバース森であることが、割と早めに分かります。
ただ、マルチバースの割には、別次元の自分に触れられたりしてしまいますので、完全な別次元ではなく、
同じ次元内に別次元が都合よく存在している、もしくは別次元とタイムスリップを勘違いしている、あるいは、両方を混同している、
という他の作品ではあまり見られないような整合性の無さですが、そもそも設定等を筋立ててしっかりと描かない作品なので、
続編等で、後付けで、いくらでも説明し直して軌道修正できるような描き方となっています。
一応、タイムスリップ作品の醍醐味である、どこで、どのように繋がっている、という感じのお楽しみもあるのはありますが、
ほんの少しだけで、その繋がりも、特にその後の物語に大きく影響する、
という感じでもなく、結局は、同じ景色の森の中を、主要メンバー5人(別次元の自分を入れると数人に増えますが基本は同じメンバー)が走り廻って、たまにモンスターに襲われるという展開が、延々と続きます。
一応、かつて、モンスターを倒すために、巨人族の勇者11人が決死の覚悟でモンスター討伐の戦いを繰り広げた、
という伝説は冒頭で紹介されて、中盤で、その物語が壁画という形で登場するのですが、最初から最後まで5人しか登場しない(本当はもう二人いたはずですが本題に入る前にどこかに行ってしまいました、、、)ので、
11人揃う事もなく、終わったのか、終わっていないのか判断しにくいエンディングで終幕を迎えるという、
スカスカストーリーな上に、数少ない伏線も放り投げっぱなし、というかなり奔放な作品となっています。
この終わり方ですと、流石に続編製作を念頭に製作されていると思われますが、本作製作から1年経過した今現在でも、続編は製作されていないようです。
これで、終わってしまうとなると、途中から観はじめたような内容と、途中で鑑賞を止めてしまっているような終幕で、これほど消化不良感の残る作品はありませんので、
ご鑑賞は続編もリリースされる事が決まってからでも良さそうです。
ただ、なんとなく、90年代にビデオレンタル店を席捲した邦画のVシネマのような、なんとなく懐かしい香りも感じなくもないような雰囲気を持った作品ではありますので、
そういうこじんまりした作品が好きな方や、
一応強いという設定のへそ出し戦闘女子のドジっ子走りに萌えたい、
といった方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
観れば分かりますが、あのクネクネ走りで、格闘だけが強い、という事はまず無いと思います。
作品情報
2022年製作 中国製作 モンスターアクション
監督 チョウ・ジエ
出演 ウー・シャオリー、ウー・ユーフォン、ジ・ジュ、
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