【中国映画】ビッグショット(THE BIG SHOT大人物)106分

投稿者: | 2023年6月2日

おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆

巨大財閥が牛耳る地区の土地開発事業の闇を巡って、昔気質で情に厚いベテラン刑事が奔走する、大ヒット韓国映画(ベテラン)の中国版リメイク作!!

作品紹介

2020年1月17日公開

今回ご紹介する作品は、韓国映画(ベテラン)の中国リメイク作品です。

それでは、まずはあらすじから、

昔気質で情に厚いベテラン刑事ソンは、高倍率な学区の住居に入居するため、友人の紹介で、不動産会社を経営する大財閥グループの御曹司チャオを紹介してもらうが、

ワンは、出会った一瞬で、そのチャオが、その地域一帯を牛耳り、他人の人生や犠牲も厭わない冷血な男である事を確信する。

そして、捜査を開始したワンに、チャオ側による妨害工作が始まるのだった!?

大ヒット韓国映画(ベテラン)のリメイク作品です。

監督は、本作以降に監督したタイムループ刑事サスペンス、(逃れられない運命)が好調なウー・バイk監督で、

本作主演のワン・チェンイェンとは、そちらでもコンビを組んで製作しています。

ウー・バイ監督

因みに、ツイ・ハーク監督ニコラス・ツェー主演の(ドリフト)に出演していた歌手のウー・バイとはカタカナにすると同名ですが、別人です。

歌手ウー・バイ(ちょっと似てますね、、)

主演のワン・チェンイェンは、本作以降に再び刑事役に挑んだダニエル・ウー共演のポリスアクション(オーヴァーヒート)(詳しくはこちら)や、

ワン・チェンユエン
ワン・チェンイェン

アンディ・ラウと共演した(誘拐捜査)、アーロン・クォックと共演した(ピースブレーカー)、ジョン・ウー監督の(ザ・クロッシング)、

チャン・チェン主演の(ブレイドマスター)等、中国や香港映画界の大作に多く出演し、その独特の風貌と演技力で、どの作品でも印象の残る名演を披露しています。

で、その刑事役のワン・チェンイェンと激闘を繰り広げるのが、ツイ・ハーク監督版の(西遊記2 妖怪の逆襲)や、

ゴードン・チャン監督の(ドラゴンフォー2)、リー・ビンビン主演の武侠作品(魔界戦記)等、こちらも多くの中国・香港作品で活躍するバオ・べイアルで、

本作の強烈な無軌道御曹司役を憎たらしく(誉め言葉です)演じています。

バオ・べイアル
バオ・べイアル

さらに、常に無鉄砲な行動を繰り返す主人公刑事の優しい上司役に、チェン・カイコー監督を始め7人の監督によるオムニバス作品(愛しの母国)等に出演しているワン・ヤンホイが扮し、

主人公とのお笑いパートを盛り上げていきます。

ワン・ヤンホイ
ワン・ヤンホイ

で、バオ・ベイアル側の側近役で、(唐人街探偵NEW YOYK MISION)(詳しくはこちら)等に出演しているワン・シュンが、

独特の嫌味感と悲壮感の間で板挟みになる悪党幹部を演じています。

ワン・シュン
ワン・シュン

そんな、しっかりとした劇場公開を前提として製作された本作の物語は、昔気質なベテラン刑事であるワン・チェンユエンが、

偽造貨幣組織の検挙等で功績を上げる日々を送りつつ、家庭では一人息子の進学のため、高倍率な学区の住宅への入居に悩まされる苦渋の日々が同時に描かれていきます。

その住宅入居の抽選にはなかなか当たらないようで、奥さんも諦め半分ですが、仕事の虫でもあるワン・チェンユエンは、

捜査に熱中するあまり、奥さんと約束していた抽選会に参加せずに、奥さんに、どやしつけられる事で少しずつ事態が動いていきます。

失った奥さんへの信頼回復と、何より愛する息子の将来のためにも、どうしても住宅の抽選をゲットしたいワンは、

友人の紹介で、学区住宅を手掛けた不動産会社を経営する巨大財閥の御曹司チャオを紹介してもらいます。

で、このチャオが、演じるバオ・ベイアルの名演も伴って、初対面で誰が見ても近づきにくいヤバイ権力者である事が分かります。

ベテラン刑事であるワンには、目を見て、その人物がどういう人間かが分かるぐらいの刑事経験の持ち主なので、

早速チャオをマークしていたら、友人がチャオの経営する不動産店に金を騙し取られて自殺未遂に走る事件が発生し、

友人の無念や、街を支配するチャオグループの腐敗を正すために、単身戦いを挑んでいく、というのが大筋となっています。

既に大ヒットしている韓国作品のリメイクですので、勿論物語はしっかりしていますが、本作独自の魅力としては、

まずは主演を演じるワン・チェンユエンの存在感と表現力が素晴らしく、イケメン系ではありませんが、

一見するとそんなにやり手には見えない風貌ながらも、家庭の事情に悩む生活感を人一倍醸し出しながらも、

それでも刑事としては一流の活躍を見せ、上司にも噛みつきながら、自身の信じる道を進んでいく人情デカ、

という役柄に非常にぴったりで、他のキャストでは代用の効かないような唯一無二の存在感を発揮しています。

で、対するサイコの匂いも香る悪党御曹司役のバオ・べイアルも、圧巻の悪漢ぶりで、気さくそうな笑顔を作りながら木刀で他人を殴打する事ができそうな、

二面性を感じさせるヤバイ悪党を、バイオレントな魅力たっぷりに演じています。

この個性的で両極端な二人の存在感が、本作独自の魅力として本作の面白さを盛り上げています。

この二人に、警察側の特捜チームの個性的な部下(太目、レディドラゴン、ズッコケ)によるコメディチックなやり取りと、

ワンをいつも庇ってくれる直属の上司ワン・ヤンホイと、嫌な性格と思いきや、実は意外に話せる署長等のキャラ立ちしたゆかいな仲間達と、

悪党側の、チャオの下で、無理難題を押し付けられながらも、外面的には悪党一筋のワン・シュン演じる部下等の、

個性的なキャラクター達が、作品世界を盛り上げていきます。

ただ、悲壮感の漂う物語がベースな割には、緊迫感のある要所でズッコケコメディ展開になりますので、

気持ちの切り替えが追い付けない展開があったりもしますが、アクションシーンもテンポ良く、大掛かりで、

特にクライマックスの宿敵同士のカーアクションからの大格闘劇は、非常に手に汗握る展開で、大勢の人々が行き交うショッピングモールのようなところで最終決戦に突入しますので、

結果的に大勢の観客が要る前での殴り合いのラストバトルになる、という非常に盛り上がるクライマックスとなっています。

格闘自体は武術系ではなく、なんでもありのガチンコ取っ組み合いの喧嘩バトルではありますが、その辺の物をバンバン壊しながらの本気度の高いアクションは、

キャスト本人達がアクションをこなしている部分も多く見受けられますので、リアル感があり、変に型を決めるようなカンフーアクションよりも、

これはこれで大成功な魅せるアクションとなっています。

という事で、物語は緊迫感があり、テンポも良く、キャストは好演し、アクションも迫力がある、という楽しみ易いアクション作品となっていますので、

中国映画好きの方や、オリジナル版のファンの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

作品情報

2018年製作 中国製作 ポリスアクション

監督 ウー・バイ

出演 ワン・チェンユエン、バオ・ベイアル、ワン・シュン、ワン・ヤンホイ

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