おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
人気小説(封神演義)の映像化最新作は、全編を埋め尽くすCGバトルが魅力の元モーニング娘ジュンジュンも出演する武侠アクション!!
作品紹介
2022年1月21日公開
今回ご紹介するのは、何度も何度も映像化されている中国の人気小説(封神演義)の再映像化作品です。
それでは、まずはあらすじから、
殷王朝末期、暴君によって人々が苦しい生活を強いられている頃、仙界では、仙界と人間界を支配しようとする動きが見られた。
仙界の軍師、姜子牙は、仙界支配を目論む通天教主の野望を砕くために、強力な力を持った神々を集め、仙界と人間界の存亡をかけた戦いに挑むのだった!?
人気小説(封神演義)の最新映像化作品です。
日本でも映像化、アニメ化、ゲーム化等人気の物語となっています。
中国・香港系の作品ですと、ジェット・リーの他、香港映画界の豪華キャストが集結した(封神伝奇バトル・オブ・ゴッド)(詳しくはこちら)や、
ベニー・チャン主演のお手軽版物語(レジェンド・オブ・ゴッド封神伝説)(詳しくはこちら)等、
話題の映像化が続いています。
そんな人気小説の今回の映像化作品の恐らく最大の見どころは本編中、大部分の時間を割いて描かれるCG映像によるバトルシーンの数々となっています。
とにかく、CGバトルが他の中国作品よりも豊富で、開始早々10分間の連続CGバトルを始めとして、中盤から後半にかけてもCGバトルが矢継ぎ早に繰り返されますので、
ジャンルとしては武侠映画、アクション映画、というよりCGバトル映画と例えるのが一番打倒と思われるほどに延々とCGバトルが続く作品となっています。
ただ、かなりの時間ですので、はっきり言ってしまうと長すぎると感じるぐらいに長時間バトルが続きます。
しかも、キャラクターの説明などのひととなりが分かる時間がほとんどないので、突然知らないキャラクターが命がけのバトルを延々と続ける状態となりますので、
冒頭10分はまずは、感情移入困難な他人事バトル、本編に入ってからも外見的な特徴のあるキャラクターが多数登場するわりには、
どういうバックグラウンドがあって、どういう性格なのかがはっきりしないので、いまいち乗り切れないままに延々とCGバトルが続いていきます。
基本は仙人や神様がバトルを繰り広げる作品ですが、いきなりの展開過ぎて、極端に言うと、敵と味方の区別もつきませんし、仙人と人間の区別もつきません。
ですので、CG大バトルが繰り広げられても、ピンチかどうかも判断できない、という状態が90分間続きます。
例えるなら、説明書必読の歴史シミュレーションゲームを説明書を読まずに始めて、そのまま意味も解らずに90分間プレイし続ける、といった感じでしょうか。
とにかく、楽しもうとトライしても、どうしても入り込めない、という状態が続く作品となっています。
他の中国作品が、アクション映画のフリして全然アクションシーンがない、という作品が多い中、これほどのCGバトルが用意されている作品も少ないかとは思いますが、
わびさびが無さすぎる、というか、CGバトルが多すぎる、というかドラマが少なすぎる、というかなりバランスの偏った作品となっています。
鑑賞中、何故こんなバランスになっているのか、考えながら鑑賞(考え事ができるほどに感情移入不可でしたので)していてのですが、
本編の内容やCGバトルの多い展開などを見つつ、ある事に気付きました。
この作品、恐らく製作者としてはディニーの大作(アベンジャーズ エンドゲーム)の中国版を製作したかったのではなないでしょうか。
そう考えると、ひととなりを説明せずにいきなりクライマックス的なバトル展開から始まる構成も、全編を覆いつくすようなCGバトルメインの展開も、
それぞれの特殊能力を持った仙人たちが、一堂に会してチームを組んで巨悪に立ち向かう展開も、全て納得がいきますので、
少なかららず、意識はしていたのではないでしょうか。
ただ、(アベンジャーズエンドゲーム)に関しては、そこに至るまでに、しっかりと各キャラクターの説明は、それぞれの本編で済んでいますし、
チームとして集まってからも、共通の物語の積み重ねがあるので、(アベンジャーズエンドゲーム)でのいきなりクライマックスに突入するような、本来の映画作品では不可能な構成も問題ありませんが、
本作は人気の原作の物語とはいえ、過去に映像化、メディア作品化された際にも、その都度いろんな自由な設定が加えられるぐらいに自由な物語で、
西遊記ほどの説明不要の共通な設定ではありませんので、いきなり説明なしにCGバトルのみを描くような展開を見せられても、
物語に入り込める人もなかなか少ないかと思われます。
あと、もう少し突っ込むと、本作のアクションはあくまでCGがメインですので、武術アクションのような動きのあるアクションは少な目で、
キャストが腕を前に突き出すとCGの剣がビュンビュンと弧を描いて飛んでいき、ぐるぐる回って派手に相手に攻撃し、
相手が腕をかざすと、念力でガード、キャストがくるっと回って気合を入れると念力で反撃する、という感じで、
アクションの大部分はCGがほとんど請け負っている、というタイプのCGバトルなので、そういった意味でもアクション映画というよりCG映画という表現がぴったりとなっています。
あと、異世界感を出すためなのか、一部を除いてほとんどが背景合成のセット撮影ですので、セット感満載の箱庭劇場的雰囲気に満ちているのも、
本作を神と神、仙人と仙人(多分人間も入ってますがどの人物が人間か全くわかりません)が入り乱れてのバトル、
という本来壮大な世界観の作品世界をなんとなくこじんまりとした閉塞感のある作品にしてしまっています。
そんな本作、本来ならDVDスルーか、配信のみ、というリリース形態が予想されるタイプの作品ですが、まさかの劇場公開を果たしています。
おそらくその理由は、中国アベンジャーズの一人に数えられる女性将軍役で、元モーニング娘として活躍していたジュンジュンが出漣しているため、だと思われます。
それに伴って日本版の宣伝ポスターもジュンジュン主演のレディース武侠アクション、という感じのセールスになっていますが、
実際はアクションシーンなどはありますが(比率的にはちょっと多め)、主要メンバーの一人というだけで、主人公ではありません。
実際の主人公は妾子牙を演じる(王朝の陰謀 判事ディーと天空の塔)(詳しくはこちら)等の香港俳優サミュエル(サミュール)・チャンと、
チームの一人であるナタクを演じる(風雲2)等のリュウジュ・ジャンの二人となっていて、
日本以外の地域では、当然ですがこの二人主演の最新作、という宣伝がされているようです。
さらに本作は、主役のサミュエル・チャン以外にも脇役として古くから香港映画で活躍しているキャストが二人も出演しています。
一人は、本作でラスボスとして党登場するポール・チェです。
ポール・チェは、1990年代からマイケル・ホイ主演の(新Mr.BOO!鉄板焼)や、チョウ・ユンファ主演の(黒社会)、
チャウ・シンチー主演の(熱血弁護士)(詳しくはこちら)等で活躍していて、どの作品も脇役ながら一度見たら忘れられない容姿で、作品内での存在感を発揮していました。
本作のような大きな役柄(後半になって急にスポットを浴びるという感じですが)は非常に珍しいのではないでしょうか。
もう一人は、こちらも1990年代から活躍していて、トニー・レオン主演の泣けるドラマ(ヒーリングハート)や、
チャウ・シンチー主演の(新精武門)等でバイプレイヤーとして活躍しているイェン・ミンワンが師匠役で登場しています。
という感じで、有名原作で知名度があり、キャストも豪華でCGも豪華、という話題のCG(が)アクション(する)映画となっていますので、
派手なバトル映画好きの方や、ジュンジュンのファンの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
アクションが多いので結構なストレス発散になるかもしれませんよ。(逆に入り込めなくて溜まるパターンもあるかもしれませんが、、、)
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠アクション
監督 リー・ボオシュン
出演 リュウ・ジュジャン、ジュンジュン、サミュエル・チャン、フェイ・ユ、ポール・チェ、イェン・ミンワン
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