カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆
(酔拳)のユエン・シャオティエンとリー・ホイサンの激闘シーンが熱い、クリフ・ロク主演、チャン・ロン共演の既視感満載の良い所取り、コメディカンフー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、(酔拳)のユエン・シャオティエンが活躍するシーンが意外に多いコメディカンフー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
悪事を働いていた息子を殺された龍大人は、仇である赤鼻天狗を捉えるため、国宝警備隊をしている弟子に、国宝窃盗の罪を着せて、
赤鼻天狗をおびき出す作戦を立てる。
その作戦によって終われる身となった赤鼻天狗の弟子は、旅の途中で出会った若者と協力し、龍大人との戦いに挑むが、あえなく返り討ちにあってしまう。
復讐を誓った若者は、赤鼻天狗を探し出し、弟子入り、カンフーの腕を磨き、再び龍大人に戦いを挑むのだった!?
(天才カンフー)や、(カンフークエスト覇者の剣)などのクリフ・ロク主演のコメディカンフー作品です。
共演は(ドランクモンキー酔拳)の師匠役、ユエン・シャオティエンで、(酔拳)でブレイク以降、かなりのカンフー作品で同じようなイメージの役柄を演じていましたが、ほとんどの作品がゲスト扱いで、
酷い作品になると未使用フィルムを使用しただけ、のような作品もあり、実際出演しているシーンがしっかりとあるのは、
(酔拳)の続編ともいうべき本家ユエン・ウーピンが監督した(南北酔拳)ぐらいでした。
年齢的な事を考えるとしょうがないのですが、流石に準主役ぐらいの扱いで、実際は5分ほどしか出演していないような作品は流石にどうかとも思われます。
それでも、1本当たれば、どじょうを何匹も追いかけるのが香港映画ですので、逆にいうと、そういう商売最優先的な、
観客が入れば、何でも良い、という泥臭さも、香港映画独特の魅力ともいえるのではないでしょうか。
最も、最近はそんな泥臭い魅力も、薄まってしまいましたが、、。
という事で、この時期のユエン・シャオティエン出演作品は、ゲスト扱いの作品が多いですが、本作は意外にも、後半結構長めのアクションを連続で披露するぐらいに本人が活躍する作品となっています。
ただ、主演はクリフ・ロク、という事で、正直それほどハイレベルなアクションを堪能できるというわけでははりませんが、
その分、ユエン・シャオティエンが結構出演しているのと、サモ・ハンキンポー作品でコメデイパートを担当している事が多いチャン・ロンが、
珍しく前半はクリフ・ロクとのコンビカンフーなども披露すなど、あまり他の作品では見られないアクションが見れる作品となっています。
さらに、この3人の活躍プラス、ラスボス役でこちらもサモ・ハン作品でお馴染みのリー・ホイサンが出演していますので、
主演が地味な分を補って余りあるぐらいに魅力的なキャスティングのカンフーアクションとなっています。
物語としては、ユエン・シャオティエン演ずる赤鼻天狗(という字幕が出ますが、広東語の発音ではヤッチチョン(1本の竹)と名乗っていますので、
恐らく常に細長い竹を携帯して武器にしているところから、ヤッチチョンという名前の義賊として有名人、という設定のようなので、本来の役名は竹大侠ぐらいが正しいと思われます。
この赤鼻天狗という役名は日本のビデオメーカーが酔拳のイメージから勝手に付けた役名ですね。だいたい本作では別に赤鼻ではありませんので、、)が、
森で自殺しようとしている男性を思いとどまらせたら、その男性の娘を救うために悪党を懲らしめる事となり、その結果、その悪党が死亡。
さらにその悪党の父親がリー・ホイサンだったので、勿論復讐のために赤鼻天狗竹大侠を探して殺す!という事になって、
竹大侠を探すためには、弟子のチャン・ロンを襲えば、おびき出せる、という事で、国宝警備隊長をしているチャン・ロンを襲うが、逃がしてしまう。
しかし、国宝は手元にあるので、チャン・ロンが盗んだことにして指名手配させることで、竹大侠をおびき出そうとする。
で、逃亡生活に入ったチャン・ロンは、旅の途中で出会ったクリフ・ロクがたまたま竹を使ってチンピラと戦っていたので、
クリフ・ロクを利用して、師匠の竹大侠に連絡を取ろうとするが、リー・ホイサンに先に見つかってしまう、
という物語的には、正直あっちに行ったり、こっちに行ったりの印象のストーリーとなっています。
そもそも主役であるはずのクリフ・ロクが登場するまでかなりの時間がかかる上に、最初の登場シーンも通行人に紛れるようにしてなんとなく登場しますので、
始めはチャン・ロンが主演の作品かと勘違いしてしまいそうになるぐらいに、主役不在で物語が進みます。
途中、挟まれるやり取りも、カンフー映画のどこかの作品で見かけたようなシーンが多く、既視感の連続となっています。
気づいたところを上げると、
ジャッキー・チェンの(スネーキーモンキー蛇拳)のように師匠にお茶(お薬)を入れてあげて、師匠がカンフー伝授を決意するシーン。
ジャッキー・チェンの(クレージーモンキー笑拳)で、ジャッキーがやっていた女装シーン、
(燃えよデブゴンお助け拳)で、サモ・ハンがやっていた麺をこねる事がカンフーの修行にもなる、というシーン。
ユン・ピョウ主演の(モンキーフィスト猿拳)で、リョン・カーヤンが敵に追いすがり、自分の命を投げうって、相棒を逃がすシーン。
など、他の有名カンフー作品のまるで総集編ぐらいに見た事のあるシーンが連発します。
好意的に見ると、良作カンフー映画の美味しいとこどり、といった事も言えますが、主演のクリフ・ロクにオリジナルで主演しているスターたちほどの魅力がないので、
見た事のあるシーンの羅列になってしまっているのが少々残念です。
ただ、本作の監督は大作映画を多く手掛けてきた(空飛ぶギロチン)や(北京原人の逆襲)などのホー・メンホワで、武術指導もサモ・ハン作品に良く参加しているチャン・ユッサーンですので、
色々他の作品の良いところを頂きつつも、しっかりとカンフー映画に求められているシーンは挿入されていますので、
既視感を抱きつつも、ちゃんと楽しめるカンフー映画になっています。
簡単に言うと、出会いと挫折と努力と勝利、といった感じで、チャン・ロンとクリフ・ロクの出会いからコンビカンフーで、
町の食堂で無銭飲食したりなどのドタバタを描きつつ、リー・ホイサンとの激闘でチャン・ロンが犠牲になり、復讐を誓い、
師匠に弟子入り、強敵の必殺技を打倒するための技を磨き、最終的に宿敵を倒す、という流れがちゃんと描かれています。
というように、主演俳優が地味なために、有名監督作品でありながらも、あまりスポットがあたらずに、DVD化もされなかった本作ですが、
コメディカンフー作品としては、今観てもなかなか魅力的な作品となっていますので、機会がありましたらご鑑賞ください。
この時代のコメディカンフー作品はどれも、良い意味で能天気な感じが心地よいですよね。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフー
監督 ホー・メンホワ 武術指導 チン・ユッサーン
出演 ユエン・シャオ・ティエン、クー・ロン、リー・ホイサン、チャン・ロン
その他の未DVD化のレアカンフー作品
ドニー・イェン初主演カンフー作品(ドラゴン酔太極拳)はこちら
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