おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(チャイーニーズゴーストストーリー)のパロディとして始まりながらも、中盤で主人公が入れ替わる、という意外な展開を見せるゴーストコメディ!!エリック・ツァンも出てます!!
作品紹介
1991年12月7日公開
今回ご紹介するのは、(チャイニーズゴーストストーリー)を下敷きにジュ・イェンピン監督が製作したパロディ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
元宦官のアチャイは、将来を悲嘆して山奥にある古寺で自ら命を絶とうとしていた。
そんな時、女幽霊が現れるが、偶然通りかかった道士に救われる。
しかし、アチャイの決意は固く、目的を遂げてしまう事になるが、そこを牛耳る幽霊に魂を捕らえられ、今度はアチャイ自身が、現世を彷徨う事になるのだった!?
(チャイニーズゴーストストーリー)を下敷きにしたパロディ武侠コメディ作品です。
主演は台湾では絶大な人気を誇るシンガーソングライター、チェン・ジンイーという事で、持ち前の明るさで、
暗めの物語を笑いの渦に包んでいきます(当時の感覚で)。
で、チェン・ジンイーを助ける道士役で、香港映画界の重鎮エリック・ツァンが登場し、少しではありますが、(ゴールデンスワロー魔翔伝説)(詳しくはこちら)のような、
アクションを披露(スタントマンが)しています。
で、本作でチェン・ジンイーが、演じるのは本家のレスリー・チャンのようなちょっと弱気な書生役、、、、
ではありますが、ただの書生ではなく、元宦官の、という設定が加わっています。
というより、恰好はレスリー・チャンに習っていますが、この主人公は勉学のために旅をしているのではなく、
どこかで、自ら命を絶つための場所を探している旅、という事で、書生的な描写もありませんので書生かどうかも分かりません。
勉強しているのではなく、遺書を書いている、という具合です。
ですので、説明が全く無いので、そこに至るまでの詳しいいきさつは分かりませんが、主人公である元宦官が、登場するなり能天気に自殺場所を求めて山中を彷徨っている
という、絶対にコメディ映画では採用しないような主人公設定で物語が始まります。
まず、笑えません。
出だしから、とんでもなく暗い展開ですが、それでも(チャイニーズゴーストストーリー)をなぞるようなシーンが展開され、
道士(オリジナルのイン道士)と出会い、古寺(オリジナルと同じ蘭若寺)に行き着き、女幽霊(オリジナルのスーシン)に出会い、
女ボスゴースト(オリジナルのロウロウ)に襲われ、道士に助けてもらい、、、、
という感じで、(チャイニーズゴーストストーリー)で見た物語を、もう一度観ていく事になります、、、が、、。
騒動がひと段落し、これから女幽霊との恋物語に突入か?
というとことろで、主人公が毒を飲んで本来の目的を果たしてしまう、というまさかの展開になります。
で、時代は過ぎて(どれぐらいかは分かりませんが、それなりに若い道士役のエリック・ツァンが白髪で再登場するので数十年でしょうか)、
気弱なインチキ道士が、盗賊たちとひと悶着の末に、逃げ込んだ廃寺が、偶然チェン・ジンイーが毒を飲んだあの蘭若寺で、
成仏できずに、人間を襲い、その魂をロウロウに捧げる、という、
まさかの前半の主人公が、ゴースト側に入れ替わる、という奇をてらったような展開に突入していきます。
要するに、オリジナルのスーシンに相当するキャラクターが既にいるのに、主人公が命を落として、その女幽霊の役割を担っていく、という事になります。
男性なのに女幽霊役はおかしいですが、元宦官なので大丈夫、という考えだと思われますが、
勿論、大丈夫ではありません。
で、自由を得るために、この気弱道士に協力を仰ぐ、という感じで、気弱道士&チェン・ジンイー+女幽霊の3人組と、ロウロウの対決へと移っていきます。
で、そこへ、年老いたエリック・ツァン道士が加勢し、皆で協力してロウロウと激闘を繰り広げていくというクライマックスになっていきます。
大筋の流れは、どう考えても暗く悲しい物語のはずですが、これがお祭りごった煮映画の担い手、チュ・イェンピン監督にかかれば、
全編ギャグに次ぐギャグの連続、しかもこれでもかというぐらいに下品極まりない下ネタ(エロではなく排泄分系)の連発で、
ギャグに関してもベタ、というか、顎を突き出して変な表情をする、という感じの非常に幼稚なギャグが中心ですので、正直笑いよりも寒さが勝ちます。
この寒めのギャグが全編に散りばめられていますので、正直、どんなに悲しい展開になっても、何一つ悲しくありません。
悲しませたい気持ちが少しでもあるのかどうかも疑問ですが、、、。
(チャイニーズゴーストストーリー)のコメディ版を製作したい、というよりも、ギャグ映画を製作したくて、ヒットしそうな要素を探していたら、
たまたま(チャイニーズゴーストストーリー)がヒットしていたのでその世界観を頂いた、という感じでしょうか。
しかも、中盤、女幽霊とチェン・ジンイーが古寺から逃げ出す際に、人間である道士に、自分たちの骨壺を他の場所に移してもらわないと生まれ変われない、
と通常の物語では、かなり盛り上がりそうな展開になりますが、
骨壺を掘り出した道士は、その骨壺を、チェン・ジンイーの方は、道を歩いている時に不注意で落として骨壺が大きく割れて、遺灰が風で吹き飛んでいき、
女幽霊の方は、金持ちの家庭に生まれ変われる想いを込めて、金持ちの家の玄関先に置きっぱなして立ち去る、
という道士にあるまじき罰当たりな行いの果に、
中から出てきた家主に骨壺を蹴り割られる、というトンデモな扱いまで受けます。
観ている側は、流石にギャグかどうかも分からず、ただただ、どんよりした気分になる、という文化の違いか、年代の違いか、良く分からないようなシーンが展開されます。
ただ、その後、そんな散々な扱いを受けたゴースト二人、本来なら恨み節の一つや二つありそうですが、
宿が無いから道士について行くしかない、という、物凄くあっさりしたリアクションで済んでいるので、重要ではないのかもしれません、、、。
観ている側のモヤモヤは凄いですが、、、。
という事で、有名作品のあやかり設定な割には、全編下品で幼稚なギャグのオンパレード、しかし捧腹絶倒という事はなく、
なんとなく、どんよりとした後味の良くない気持ちが残る台湾製ゴーストコメディとなっていますので、
香港映画好きの方や、台湾映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、この時期の台湾映画、下品系下ネタ率、高いですね、、、。
作品情報
1987年製作 台湾製作 武侠コメディ
監督 チュ・イェンピン
出演 チェン・ジンイー、リャオ・ジュン、エリック・ツァン、フー・ジュエン
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