おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
バリー・ウォン監督、チン・ミーヤウ主演、サイモン・ヤム共演のガンアクション、カンフーアクション多めのセクシー系サスペンスアクション！！
作品紹介
日本劇場未公開
別題 ネイキッドキラー 氷のような女
今回ご紹介する作品は、バリー・ウォン製作・脚本で自身の製作会社で製作したチン・ミーヤウ主演のサスペンスアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
痴情のもつれが原因で、父親の命を奪われたキティは、その復讐のため、銃を手に宿敵であるビーのオフィスを訪れ、殺害してしまう。
しかし、その後ビーの部下たちの反撃に合い、絶体絶命の危機に瀕している所を、偶然出くわした女性シンディに助けてもらう。
実はシンディは暗殺者チームを率いていて、キディの腕前を買い暗殺者へとスカウトするのだった！？
（ゴッドギャンブラー）や（追龍）（詳しくはこちら）等のバリー・ウォン監督が、チン・ミーヤウを主演に自身の製作会社で製作したセクシーサスペンスアクションです。
監督は、本作に出演しているレオン・カーファイ、アラン・タン主演の（黒豹天下ブラックパンサー）（詳しくはこちら）や、
同じくアラン・タン、アンディ・ラウ主演の（獅子よ眠れ）等のクランレンス・フォで、キレの良いレディースアクション要素と、
エロティックサスペンス要素を融合した娯楽作品として香港映画らしさ全開の世界観を創り出しています。
主演のチン・ミーヤウは本作の演技が賞賛され、【三級片】（18禁作品）にも関わらず香港アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされました。
しかも、本作は大ヒットしましたので、その後シリーズ化され、本作と同じチン・ミーヤウ主演（インファナルアフェア）のアンドリュー・ラウ監督による二作目（赤裸羔羊2/香港奇案之強姦）や、
日本では（不夜街2/復讐の天使たち）のタイトルでビデオ・DVDリリースされた第三弾（赤裸羔羊3：致命快感/紅燈區）、
そして、チン・ミーヤウが1999年の結婚と同時に、引退状態に入ったため、別キャストで製作された第四弾（赤裸羔羊4蜜桃迷色）と四作目まで製作される人気シリーズとなっています。
チン・ミーヤウ自身は本作でのセクシー系作品ブレイク後も、チャウ・シンチー主演の（ハッスルキング）や、
チョウ・ユンファ主演の（ゴッドギャンブラー完結編）等、多くの作品で活躍していました。
で、それ以外のキャストでは、途中恋仲となる刑事役で、チョウ・ユンファ主演の（フルコンタクト）や、
アラン・タム主演のコメディ（ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/天地笑覇）（詳しくはこちら）、（獅子よ眠れ）等、
バラエティ豊かなジャンルの作品で、色んな役柄への出演が増えていた時期のサイモン・ヤムが登場し、印象的な刑事役を好演しています。
で、暗殺者となっていくチン・ミーヤウの、ライバル的な先輩暗殺者役で、ドニー・イェン出演の（ドラゴンバーニング）や、
（黒豹天下ブラックパンサー）、（アンディ・ラウのスター伝説）等、ジャンル問わず色んな作品に出演していた時期のン・ガーライで、
妖艶な魅力で、チン・ミーヤウと火花を散らしていきます。
で、チン・ミーヤウを暗殺者の世界にスカウトし、そのまま指導者として暗殺テクニックを伝授していく師匠役で、
（ツイ・ハークのミッションポッシブル）や、シルビア・チャン、鶴見辰吾主演の方の（海上花）等に出演している歌手、ケリー・コウで、
本作ではカッコ良く主人公を導きながらも、途中切なさも醸し出す、という深みのある役柄を演じています。
そして、出番は少な目ながらも、ン・ガーライの彼女でもある暗殺者役で、本作の翌年製作の、ラム・チェンイン主演の（盲俠聽聲刀/战火羔羊）にも出演している
日本人俳優、菅原円で、ン・ガーライとコンビを組んで暗殺シーンでも活躍しています。
という主要メンバーに、（暗戦デッドエンド）シリーズや（ブレイキングニュース）等のジョニー・トー作品でお馴染みのホイ・シウホンや、
（醉拳2）等のジャッキー作品や（レイジングファイア）（詳しくはこちら）等のドニー・イェン作品でお馴染みのロー・ワイコンが登場し、作品を盛り上げていきます。
そんな1990年代を代表するスタッフ・キャストが揃った本作の物語は、何気ないチン・ミーヤウの無軌道美女ぶりと、
過去の事件で兄を失って以来、拳銃を握る事ができなくなってしまった刑事サイモン・ヤムの出会いがサラっと描かれるところから始まります。
その後、父親にある出来事が巻き起こって、なんだかんだとロー・ワイコンに父親を殺害され、その復讐のためにロー・ワイコンが経営する大会社に、白昼堂々と二丁拳銃で殴り込みをかけ、
ロー・ワイコンの部下たちの逆襲に合っていたところを、殺し屋チームを運営するケリー・コウに助けられ、
そのまま、殺し屋組織にスカウトされて、暗殺者の一員として活躍していく、というかなり勢い重視、成り行き重視な香港映画の王道展開で、レディースアクション編に突入していきます。
本題に入ると父親や、ロー・ワイコンの出来事は一切無関係になる潔さですので、さっさともう一組の暗殺者であるン・ガーライと菅原円コンビとのバトル展開へと突入していきます。
で、暗殺ミッションが進みだすと、ターゲットだった日本のヤクザの父親が、息子の復讐のためにン・ガーライコンビを雇っての激闘へと移ります。
この辺りも、いざ暗殺を依頼してしまうと、日本ヤクザも登場しなくなりますで、完全に二組の暗殺者（内輪揉めですが）の対決がシンプルに描かれていきます。
で、騒がしくなっている間、警察も捜査を進めて、サイモン・ヤム自身がかつて（冒頭で）知り合って恋仲になったはずのチン・ミーヤウと瓜二つの殺し屋に迫ります。
展開が非常にタイトで、淡白ですので、総集編のように立場が変わりますが、本人と認める、認めないのやり取りを少しだけしながら、
結局、サイモン・ヤムもろともクライマックスバトルへと突入していき、その後、
勝負が終わる→感情を煽る台詞を言う→終劇
という懐かしい香港映画っぽさを感じるような、余韻の欠片も無い、ぶつ切り感覚で突然のように終幕となります。
これにはどうも理由がありそうで、ラストシーン自体はそのままスタッフロールが流れますので、そもそもそういう終わり方なのだと思われますが、
本作の上映時間が、本国側のデータベースはどこを確認しても100分、89分、84分という感じで、曖昧ではありますが、
少なくとも90分ぐらいはある普通の上映時間の作品で、日本版のVHSも82分という上映時間が記載されているのですが、
実際の分数は75分ですので、日本でリリースされているバージョンは、恐らく、きわどいシーンが20分弱程カットされたバージョンだと思われます。
そう考えると、途中わりと違和感のある展開（暗殺者になってからの任務がほとんど描かれない。暗殺者としての活躍が描かれないので、ほとんど時間の経過を感じないのに、
サイモン・ヤムは暗殺者になっているチン・ミーヤウが一旦別人だと認識している等）がありましたので、その辺りに、結構重要なシーンが存在しているではないかと思われます。（個人的な予想ですが）
日本ではDVDさえ発売されないような扱いですが、香港では香港アカデミー賞にノミネートされ、その後チン・ミーヤウのブレイクのきっかけにもなった作品で、
欧米でもカルト的な人気があるようで、（ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー）のジェームズ・ガン監督も本作の大ファンだというぐらいの作品ですので、
恐らくそちらの方では、完全版がリリースされていると思われます。
日本でも（ネイキッドキラー 氷のような女）のタイトルで、DVDソフト化のリリース情報が流れましたが、
まさかの販売元のメーカー（スパイク）がリリース日前に、急遽映像事業から撤退して発売が取りやめになる、
という、ちょっとありえないような不運な出来事によって、未発売のまま終わる、という不遇過ぎる扱いの作品となっています。
因みに、同時期にリリース予定で、その後、他のメーカーからも未リリースのままになっている作品には、
サモ・ハンの（霊幻百鬼）や、ロバート・ミッチャム主演の（アムステルダム・キル）、アーロン・クォック主演の（風をさらば）等、
いずれも、未リリースのままで終わっているのが勿体ないぐらいの時代を象徴する香港映画となっています。
という事で、75分という現在の中国系の配信作品のような上映時間でリリースされている不遇な作品ではありますが、
セクシー且つ、カンフーアクションあり、ガンアクションあり、サスペンスあり、チン・ミーヤウの名演技あり、
と見所は多い作品となっていますので、香港映画好きの方や、レディースアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1992年製作 香港製作 レディースアクション
監督 クラレンス・フォ 製作・脚本 バリー・ウォン
出演 チン・ミーヤウ、サイモン・ヤム、ン・ガーライ、ケリー・コウ、菅原円、ホイ・シウホン、ロー・ワイコン
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