おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
アラビアンナイトのアリババ登場物語を、台湾映画界が実写で映像化したSFファンタジーアドベンチャー!!エリック・ツァンも出てます!!




作品紹介
1991年12月7日公開
今回ご紹介するのは、アラビアンナイトの物語を映像化した台湾製のSFアドベンチャー作品です。
それでは、あまずはあらすじから、
貧しい青年アリババは、ある日、人里離れた場所で、盗賊たちの財宝の隠し場所を発見する。
その財宝によって裕福になったアリババだったが、欲をかいた兄アリママによって盗賊たちに、財宝を盗んだ事がバレてしまい、追われる身となってしまう。
そこで魔術師アデューサが現れ、アリババに手を貸し、危機を脱するが、アデューサには、ある秘密の計画があったのだった!?

アラビアンナイトの物語を、まわさかの台湾映画界が実写映画化した冒険アドベンチャー作品です。
勿論、全編台湾語で、台湾人俳優が演じている物語ですので、違和感は満載ですが、(新桃太郎)シリーズもありましたので、
他国の有名な物語を自国民で映像化する、というムーブメントがあった、という事でしょうか。

ただ、荒唐無稽ではありますが、対象とする層が恐らく低めの設定なので、そこは、大人の歩み寄りで目線を下げるとそれなりに楽しめる作品となっています。

主演のアリババ役には、台湾で70年代後半から歌手として活躍し、現在も第一線で活躍し続ける才人、チャイ・チン。
若干オリエンタル風な風貌(若い時期)が、作品世界を、なんとなく人種ボーダレスな異世界へと誘う存在感を放っています。


ヒロインには、こちらもアイドル歌手として当時、絶大な人気を誇り、映画ではホウ・シャオシェン監督の(ナイルの娘)で主演女優としても活躍しているヤン・リン。



この二人の歌手活動メインのキャストを補うように、香港からエリック・ツァンがアリババの主人公のアリママ役で登場します。

役名自体がギャグのような存在になっていますが、このエリック・ツァンのコメディアンとしての魅力が、
演技専門ではない主演二人を強力に後押ししています。
因みに、アリババのお爺さんの名前はアリジジで、、、、おばあんさんは、、、、

アリばばあ!
、、、という字幕にセンスを感じました。

で、そんなアリ一家のババの物語ですが、一応、貧しいながらも、突然ランプを手にすることになった主人公が、
魔人に願い事をしながら貧しい村人も豊かにしていく、という大筋の中で、悪の魔法使いや、40人の盗賊とも一戦交えていく、
という感じで、正義の味方の冒険物語とはなっている、、、
のですが、、、

これが、冷静に見ていると対象年齢が低めなのでしょうがない、という度合いを越えるような所作の目立つヒーローとなっています。

まずは、物語の発端となる40人の盗賊との争いですが、
盗賊が、盗んだ金品(ダイヤの原石とか天然で価値のある物ではなく、完全に装飾品なので他人から盗んだ物です)の隠し場所で、例の『開け、ゴマ!』の掛け声で扉を開けて、

部屋を出入りしていたら、それを物陰から隠れてこっそり見ていたアリババが、盗賊がいなくなるや否や、自身もその掛け声で部屋に入り、
一応、躊躇する態度を取りながらも、結局金品を盗んで持ち帰り、


街の中央で人々にその金品を投げてばらまき、


さらに、奴隷オークションで売られそうになっていた美女を買い取り、



あまりの金遣いの荒さに、盗賊に盗んだことがバレて、そのまま争いに巻き込まれていきます。


で、争いの果てにラッキーシチュエーション的にランプをゲットし、偶然魔人を呼び出し、何を願うのかと思えば、


豪華な食べ物が欲しい、と言い出しては腹を満腹にし、見た事も無いような大きな宮殿に住みたいと言えば、そこに他人の金品を盗んでゲットした美女と一緒に暮らす、

という、冷静な目線で観ると、ほとんど自分では何一つ努力せずに、他人の物を盗み、その盗んだ物を使って、人を買い信頼を得て、
他人(魔人)の力で悪党と戦い、他人の力で裕福な暮らしをし、他人の力で悪党を倒す、という子供目線まで見方を下げても、
到底子供には見て欲しくないようなヒーロー像になっています。

とは、言っても一応、本人が走り回っているので、ストーリー的にはアリババが全部自分の力で頑張って活躍しているようには見えるのですが、、、。

元々存在する設定に自分たちが考えたオリジナルの部分を上手く融合させようとして、上手くいかずに噴出している不具合、といった感じでしょうか。

これは、大ヒットした(新桃太郎)シリーズでも言えることで、違和感は満載で、不具合も満載ですが、そちらのシリーズは、
あまりに大きすぎる主人公を演じるリン・シャオロウの超絶アクションとボーイッシュな容姿による魅力が、作品世界の不具合を補って余りあるぐらいに大きい存在でしたので、
おそらく作品として絶妙なバランスを保っていたのではないでしょうか。

それに対して本作は、残念ながらカンフーアクションをこなせるキャストは不在で、歌手が二人、しかもそれだけでは弱すぎるので、
エリック・ツァンというピンチヒッター付き、という魅力に欠ける部分があったので、(新桃太郎)程のヒットには至らなかったのだと思われます。


という事で、台湾キャストが演じるアラビアンナイト、という凄い世界観の作品ですが、そんな企画自体があまりなく、
見方を変えると貴重な作品ともいえますので、香港映画好きの方や、台湾映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、この作品が日本で劇場公開された、という事自体が結構な奇蹟ですね。


作品情報
1988年製作 台湾製作 SFファンタジー
監督 ツァイ・ヤンミン、チェン・チュンリャン
出演 チャイ・チン、ヤン・リン、エリック・ツァン、ゾン・ジーウェイ


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