おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
Jホラーの大ヒット作(リング)の影響をかなり受けて製作された、香港の山奥で起こった悲劇による呪いによって、次々と巻き起こる死の連鎖を描いた心霊ホラー!!でも、怖くないです!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、邦画の(リング)の影響をかなり受けた心霊ホラー作品です。
それでは、あまずはあらすじから、
ある夏の日、演劇学校に通う若者5人が、面白半分に降霊会を開いてしまう。
しかし、その降霊会中にメンバーの一人が命を落としてしまう事となり、その後にもメンバーが次々と謎の死を遂げてしまうのだった。
途中で降霊会を離れたミンは、その時青い服を着た女性の霊を目撃するが、調べを進めるうちに、山奥の村でかつて起こった悲惨な事件に行き着くのだった!?
Jホラーの(リング)シリーズの香港での大ヒットを受けて製作された、心霊ホラー作品です。
(リング)の余波もあり、本作も大ヒットしましたので、シリーズ化され、物語的なつながりはほとんどありませんが、
二作目の(屍人楼)、三作目の(山村老屍3)と三作目まで製作されました。
ただ、一応二作目には、一作目の(怪もののけ)はそういう内容の映画が存在している、という世界観で、
登場人物の一人が、その映画を観ていると一作目の幽霊に襲われる、という、ファンサービス的なシーンは一応存在しますが、
その幽霊が特に物語に大きく影響を及ぼす、という事はありません。
監督はエリック・ツェン、ロレッタ・リー共演の(魔幻賭船)や、ホラー最新作(越界)等の監督、リョン・ホンワーで、
Jホラーに影響を受けたゾクっとする恐怖演出で雰囲気を盛り上げます。
で、主演の青年役はミシェル・ヨー主演の(レジェンド三蔵法師の秘宝)等のガブリエル・ハリソンで、
霊に悩まされる主人公を熱演しています。
で、主演ではありませんが、主演級の扱いで主人公をサポートしてくれる講師役で、同年にジョニー・トー監督の(ザ・ミッション非情の街)や(オーバーサマー爆裂刑事)等の傑作で、
ブレイクしていく事になるフランシス・ンが、登場し、演劇の講師なのに霊に詳しい、という良く分からない役柄を好演しています。
で、主人公の姉で、実質的なヒロイン役で、大ヒットした(欲望の街)シリーズや、(カンフーカルトマスター)等のジジ・ライが登場し、
事件に関係ないはずなのに、いつの間にか事件に巻き込まれているヒロインを好演しています。
で、ジジ・ライの婚約者で、イヤミ担当の役柄で、アラン・タムとトニー・レオンが共演した(悪漢探偵)シリーズ(最佳拍檔之醉街拍檔)等に出演しているエドワード・モクが登場し、
嫌味を言っていたら、いつの間にか事件に巻き込まれる雑誌社の編集長を演じています。
という、当時の勢いを感じられるスタッフ・キャストが結集した本作の物語は、5名の男女グループが、降霊会を行っているシーンから始まります。
で、そのメンバーの一人である主人公が、急に怖くなったのか、会を離脱してしまいます。
それでも、他のメンバーは会を進めると、赤い服を着た少女の霊を目撃し、離脱した主人公ミンは、
何も見ずに済んだ、、、、、わけではなく、青い服を着た女性の別の霊を目撃します。
で、どういう性格のメンバーかどうかも分かることなく、その会のリーダー的な存在だった男性ラビッシュが、
恐怖に歪んだ表情で、遺体となって隣の部屋で発見されます。
ここまでで、タイトルが表示されて数分間での出来事ですので、正直何が何だか訳がわからない状態で、
しかも、この時期の香港映画特有の極端な恐怖演出のため、始まっている途中で、いきなり犠牲者が出るという、びっくり演出ではありますが、
犠牲となっているラビッシュが、霊の怨念の犠牲になったというよりも、死んだふりをしてふざけているようにしか見えませんので、
降霊会でテンションが上がっている若者の悪ふざけシーンで開幕、かと思いきや、次の瞬間に、雑誌記者である主人公の姉、ジジ・ライが登場して、
ラビッシュの死因などの会話に移っていきますので、そこで初めて犠牲になっている事に気付く、という恐怖シーンの恐怖演出に気付けない、独特なテイストで物語が始まります。
恐らく、数々の秀作Jホラーが製作されている日本に住むほとんどの人が、いきなり感じると思います。
この映画は怖くない。
これは、時代性もあるかとは思いますが、やはり文化の違い、というか、恐怖を感じる根本的な要素が違うのかと思われます。
(リング)の内容にあやかって製作した作品ながらも、実際に香港流でJホラーを描こうとすると、香港では恐怖を感じて大ヒットしても、
いざ日本人が観ると、下手するとコントに見えてしまうようなシーンが結構頻出する作品となっています。
で、いきなりの犠牲者第一号から、続々とメンバーが犠牲になっていきますので、次は主人公ミンか、恋人のアニーが危ない、という事で、
主人公が困っていたら、心配した姉が、だったら演劇学校の講師(降霊会メンバーはこの学校の生徒)のモー先生に相談すれば良い、
という事で、演劇学校の講師であり、霊に詳しいフランシス・ン演じるモー先生が、準主役的に活躍していく事になります。
物語の本題としては主人公ミンと、このモー先生のバディが、かけられた呪いを解くために奔走する、という、こちらも(リング)に影響を受けたような展開となっていきます。
で、本題には突入していくのですが、フランシス・ンのスケジュールの都合なのか、このモー先生が微妙に活躍しそうで、実際はそんなに活躍しない、というはっきりしない立ち位置で、
物語の方向性を示すような重要な事を言う割には、自分は積極的に参加しない、という関わり方で、
この呪いに関しても、亡くなっているメンバーのうち最初の犠牲者ラビッシュとビッグDは山奥にある黄山村の出身で、
そこではかつて一夜にして66人の村人が亡くなった事件が発生しているので、この村の呪いが原因に違いない、
という根拠の良く分からない推理だけを、まるで正解のように主人公に伝えて、一緒に黄山村に調査に行くのかと思えば、怖いから行かない、
という事がちょくちょくありますので、要所は主人公が単独で行動していきます。
霊について詳しいけれど怖いから行かない。
で、昔の事件の生き残りのお爺さんがいる、という事で、モー先生も一緒に行動しますが、途中でキレられてしまったので、モーは退散。
でも、主人公は呪いから逃げられないので、再びお爺さんを訪ねて、その村で起こった悲劇を知り、呪いを込めてこの世を去ったヤンメイという女性の存在を知ります。
要するに(リング)においての貞子がこのヤンメイなのですが、そのヤンメイの遺体が今も眠る山の池(?)の水が原因で、
その水の下流に都市部があって、その水を飲んだ人がおかしくなって、というような事が分かり、ヤンメイの呪いを鎮めて、水を浄化せよ、
という展開が後半メインになっていきますが、この水を飲んだのが、たまたま降霊会中の5人の若者だけだったという偶然も奇跡ですが、
この池に飛び込んだ主人公が、潜っているうちに、いつのまにか昔の黄山村にタイムワープ&異世界ワープしてしまう、
という奇跡では説明できないようなファンタジックなクライマックスとなっていくのも、また日本と香港の文化の違いを感じざるを得ないような展開となっていきます。
恐らく、ですが、この日本と香港の恐怖感の違いは、似た様な雰囲気の作品であっても、恐怖シーンやショッキングなシーンのみを真似ている香港と、
その恐怖シーンに行き着くまでのゾクっとする物語を丁寧に積み重ねているJホラーとの違いだと思われます。
日本は説得力のある物語を映像と物語展開で見せてくれますので、主人公と同じように色んな出来事に感情が揺さぶられますが、
香港は、何故か霊に詳しい演劇講師のフランシス・ンが、呪いやその解き方、ピンチの脱し方等、何故か全て正解を知っていますので、
主役でもないのに、肝心な舵取りは全部フランシス・ンがやってしまいます。
もう、極端に言うとフランシス・ンが、『こうすれば呪いが解ける』と言えば、解けますし、『次はあの人が危ない』といえば、その人が危険な目に合います。
で、何故そうなのか?は一切説明されませんので、基本的に、物語展開はフランシス・ン次第で進み、さらにフランシス・ンが何故霊に詳しいのか?
さえ説明されないので、はっきり言ってしまうと、
全体的に全てがスカスカです。
スカスカの空洞状態で、ショックシーンのみが続きますので、結果的に恐怖感を感じることも無く、
なんとなく犠牲者のみが増えていく、という物語展開となっています。
という事で、なんとなく行き当たりバッタリな物語で、恐怖感も極めて薄いですが、ただ、当時の時代性や文化の違い等、
今では観れないような恐怖演出を堪能できる作品とはなっていますので、ホラー映画好き、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ホラーが苦手な方でも、気軽に鑑賞できますよ。
作品情報
1999年製作 香港製作 ホラー
監督・脚本 リョン・ホンワー
出演 フランシス・ン、ジジ・ライ、ガブリエル・ハリソン、エドワード・モク、セリア・シー
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