おすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
日本の菊池秀行原作小説を香港でツイ・ハークやレオン・ライ等の豪華スタッフ・キャストで特撮シーン満載で映像化したスピード感満載のホラーアクション!!
作品紹介
1993年9月25日公開
今回ご紹介する作品は、日本の菊池秀行原作小説を香港で映画化した特撮ホラーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
人間界で悪事を働く妖獣を抹殺するための組織、闇ガードに属する滝とケンは、香港に蔓延する妖獣を狂暴化させる薬ハピネスを製造している妖獣組織を葬るため、
香港にやってきた妖獣の権力者玄大宗に戦いを挑むが、実は玄大宗は人間との共存を望んでいて、別の一派による人間界を支配するための作戦が始まろうとしていたのだった!?
アニメ化もされた日本の原作小説を香港で実写映像化したSFホラーアクション作品です。
製作と脚本はツイ・ハークで、製作会社もツイ・ハークの電影工作室ですので、監督ではありませんが、ほぼツイ・ハークが陣頭指揮を執って製作された作品だと思われます。
本作が製作された1992年ごろのツイ・ハークは、非常に多忙で、前年の1991年には(ワンス・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明)、
本作と同年の1992年には、ジャッキー・チェン主演の(ツインドラゴン)や、(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地大乱)、
翌年1993年には(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地争覇)や(青蛇転生)等、非常に大ヒット作品を連続で監督していた時期で、
製作者としても1992年に(スウォーズマン女神伝説の章)や(ドラゴンイン)等後に残る名作ばかりを製作していた時期と重なっていますので、
恐らく本作までは監督として携わることができなかったのだと思われます。
そんなツイ・ハーク絶頂期に製作された勢いのある作品となっています。
で、監督を任されたのは、(香港魔界境 死霊の呪文)(詳しくはこちら)や(噂のテディ・ロビン 美女美女スパイにご用心)等のマック・タイキットで、
勢いのある演出で、日本の怪奇物語を香港風にアレンジしています。
で、主演の闇ガードと呼ばれる妖獣ハンター役には、香港四天王の一人で、アンディ・ラウも出演していた(獅子よ眠れ)や、
ジャッキー・チェン主演の(シティハンター)に出演していた時期のレオン・ライで、眼鏡とスーツという地味な衣装で、ヒロイックに活躍していきます。
で、妖獣ハンターながらも、妖獣と人間のハーフという悲しい出自の主人公の相棒役で、こちらも香港四天王の一人で、
ジェフ・ラウ監督の(大英雄)やトン・ワイ共演のポリスコメディ(神槍手與咖喱雞)等に出演していた時期のジャッキー・チュンで、
大活躍ながらも、悩めるキャラクターを熱演しています。
そして、本作の大きな魅力ともなっている妖獣でありながらも、レオン・ライと恋仲になるヒロイン的な役柄で、
(チャイニーズゴーストストーリー2)や、(カジノシンジケート)、(醉拳3)(詳しくはこちら)等の人気絶頂期のミシェル・リーが出演し、妖艶な魅力を放っています。
で、もう一人のヒロインとも言える闇ガードの女性隊員役で、(レジェンド・オブ・フォース激闘飛龍)(詳しくはこちちら)や、
東京国際映画祭で上映された(神探大戦)にも出演しているカルメン・リーが登場し、いつものように一癖ある役柄を演じて物語を展開させていきます。
で、その闇ガードチームの隊長役で、(ドランクモンキー酔拳)やハリウッド作品(マトリックス)(グリーンデスティニー)等、
多くの作品の監督、アクション監督として活躍しているユエン・ウーピンが、珍しく本格的なキャストとして登場し、
チームを率いて妖獣とバトルを繰り広げていきます。
で、そんな闇ガードとバトルを繰り広げながらも、悪党ではなく人間との共存を望んでいる妖獣のボス役で、
日本から名優仲代達矢が登場し、ちょっとしたゲスト出演かと思いきや、バリバリ特殊メイクも施して作品世界の重厚感を盛り上げていきます。
で、その息子である妖獣で、実質的にはラスボス役で、ジョニー・トー監督の(ザ・ミッション非情の掟)や、
ダニー・リー主演の(野獣特捜隊)(詳しくはこちら)等のロイ・チョンが、お得意のイヤミな暴走キャラで物語を引っかき回していきます。
そして、冒頭のバトルシーンのみですが、レオン・ライにやっつけられてしまう蜘蛛女妖獣役で、日本から葉山レイコが出演し、いきなりの特撮シーンで見せ場を作っています。
そんな豪華なスタッフとキャストが結集した本作は、原作小説の実写化というよりもアニメ化された作品の実写映画化、
といった感じですが、そこからも独自の解釈で世界観を再構築している感じですので、原作に忠実というよりは、
キャラクターや世界観等の設定と、ある程度の雰囲気を使用した、香港流リブート的な内容となっています。
日本の原作を香港で、もしくは香港と日本合作で映画化、というと(孔雀王)シリーズや、(力王)、(シティハンター)、(頭文字D)等、
どの作品もストレートに原作通りには行かないのが常ですが、本作も他の作品同様に、なんとなくの世界観を再現した内容となっています。
原作ファンの方からすると、恐らく『ううむ、、、、』という感じだと思われますが、似た世界観の別物と割り切って鑑賞してみると、
これが日本だけでは絶対に映像化しないような表現方法で映像化されますので、独特の雰囲気を持った作品となっています。
この時期のツイ・ハークと言えば、まず特撮作品の制作が多く、さらに(チャイニーズゴーストストーリー)や(スウォーズマン)の大ヒットで、
武侠アクションにアナログ特撮を取り入れたアクションシーンが売りになっていましたので、その得意の特撮武術アクションを、
そのまま現代の妖獣ハンターと妖獣のバトルに取り入れる、という大胆な表現で、夜間の高層ビルの合間を、
特殊メイクを施した親子が空を飛びながら、ジャンボジェット機の上に乗ってバトルを繰り広げる、という少年漫画のような特撮バトルが展開されていきます。
しかも、そのジャンボはまるで、(バック・トゥ・ザ・フューチャー2)でマーティが乗っていたホバーボードのようなお手軽感で、
『ひぃぃぃん、ひぃぃぃぃん』と音を鳴らしながら、いつまでもその場で浮遊している、というお手軽感で、
クライマックスバトルを独特のテンションで盛り上げていきます。
本作は、このちょっとカオスなアナログバトルシーンが、割と多めに登場するのですが、このアクションが、
武術指導にクリス・リーや、キャストにユエン・ウーピンが参加していますが、武術アクション系というわけではなく、
素早すぎるカット割と、ぐるんぐるん回るカメラでスピード感を表現する、という独特の表現ですので、
カメラの位置の変化(斜め多し)やカット割りの多さ、そして基本的に夜のシーンが多い等の理由で何をやっているのか良く分からないアクションも多いのですが、
合間のキメポーズや、キメ時のカメラ位置等がビシッとキマリ、ミシェル・リーなんかは、何故か常に向かい風に吹かれて長い髪がたなびいていますので、
アクションの度にカッコ良く決まっている印象と、スピード感だけはしっかりと感じる事ができるアクション表現となっています。
妖獣特撮も、仲代達矢、ロイ・チョンを始めとして、ジャッキー・チュンもハーフ妖獣という事で、後半はゴツイ姿になって行き、
中盤登場する色んな機械類に変身する妖獣は、ピンボールマシンや、エレベーター、最終的にバイクに変身して仲代達矢に乗り回されて壊れる、
という面白キャラクターまで登場するサービス精神で、香港映画らしい娯楽要素を掘り下げています。
という事で、今観返してみると、特撮表現が安っぽく映ってしまう、というマイナス面もありますが、
今現在この題材を実写映像化する、となると恐らくほとんどのシーンが、CGでの表現となって、本作のような特撮大祭り作品にはまずならないと思われますので、
そういう意味では、この時代の特撮独特の味を十分に感じられる貴重な作品となっていますので、特撮好き、香港アクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1992年製作 香港製作 特撮アクション
監督 マルコ・マック(マック・タイキット) 製作・脚本 ツイ・ハーク 原作 菊池秀行 武術指導 クリス・リー
出演 レオン・ライ、ジャッキー・チュン、ミシェル・リー、仲代達矢、ユエン・ウーピン、ロイ・チョン、カルメン・リー、葉山レイコ
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